医大に転院してすぐ、彼に会いに行った。


このまますぐに抗がん剤治療を開始するか、胃と腸のバイパス手術を受けてご飯を食べられるようにするか、主治医から話があったらしい。


彼と彼の家族とも話して、バイパス手術を受けることになった。

やっぱりご飯を食べられるようにしたい、ずっと点滴だと楽しみもないだろうからって。


進行した癌が腸を塞いでしまって、食べ物の通り道がなくなってしまったらしい。

2週間前に会社で倒れるまでご飯食べてたのに、手術しないと食べられないくらい悪くなってたなんて、痛みも酷かっただろうにどれほど我慢してたんだろう。


最初、手術をするって聞いたときは、すい臓がんを摘出する手術ができるのかもしれないって期待した。


でも前の病院でも聞いていたように、転移した癌に手術は有効性がないらしい。

しかも、彼の場合は膵臓の真ん中、膵体部から発癌していて、大動脈が近いから手術で取ることも難しいらしい。


でも、抗がん剤で癌が小さくなったら、もしかしたら手術の適用になるかもしれないってことだった。


この話は、彼の家族が、彼の友達に説明してるのを横で聞いて知った。

このときはまだ、彼やご家族に、詳しい容体や今後の方向性を聞くのを躊躇ってた。

きっと聞けば教えてくれるんだろうとはおもったけど、とても聞きにくかった。

彼も、私が来たときくらい病気とは関係ない話もしたいだろうって思うと、蒸し返すようなことは聞けなかった。

ネットや本でいろんな情報を集めた。

不安ばっかりが募った。


まだ自分の親には言えてなかった。

私のことを大切に思うあまり、病気の彼と別れなさいって言われてしまったら、嫌だと思ったから。

彼といっしょにいたい、だって、病気だからって別れられない、彼は何も悪くないのに、ただでさえ辛くてたまらないのに、私までいなくなってしまったら、彼はどうなっちゃうの?どれほど辛いの?そばに居て支えたいって気持ちと、正直、怖くて逃げ出したいって気持ちもあった。


自分のなかで気持ちが揺らいでいたから、こんな状態で、自分の親の意見を聞きたくないと思った。

コロナが流行るまでは、彼の病室に付き添いで泊まらせてもらえたけど、2月のうちに、付き添いは禁止になった。

免疫が落ちた彼にもし移してしまったらと思うと、コロナもすごく怖かった。