先日、党の「被災者生活再建支援法ワーキングチーム」の一員として、
新潟県長岡市を中心に視察を行った。

この支援法、本当に使い勝手が悪い。
ネーミングこそ期待感溢れるものであるが、
いざ適用をはかれば、この法律の頭の固さが顕著に見えてくる。

法律の基本構造は、
地震や洪水で住居が損失を被るった際に、
最大300万円の補助が受けられるというもの。

しかし、
被災者全員が300万円をもらえるわけではない。
まず、相当な住居崩壊が必要となる。
被災された方にとって300万円は十分ではないが、
それでも随分助かる金額のはずだ。
ゆえに、多くの方が満額需給を望まれる。
しかし、満額を貰うには、
一見してペシャンコ程度の被害が必要となる。
これは、内閣府の省令によって、
こと細かく査定基準が決められており、
その基準に則れば、、
全壊認定を受けるには相当の崩壊が必要となるのだ。

ただし、
家がペシャンコでも受給できるとは限らない。
受給には所得制限が課せられる。
世帯全体で一定の所得額がある場合には、
どれほど家が壊れていても満額受給は難しい。
この所得制限の手ごわいところは、
所得を「個人」ではなく、「世帯」で捉えるところだ。
結果、大家族であればあるほど、もらえる額は少なくなる。
所得には当然、年金も含まれる。

また、
商店や、貸しアパートは支援の対象外だ。
確かに住居ではないのだが、
それらは生活の糧そのものである。
商店が滅失すれば、いきなり収入が絶たれ、
生活を再建させることが非常に困難になるが、
それに対する支援は行わない。

また、建物の損失のみを判定するため、
極端な話、家の地盤が地割れしていても被害を被ったとは判定されない。

数を上げればキリが無い。

この支援法は、
見直し規定にも則り今国会で改正される。
自民党、民主党両党で改正案を提出しており、
両党間の合意を経て、今国会で改正されることとなるだろう。

互いの改正案の利点を生かし、使い勝手良く、
役に立つ法案を目指したいのだが、
私は、この法律の肝は内閣府令にあると思う。

いくら法律で補助額の上乗せ、年齢制限の撤廃を行ったところで、
より具体的な適用要件に関しては、内閣府令で決定される。
まさしく、その内閣府令の緩厳一つで法律の生き死には決まる。
詰まるところ、役所が決める被災認定基準が辛ければ、
殆ど支援は行われない。

先日秋田で起こった大水害において、
この法律を適用をはかった。
しかし、実際「全壊」と認定されたのはたった5件と聞いている。
テレビでも新聞でも大々的に報道された阿仁前田の惨状は、
この法律の世界では、たった「全壊五件」という判断なのだ

今回の視察は現行法の運用面を検証すると言うよりも、
純粋な地震被害視察の意味合いが強かった。
この支援法の、
市町村の運用自体にあまり関心は払われなかったが、
まさしくそこが重要と思う。

法律を作っても、運用面で不具合があれば意味がない。
支援と銘打った法律でも、実際支援が行われなければ意味がない。

法案の改正のみならず、
委員会を通して内閣府令にクサビを打つ必要があるのではないだろうか。
質疑を通して試みたい。