JSW 神戸〜京都 | 寺岡呼人 オフィシャルブログ 「LONG GOOD-BYE」 Powered by Ameba

JSW 神戸〜京都


神戸、長崎、横浜、この3つに共通してるのは、江戸時代から(横浜は末期だけど)、海外の船がやってくる港の街。

そういう深みがあり、そして“異国”という言葉が似合う街。
かといって、まるまる外国ではないので、そのミクスチャー具合がエキゾチックで、唯一無二の雰囲気を持ってる。
この3都市が僕は大好きだ。
そして、どの街も独特の個性ある店が多い。

神戸もちょっと歩けば、そんな店がわんさかある。
以前も木村さんのイベントの時、何気なく入ったレストランが凄く美味しかったし、かまやつさんに連れていってもらったフレンチで昼からシャンパンを飲みながら過ごした時間は忘れられない。

今回は、スタッフとウインターランドの橋川さんに聞いたイタリアンにいったのだが、これがまた美味しかった。シェフはイタリア出身(日本語はペラペラ)、こういう人がまた似合う街なんだよね。


神戸ウインターランドは極熱だった(笑)。
それでも、ツアー終盤ならではの完成度と、メンバーのテンションも高く素晴らしいステージになったと思う。オーディエンスの表情がみんな輝いていた。
そしてツアー終盤になっておもう。
2008年までは「懐かしい」バンドだった。当たり前だ。
2012年は「いま」を見せようともがいてる、ある意味新人バンド。
「懐かしい」バンドが「いま」をみせようとやっていくのは大変だと思う。
オーディエンスは「懐かしさ」を求めてる。でもそれだけだと単なる「同窓会」。
ある大御所バンドも、再結成の年はバンバンお客入ったけど、翌年はガクンと減ったと聞いた。オーディエンスは「懐かしさ」を求めるけど、すぐお腹いっぱいになってしまうから、毎年活動をやれなくなるのだ。
ま、僕らは不器用なバンドなので、愚直に正攻法でやり続けるしかないのだ。
でも、こういうステージをやれてると、新しいジュンスカを確立できそうな気がしてくる。これはいくらレコーディングしても実感できないことだ。ライブじゃないと。


ライブ後、京都に移動。
翌日は大雨。
でも、よく散歩する寺町あたりを散策。
やはり、大好きな街だ!
いつか町屋に住んでみたい。


そして、磔磔の存在感を改めて思い知る一日になった。
磔磔は土蔵だ。音響的な計算は最初からされていない。
しかし、どの会場よりも僕は音響的にやりやすかった。
それは恐らく、ビンテージのギターみたいに、30数年の間にこの土蔵が楽器のように「鳴る」ようになったからじゃないだろうか。
磔磔そのものが「楽器」になってる。
これは計算を超えた、音楽の魔法だと思う。


さて、地方ツアーの最終日、しかも磔磔。
とてもいい雰囲気で終えることができた。
人生は旅、という言葉があるけど、アーティストも旅を通じて成長していくのかもしれない。かつての西行や芭蕉がそうだったように。
たった一ヶ月の旅だったけど、ジュンスカは凄い成長した気がする。
この旅を支えてくれたスタッフに感謝。
そして、ライブに来てくれたオーディエンスに感謝だ。


この旅でつくづく「ムーブメント」という、凄さと怖さを考えた。
“バンドブーム”というムーブメントがなかったら、ジュンスカは今こうしていないかもしれない。でもムーブメントに甘えると、あっという間に飽きられる。
ムーブメントは常に生み出される。
お笑いでもスポーツでも商品でも、、、。
そのムーブメントの中で、数多の人があっという間に消えていく。忘れられる。

ムーブメントに甘えない、というのは意識するのものではなく、「勘」だろう。

ブルーハーツの下に、僕らのようなバンドが多く生まれ、ゆずの下にも似たようなアーティストが生まれ、ハイスタの下にも同様に、リップスライムの下にも、RC、サザンの下にも、、、常に時代はそれを繰り返す。

もし、ムーブメントに逆らって、アルバム3枚目あたりで「LOST&FOUND」を作って、今のようなツアーをしていたら、どうなってたんだろう? と、このツアー中、よく想像した。


そのムーブメントは今のジュンスカを取り巻く環境にはない。
だからこそ、やりがいと挑戦する価値がある気もする。
楽ではないけど、飽きられるリスクはすくない。どっちもどっちだが(笑)。
これをやりきれば、ムーブメントそのものを起こせるんだと思う。

そういうことを実感させてくれたのがこのツアーだった!

神戸~京都に来てくれたみなさん、どうもありがとう!!