Q.24 ピッキングハーモニクスのコツは? | ギター教室 テラーニ学院

Q.24 ピッキングハーモニクスのコツは?

※※※※※※※注意※※※※※※※

今回はテーマがテーマだけに物凄い長文です。
新しい試みとして、少しでも読みやすくなるように項目で区切ってみました。

では。


動画公開以来たいへん多くの方から頂いている質問です。


Q.ピッキングハーモニクスが上手くできません。コツはありますか?

A.コツどころか完全に決まり切ったルールがあります。


取り乱してばかりで内容の無い日記が多い今日この頃、おそらく最も回答を求めている人が多いこの質問でご機嫌を伺います。




------------------始まり---------------------

今回は非常に「A.~~」の部分が簡潔で真面目ですね。

以前、グリッサンドの回でも触れましたように、ピッキングハーモニクス(以下PH)も感情にまかせてテキトーに行なう奏法ではありません。

「ピックを深めに持って弦を弾いた直後に指の腹を当てる」

という大づかみな方法論はまぁ誰でも知っていると思いますが、PH時に出る倍音はひとつではありません。私もそれほど意識して使っていませんが少し練習すれば5~6種類は簡単に使い分けることができます。

しかしテキトーにやって倍音を使い分けるのは絶対に不可能です。

そこで、A.にも書いたルールを紹介していきたいのですが、それにはまずナチュラルハーモニクス(以下NH)の説明が必要不可欠となります。



--------------------ナチュラルハーモニクス-------------------

知らない人はさすがに少ないと思いまが、みなさんがチューニングなどでよく使うヤツですね。

いちおー説明しておくと、指定のフレットを押弦するのではなくフレットの真上を左手で触りながらピッキングすると出る音です。

で、NHが出る12フレットや5フレットなどのポイントのことを仮にNHポイントと呼びましょう。

↓の一覧を見てください。

■■■■NHポイント一覧■■■■
12フレット=開放の1オクターブ↑
7フレット=開放の1オクターブ↑のさらに5度↑
5フレット=開放の2オクターブ↑
4フレット=4フレットの実音の2オクターブ↑
3と1/3フレットあたり=4フレットの実音の2オクターブ↑の短3度↑
2と2/3フレットあたり=さらに短3度↑
2と1/3フレットあたり=さらに長2度↑
2フレット=さらに長2度↑
■■■■■■■■■■■■■■■■

という感じでまぁ厳密に言うと上記のように正確な音程が出るわけではないですが…狙って出せるわかりやすい倍音が出揃いました。

ここでは12フレットで出る一番低いNH音からフレットが若くなるごとにNH音が高くなっていく様を書きましたが次に考えて欲しいのはこの反対です。

とゆーかこっちが反対で次に書くのがおそらくギターという物を作った人に言わせれば本来の基準点のはずです。

なにやら難しくなってきてよくわかりませんが実際にやってみてください。



------------------ハーモニクス6---------------------

12フレット=開放の1オクターブ↑
19フレット=開放の1オクターブ↑のさらに5度↑
24フレットあたり=開放の2オクターブ↑



これ以上はもうフレットがありえないので省略しますがギターをよく観察しているギター少年はもうおわかりなのではないでしょうか。



そうです。



私が変なオジサンです。

あ、間違えた。Terraniです。

NH音が出るポイントは音の高さで言うと12フレットに始まります。
12フレットとはつまり、ナット~ブリッジ間のど真ん中です。

ナット側に進むのが最初に書いたパターン。
そして、同じく12フレットに始まり同じ距離をブリッジ側に進んだところにも等しくNHポイントが存在します。

で、最初にズラっと書いたNHポイントを見てもらえばわかりますが、


■5フレット~2フレットの間


に6箇所もNHポイントが集中していますね。

仮にこの6箇所を「ハーモニクス6」と呼びましょう。

もちろんLOSTのオシアニック6の影響です。

これの反対側はもう30フレットとかわけのわからない状態になるので先ほどは省略したわけですが;;だいたいレスポールでいうと


■フロントピックアップのブリッジ側~リアピックアップのネック側


という感じでしょうか。

はい。

賢いギター少年のみなさんはもうおわかりだと思いますが、これがPH音の出るポイントです。



--------------------PH=NH?-------------------

NHは左手でハーモニクスポイントを触って右手でピッキングして瞬時に左手を離すことによってハーモニクス音を出しますが、PHはそれを右手だけでやっているというなんとも簡単なカラクリです。

つまり、フロントピックアップのブリッジ側~リアピックアップのネック側の間に6箇所も違うハーモニクス音が出るポイントがあるわけです。

実際にやってみてください。

かなり歪ませれば誰でも簡単にPH音が出るので、慣れるまでは激歪みでやれば良いと思います。

上記のピックアップ間を往復しながら目一杯右手親指を弦に擦りつけましょう。

どうですか?出たでしょう。かなり。ヘケケ。


で、まぁ以上が開放弦、つまり0フレット時のPHポイントの説明ですが、誰も開放弦でピッキングハーモニクスなんて使いません。だってわざわざそんな難しいことせずにナチュラルハーモニクスをやればいいんですから。



-------------------タッピングハーモニクス--------------------

というわけでお次は左手で何フレットかを押弦している場合のPHポイントの説明ですが、これはもう30何フレットと6分のいくつのナンタラカンタラ・・・となってしまうので説明が難しいところでして。。

前半の説明で要するにPHもNHも同じ原理だということはわかってもらえたと思います。さらに言うと、タッピングハーモニクス(以下TH)も同じなんですが、


例えば「FIREBALL」のソロの入り口では3弦9フレットを1音半チョーキングしてGの音を出し、21フレットあたりを右手でタッチすると1オクターブ上のGに跳ね上がります。


21-9=?


