うちの双子が、なんとか高校に上がるころ
私たちは、50歳になっていた。

仕事からの帰り道、電話がなった。
あきからだった。泣いていた。

 

 

体調不良で病院に行ったら

思わぬ病気の宣告を受けたと。

 

動揺するあき

どう慰めたのか覚えていないが、

電話を切ってすぐにあやに電話した。

私も、命に関わる不安を打ち明けられて

一人では抱えきれなかった。

 

私も決して順風満帆の人生を

送っているわけではなかった。

 

双子の片方は生育に難があったし

夫のタクちゃんも40代で大病を患い

収入も不安定。私の仕事も不安定(笑)

ただ、周りの人に恵まれていて

なんとかやっていた。

 

その頃、70代後半母貴子さん

一緒に暮らしていたあき

貴子さんは認知症の兆候が

現れ始めていた。

 

あきは、貴子さんの心配も加わり

自分の病気への不安と、その全てを

一人で抱えることのプレッシャーに

押しつぶされそうになっていた。

 

介護方面の知識が豊富なあやが、

貴子さんの関しての相談に乗り

 

私はできるだけ、

あきの通院や入院に付き添い

 

あきが孤独で絶望することのないよう

私と牧さんで、あきが話したい時は話を聞き

 

送迎が必要な時はタクちゃんの助けを借りて

送迎したりと、できる限りのことはした。

 

自分に経験にない人の苦しみというものは、

全て理解することは不可能だと思う。

だから、分かったようなことは言いたくない。

ただ、気が紛れたり、孤独感が和らいだり

するといいなと思っていた。

 

あきは一人じゃないよ」

これは私があきに何度か言った言葉だ。

 

後々まさかこれで、恨まれることになるとは

夢にも思わず。