50代も半ばを過ぎ

コロナも落ち着いてきたものの

私たちの仕事はなかなか戻らず

収入が激減したままだった。

 

私立大学に通う

子供を2人抱えていたので

これは死活問題!

私は、牧さんとの仕事を

継続しながら

週2〜3回、午前中5時間の

近所のスーパーのバックヤードで

パートを始めた。

 


なんだかんだ良くして貰って

この春で丸2年になる。

直接雇用の打診もあったので

働きも評価して貰っているようだ。

全く違うジャンルの仕事で

それはそれで楽しんでいる。

 

そう思えるように

なるまでには色々あった。

 

ずっと、好きなことを

仕事にしてきた私にとって

製造業というのは単純作業で

ただ時給のためだけの職場であり

働く喜びとは無縁だと思い

ただ淡々と働いていた。

 

やたらとキツく当たる人がいたが、

そういう人はなぜか自滅して

いなくなっていった。

 

慣れていくと、単に単純作業を

こなしている訳ではなく

そこにもスペシャリストがいて

目を配って取りまとめてくれる

尊敬できる人もいる。

 

全く問題がないわけではないが

多分恵まれた職場だと思う。

 

デスクワークしか経験がなかったので

50歳半ばでの立ち仕事はかなり大変で

疲労感は半端ないが

働くこと自体は嫌ではない。

 

私がパートをしていることは

牧さんと家族しか知らなかった。

 

当然、あきは知らない。

知られて憐れまれるのが嫌だった。

そう思うということは

私が私を憐んでいたのかもしれない。

 

人生がとてもハードで

眠れないくらい不安で落ち込んだ時

"あきはもっと大変だから"と

自分を鼓舞していた。

と言えば、聞こえはいいが

多分、あきよりはマシと思う

気持ちがあったのだと思う。

 

あきのことを散々

"上から目線"と言っているが

私はどうなんだと。

 

そんな私の気持ちを

あきが気づかないわけないよね。