12ですよね。中卒の私でもわかります。なぜなら江南市で鍛えた珠算1級暗算初段だから。つって~。誰でもわかりますね。


21フレット-9フレット=?


もちろん12フレットです。
12フレットってさっきNHのとこで出て来ましたよね。じゃあ


12フレット-0フレット=?


よゆーで12フレットです。


さらに例を出すと「オレとオマエの~」のソロの入り口では2弦8フレットを1音チョーキングしてAの音を出し20フレットあたりをタッチしてオクターブ上に飛ばします。


20フレット-8フレット=?


また12フレットですね。

そろそろしつこいですか?つまり、押弦しているフレット+12フレットのところを触ればTH音は1オクターブ上。で、今日のハーモニクス理論に沿って言えば押弦しているフレット+19フレットのところを触るとさらに5度↑の音が出るでしょう。



-------------------実音と倍音--------------------

これを先述の「ハーモニクス6」で考えると、まぁここは感覚で覚えるしかないと思いますが、押弦するポジションが高くなるほどブリッジ側に寄りますね。

ただ、12フレットに始まってブリッジに近づくほどにハーモニクス音は出にくくなっていきます。

ダメじゃん。

と思わないでください。

PHの醍醐味というのは実音と倍音が混ざり合うところにあるのですから。

+12フレットのところで低めのPH音を出す人はあまりいませんよね?

そうなんです。ハーモニクス音が出にくいところに醍醐味があり、さらにブリッジに近付けば近付くほど出にくいというルールもあるわけで、しかも「ハーモニクス6」というだけあって6段階もミックスを使い分ける基準があるわけです。

さらにさらに、弦を弾いた後に指の腹を当てる深さや時間によっても実音と倍音の割合を微調整できちゃうスグレモノ。



-------------------まとめ--------------------

さてさて、書いてるこっちもわけがわからなくなってきたので簡単にまとめましょう。


「PHもNHもTHも全部同じ原理である」

「ピックを深めに持って弦を弾いた直後に指の腹を当てる」

「フロントPUのブリッジ側~リアPUのネック側の間をピッキング」

「ブリッジに近いポイントほど高い倍音が出る」

「ハイポジションを押弦すればハーモニクス6もブリッジ側へ寄る」

「高い倍音を選べば実音に負けやすい」

「ザックリ言ってしまえばネック寄りでピッキングすれば倍音が出やすい」


といったところでピッキングハーモニクスの説明とまとめを終わります。



--------------------オマケ-------------------

☆オマケ☆

ハーモニクス6の場所がわかりにくいわ。という人にヒントを。

「裸足の女神」や「純情ACTION」で私が使っている開放(0フレット)と3フレットでトリル(ハンマリングオンとプリングオフを繰り返)しながら右手で弦を撫でてハーモニクス音を連続で出すちょっと変わった奏法がありますが、あれはまさにハーモニクス6をいやらしく撫でまわしているようなもんです。

あれを完璧にやったとすれば「開放のハーモニクス6」と「3フレット押弦時のハーモニクス6」を足した12個ものハーモニクス音が出るんですね~なんともファンタスティック。


☆オマケ其の2☆

指の腹を当てる深さによって倍音と実音の割合を変えられると書きましたが、たとえばその深さを

「浅い」「深い」「だいぶ深い」の3段階に分けるとします。

「ハーモニクス6」「7f」「12f」の計8箇所PHポイントがあります。

これであなたも24種類のPH音の使い手だ。イャーッハ~。


☆オマケ其の3☆

レスポールは6弦×22フレットで132もの音を出せます。

普通は半音~2音半までのチョーキング5種類をよく使います。

上記のようにPHはザッと24種類ぐらい使い分けられます。

クリーン・クランチ・ディストーションと簡単に音色を3種類とします。


132×5×24×3=47520


インクレディボ~ゥ!!!!!




------------------あとがき---------------------

みなさんが手にしているエレキギターが3,000円の中古品だとしても、120万円のポールリードスミスだとしても、2,000万円のビンテージレスポールだとしても、それは6弦と22フレットと安物のアンプさえあれば等しく数万もの音が出せるというなんとも素敵な無限の楽器です。


「ギターをマスターしたい」


というような安易な表現をする方がいらっしゃいます。

しかしここに書ききれていない奏法はまだまだまだまだありますし、ワウやワーミー、トーキングモジュレーターなどただ踏むだけでなくかなり技術介入度の高いエフェクターも多数あります。

そんな中でエレキギターの全てを「極める」とか「マスターする」とかいうことは人間の短い一生では絶対に不可能です。

逆に言えば無限の奏法の中から自分なりの音を選び出すことができるということは、全く同じ音を出す人なんて世界中に一人としていないはずで、世界に数千万といるギタリストが出す音ひとつひとつ全てがオリジナルだと言えます。



そんなこんなで、私はよく「13年もギターを弾いてきた」などと書いたり話したりしますが、偉そうに言えるほどのキャリアではなかったようですね。

とはいえ今までやってきたことの何百倍もの音をこれから紡ぎ出していくのかなとキザな事を考えつつも、てゆーか全然ギター使いこなせてないんやん、と本日の日記を書きながらいろんな事を発見してしまったTerraniでした。

いや~情報整理って楽しいですね。


初めて項目でわけてみたんですがどうすかね…


ちょ、ちょいーっす。