はじまりのキレツ2
午前3時30分。
コットンさんが帰宅した。
「心配したじゃんよぉ」
彼女は僕に絡んでくる。
「ねぇ。エッチしよっ」
なにか、やましい内容を感じ取った僕は問い詰めた。
「連絡してから今まで、なにやってたんだ」
「別にいいじゃん。」
「ぜんぜんよくないだろ。きちんと説明しなよ」
15分後、観念したのか彼女は口を開き始めた。
要約するとこうだ。
電車待ちしている際にナンパされた男と意気投合し、地下のバーで飲んでた。
地下だったので圏外だった。
深夜1時に。
ありえない。
僕は普段から詮索せず、誰と飲みにいってもかまわないと言っているが、さすがに今回は堪えた。
「コットンさん、いきなり知り合いとばったり会ってちょっと飲もうなんて話になったならまだしも、
夜中にやることじゃないぞ。わかってんのか」
声を抗えて僕は訴えたが、彼女にどれだけ伝わったのか、まったくわからない。
そこに浮気の疑いはまったくない。おそらく本当にナンパされて意気投合しちゃったんだろう。
しかし白昼ではなく、深夜1時。
常識的な僕自身の人間としての感性の不安が、本当にこの女性でいいのかと問いかけていた。

