いま、届けに行きます。 | 寺山武志オフィシャルブログ「てらやま」Powered by Ameba

いま、届けに行きます。

最寄駅から家までの道のり。

終電に乗っていた人達は、行きよりも
少し重い足取りで家に帰る。

昨日の私はその中の一人だった。


駅から離れると一気にひと気が無くなる静かな街と時間帯。


もうすぐ家に着く。そんな所で
歩道に落ちているピンク色の携帯電話を拾った。

携帯の色からして落とし主は女性だろう。

赤色に光る電池残量。








仕方ない。家に帰るのは少し遅れそうだ。



電源が切れない内に、この人の携帯が落ちている事を知らせないと。



着歴を見て、電話を掛けた。





が、出ず。


時間も時間だ、寝ていてもおかしくない。



次の人に掛けよう。





が、出ず。




拾った事を少し後悔した。





時間をおいてもう一度最初の人に掛けよう。





やっぱり出ないか。


切ろうとした瞬間、
繋がった!


助かった。


携帯を拾った事、これから駅前の交番に届ける事を、この携帯の落とし主に伝えて欲しいと話し電話を切った。


あらためて着歴を見ると、数十分前に公衆電話から何回もかかってきている。
恐らく落とし主だろう。




いま、届けに行きます。



そして早足で交番を目指した。



そんな中、こんな感じのシチュエーションどっかで見た事がある。
と、思い出そうとしていた。


少女マンガか?

いや、少年マンガ?

ドラマかもしれない。




あっ。




電車男だ。


泥酔した男性客に絡まれ困っていた女性を助け、

男と女が出会うという最強シチュエーションのやつだ!!

困った女性を助けるという点で
今回の件と同類項だ。






いかん!いかん!!

あっちは困っているんだ!



そんな事が起こるのはドラマや映画であって、真に受けて無粋な想像をしている様じゃ紳士には程遠いぞ!

危うく、偽善者街道を全速前進しかけた。




なんとか、交番に辿り着く頃には紳士候補生の姿を取り戻していた。





交番は留守だった。

パトロールの時間の様です。

どうやら壁に取り付けられた受話器を取ると警察官と話せるようだ。

はやく、済ませて家に帰ろう。



受話器を取るとすぐ、


ポケットに入っていた携帯が鳴った。



公衆電話からだ。

電話をとる。

僕『もしもし』

「もしもし」



ふと視線をあげると交番の目の前の、公衆電話を使っている人が目に入った。



『「え!?」』
私が気づくと同時にあっちも気づいた。




「うそ~マジかよ~」
興奮と安堵の表情を浮かべた
男性が
そう言いながら駆け寄ってきた。








うそ~マジかよ~

はこちらのセリフだ。
ピンクの携帯の持ち主は男なのね。







警官《もしも~し、もしも~し》

警官がずっと受話器の向こうで話していたみたいだが、男だったという衝撃に暫く耳が塞がっていました。





警察《もしも~し、大丈夫ですか?》



僕『大丈夫じゃないです。』



そういって、交番の受話器をそっと置いた。




駆け寄った男性の持ち主に
さっと携帯を渡し



たくさんのお礼を持ち帰りました。







そのせいなのかな。。。

やっぱり帰り道は少し重い足取りで家に帰った。






しーゆー☆
photo:01


(安里くん)




P.S.
そんな事をしていたら
孤独のグルメの開始時間に間に合わなかった。