ターミネーター2 にはカットされたハッピーエンドがありました。
試写会で不評だったので「未来はわからない」というサラの言葉とハイウェイの映像に変更されましたが、1994年のサラにとっては未来はわからないのであって、キャメロン監督の意図としては、T2でスカイネット誕生は阻止され審判の日は起きない事になりました。
他の人がスカイネットの様な物を作る可能性はあるので『未来はわからない』し、映画としてもハッピーエンドを見せるより科学技術の暴走への恐怖の余韻を残す方が良いと思います。
「可能性の未来」「no fate」「未来は変えられる」という言葉から、スカイネットは阻止出来ただろうと読み取れます。
キャメロン監督の意図としては、T2でスカイネットを阻止して終わり。
T2後のインタビューでも「これ以上語るべき物語はない。ターミネーターの続編は作らない」
と発言していました。
ところがT3が作られてキャメロン監督は激怒。
ターミネーターはサラが運命を切り開く物語なのに、3では既に死んでいる。
スカイネット誕生を阻止出来なかった事にされてしまった。
バックアップから別人が作ったので同じスカイネットではないし、他の人がスカイネットのような物を作る可能性はT2の最後に暗示されてはいます。
でも3の表現だとT2の闘いや犠牲が台無しの印象です。
3の監督や脚本家はターミネーターの物語を循環型で考えていたのでしょう。
(ターミネーターの物語が循環型でない説明はターミネーターの時系列のテーマで過去に書いてあります)
T2の物語の意味を誤解否定した。
ターミネーターはサラが未来を切り開く話です。
3は運命ではないと言いながら、変えられないで終わる。
希望がない、ジョンの年齢が合わない。
などT2の続編とは言いがたい内容なのでキャメロン監督の怒りは当然です。
「美味しいスープに小便を入れる様なもの」ということわざでキャメロン監督はT3を評価しました。
3のせいでT2の物語への誤解が多数派?となりキャメロンさんは歯痒い思いでいた事でしょう。
2019年にターミネーターの映画化権がキャメロンさんに戻り、作られたのがターミネーターダークフェイトです。
ターミネーターの主人公はサラ、グレースのセリフでスカイネット阻止は成功したと明言されました。
しかしTDFへのファンの評価は今一でした。
ジョンの死を受け入れられないファンの気持ちはわかります。
新鮮さが無いという意見にはある程度同意しますが、T1T2の物語を正しく理解した続編はTDFが初めてです。
「正統続編」と公式が宣伝、キャメロンさんが「3以降は悪夢または別のタイムラインの出来事とする」と発言した事への反発もありました。
「ターミネーター好き」や日本の「映画評論家」の大半は3をT2の続編と考えている様です。
3が初めからあった若い観客がT2の続編だと誤解するのは仕方がありません。
当時T1を観た映画評論家すら誤解している……
その誤解が蔓延している事がキャメロン監督にとっては悪夢でしょうね。
345などもT2の続編では無いと割り切って観ればそれなりに面白い作品なので、無かった事にではなくT1の前日譚だと思って観れば良いと私は思います。
TDFは3部作の土台、続編が本番だそうです。
ターミネーターシリーズをキャメロン監督の思い通りの形で完結させて欲しいです。
(TDFの興行成績的に難しそうですが)
T1T2の物語が誤解されている事とTDFが正しく評価されない事が残念です。