幼いころに
単なる紙の筒にすぎないものを
覗き込んで
そこに
鮮やかな世界が渦巻いていて
ただただ魅惑され
世界は途方もなく多彩だと思った
ものごころついた
ある日の理科室
顕微鏡を覗いた
その時
肉眼では見えない世界に
花粉やカビのようなものが
なんと多く蠢いていることか
衝撃的だった
この机の上にも・・・
それを知って
世界は見えない恐怖にも満ちている
何もかも触ることすらできないのかと
たまらなくおびえた
美しいはずの覗き穴
その向うにあるのは
魅惑の夢？
見たこともない悪夢か
それは
わからない
美しいものだけを見ていたい
でも
選ぶことができるだろうか
覗き込んだら
そこに出現したものを
もう
なかったこと
見なかったことにすることはできない
魅惑
それとも
恐怖
これで終わると
けっこう気持ち暗いので
おまけ
ついさっき
ベッドを自分で
いつのまにか
敷居のところまで引っ張ってきたらしく
ももちゃんアホ寝姿
今日はあれこれ
病に苦しんでいたけれど
いま
ひとときの安息
こんな
やすらかな時間が
続いてほしいと願う
２０２０．４．２９