雨の日はシャンパン | 寺岡呼人 オフィシャルブログ 「LONG GOOD-BYE」 Powered by Ameba

雨の日はシャンパン

かまやつさんがお亡くなりになった。
初めてお会いしたのが、もう30年ほど前。

年齢が丁度30違うので、今の僕ぐらいの時なのか。

 

日比谷野音のイベントでお会いし、翌日共通の知り合いを通じ、六本木のキャンティでランチをご一緒した。キャンティの奥に佇むムッシュ、、、。

伝説のキャンティにムッシュがいる。そしてパスタを無造作に食べる姿、息子ぐらいの僕に敬語で優しく喋ってくれる、何もかもが絵になって、格好良かった。

 

その後、雑誌の対談でご一緒するのだが、対談の後「僕のアトリエきませんか?」と誘ってくれ、六本木のマンションの一室へ。スパイダース時代の映像をご自身で記録用に編集していたのだが、途中でムッシュは寝てしまい、僕は一人でずっとスパイダースの映像を観る羽目に(笑)。

とはいえ、こんな若造を気軽に誘ってくれるスマートさは凄いと思った。

 

そして僕のソロアルバムでも「smile a go go」という曲で詞を書いてくださり、デュエットもしてくれた。僕のイベント「ゴールデンサークル」にも何度も出て頂いたり、ライブでもご一緒させてもらった。

 

僕が30歳も下のミュージシャンとそんな気軽にセッションできるだろうか。

更に僕よりも一回り下、つまりムッシュにとっては40歳以上下のアーティストと、車でツアーをまわったり、かと思えばCMに出たり、テレビに出たり、縦横無尽にロック界と芸能界を行き来していた。それもスマートに。

 

グループサウンズ世代の方で、拓郎さんたちのフォーク世代、ユーミンさん達のニューミュージック、そしてその世代の名うてのスタジオミュージシャン、そしてRIZEなどの新世代と関わり持った人はムッシュしかいないし、これからも現れないかもしれない。

 

僕は、かまやつさんに会って以降、どんな年下の人にも基本敬語で喋っている。

一度かまやつさんに聞いたことがある「どうして、誰にでも敬語なんですか?」と。
すると、かまやつさんが言った答えが
「だって、人によって言葉を変えるのが面倒だから」。
言い方も含めてスマートだった。

そしてかまやつさんが現役で活躍される間は、それはイコール僕の可能性もそこまでいけるかもしれない、という指針でもあった。70代でも孫のような人達と車で全国ツアーができる可能性があるのだ。そんなセンスと勇気と人望があれば、の話だけど、、。

どこまでも格好いいかまやつさんがいなくなった今、大切な指針が途切れてしまった。
僕は後30年、かまやつさんを追っかける。
それが、僕が出来る恩返しだと思っている。


数年前、神戸でご一緒した時、ライブの前にランチをご一緒させてもらった時、昼間からフレンチで、ムッシュが「今日は雨が降ってるからシャンパンにしましょうか」と言って、みんなにシャンパンを振る舞ってくれた。
あのスマートさを思い出しながら、今夜はシャンパンを飲みたいと思う。

 
かまやつさん、ありがとうございました。