新しい家族22 | レトロロのブログ

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 帰りの新幹線で、今のプロセスの中、自分が何をすべきなのか、窓の景色を眺めながら考えてみた。

 水泳で、基本・原点を忘れない、踏み外さないことだと身に染みたことで、状況に惑わされず、単純に考えようというところまでは辿り着いた。

 夕食時に保養所の状況をカメラを見せて説明すると、その進行の速さにさすが大企業だねとみんな驚いた。

 早く炭焼き釜を作ればというのも出て来て、自分にできるのはこれかと、大将にメールを送った。

 次に保養所に行ったらもう斜面が開かれ、大将がユンボで横穴を掘り上げて、手前にはブロックと耐火煉瓦、敷石が積上げられていた。

 最初の釜を作った時、教えてくれたというお年寄と農家の人達が今回も来てくれて、大きさは前回とほぼ同じ2立米ちょっとだが、頑丈に組んでいる。

 2日間、習いながら石練りや土練りまでみっちり手伝った。

 11月一杯を熱海を行き来しながら過ごし、大の応援にも行ったが、ベスト8進出は出来なかった。

 12月初っ端の単位試験を済ませ、大学のことも一通り済んだと思うと感慨はあるが、のんびりはしていられない。

 「これさ、2問とも試験前にしっかりやったとこだよ。」

 2学期の期末テストで、直前にしっかりやった数学と理科の一問ずつを間違えていて、3年生で1学期の2番から5番になっていた。

 特にゆーりが念入りに聞いた問題で、難しいものだったがちょっと納得できなかった。

 「一番に成りたくない。」

 意味が理解できなくてしばらく返事が出来なかったが、やっと思い至り、まだ戦っていることに気付かなかった。

 「そうか、じゃあ良くやったね。 佳織さんには言っとくよ。」

 やっと、ゆーりに笑顔が浮かんだ。

 「動物園の象さんに、冬前の激励に行こうか?」

 軽く言ったつもりだったが、ゆーりの顔が少し強張った。

 「卒業したいんだけどね。 できるかな?」

 やはり心の中で揺れているのが解る。

 「焦んなくていいんじゃないの。 近いうちに登頂成功だから、冬前の激励だよ、ゆーりにもね。」


 「やっぱり冬はいやなんだろうね。 何にも言わないけどさ。」

 「俺も冬は嫌いだよ。 でも冬が好きな人は居るし、動物園だってそうさ。」

 「そうだよね、まだほんとの寒さじゃないけどね。 象さん、今年も頑張れ。」

 「ゆーり、消すとか忘れることはできないと思うけど、少しずつ蓋ができないかな?」

 返事をしないで、じっと象を見ている。

 「大きく成長してるよ。 俺がゆーりを守るからさ。」

 「ずっとそうだよね。 これからも?」

 「そうだよ。」

 「象さーん、冬頑張ってー。」

 自分への言い聞かせだと、ビーンと伝わってくる。

 「よーし、しっかり昼飯食ってジムプールだよ。」

 3人とも休憩しながら一時間しっかり上手に泳いで、その間賢は子供たちの泳ぎの手伝いをしていた。

 2人に息継ぎのコツを教えただけで、もう脚を着かずに半分以上は泳いで、もう少しで25行けるよと肩を叩いて誉めてあげた。

 「あゆさあ、部活の陸上で大変なんじゃないの?」

 「まだ適当だよ。 それよかゆーりねえみたいなプロポになりたいから水泳すんだよ。 太るのやだもん。」

 「大人になるとストレス解消もあるわよ。」

 「千代ねえ、そんな大変なの?」

 「一般論よ、私は楽しくやってるな。」

 ロビーで3人が、英語交じりの賑やかな話をしていた。

 「顧問だけど、ここじゃ呼び方いいよね。 賢クン、出張計画報告ちゃんと出して。 私が事後処理して、賢クンの秘書役もやってるんだからさ。」

 「いや俺は出さないよ、だって貰いすぎだもん。 でも千代美さんがとばっちりだったら申し訳ないな。」

 「うーん、それはないよ。 企画開発にも出入りして面白いわ、保養所の動きが解るしさ。 それにお給料が上がったのよ、これはゆーりと賢クンに感謝ね。」

 「明日行くけど、千代ねえ一緒に行かない?」

 「いいね、いい?」

 9時10分の新幹線を約束した。

 夜の電話で大も行くことになり、4人で〇海からタクシーで保養所に向かった。

 大と賢は、早速大将達と一緒に釜作りの手伝いを始め、ゆーりと千代美は地元の奥さん達と女将がいる保養所に入った。 

 二人とも10分も経たないうちに汗が滲み出し、Tシャツ一枚になってスコップ、鍬、バールと持ち替えて指示に従って裸足で作業を進めていく。

 いつの間にか、大と二人だけが動いている。

 「しかし、あの釜の構造はよく考えてあるな。」

 「だよな、俺も最初は水抜きがあるなんて知らなかったぞ。」

 大と二人で感心して、午後は植替えできず伐採された樹木と竹の処分を始めた。

 ゆーりと千代美は、改築されている保養所で女将や手伝いの奥さん達とずっと話し合っていた。