メソッド (method) | 寺岡呼人 オフィシャルブログ 「LONG GOOD-BYE」 Powered by Ameba

メソッド (method)

ユーミンとお話をさせてもらった時「『ダイヤモンドダストが消えぬままに』のレコーディングが終わった日、新しいメソッドを手に入れた実感で朝まで余韻に浸っていたの」と言っていた。

僕が初めてメソッドという言葉を知ったのは、デニーロだ。
彼は、役になりきる為に尋常ではない方法で役作りをした。
『レイジングブル』では、鍛え上げた肉体から、ブクブク太った引退したボクサーを演じ、『タクシードライバー』では本物のイエローキャブに乗り、『ニューヨーク・ニューヨーク』では一流のサックス奏者になり、『アンタッチャブル』はアル・カポネを演じるために頭髪を抜いている!

彼が学んだ、ジェームスディーン、マーロンブランドの出身でもある「アクターズスタジオ」が「メソッド演技法」というものを採用していて、そこで「メソッド」という言葉を覚えた。


僕は今ジュンスカのツアーで、この「メソッド」に拘ってる。
自分の中に新しい発見をしたいのだ。
奏法でもいい、表情でも、MCでもいい、立ち姿でもいい、「人は何度でも生まれ変われる」と『LOST&FOUND』で書いたように、いくつにもなっても成長できるのだ。逆にそれがなくなった時が“老ける”ということなのかもしれない。

ユーミン、そして僕やジュンスカのジャケットデザインしてくれてる信藤さんと話していても、決して過去の焼き直しはしない。過去を振り返らない。
還暦を超えた信藤さんが今もって輝いてるのはそこだと思う。

しかし「メソッド」は大体において他人には分からない細胞程度の変化かもしれない。あのイチローは毎年フォームを変えてる。フォームを変えるというのは恐らくバッターにとって、一生を棒に振る覚悟の決断のはず。それを彼は毎年変えてる。しかし、その事を注目する人はいなく「やっぱイチローは凄いな-」っていう程度の感想だろう。

昔、松田優作がインタビューで「吉永小百合さんは細胞で演技する、とんでもない役者」と言っていた。表情で演技するのではなく、体を形成する細胞を動かす事による、ちょっとした表情、喜び、悲しみ、、、それが本当の「メソッド演技法」なのかもしれない。

だからスポーツ選手だろうが、ミュージシャンだろうが、その「細胞程度」の変化の為に、もがかないと行けないのだ。それを必死でやれる人、やれない人が、大きく人生を分けてるんじゃないだろうか。

ユーミンは午前中から、本番に声を出すためにトレーニングをし、要さんはカラオケにいって、新しい唱法を見つけ、小田さんはあの年齢でステージを走りまわる為にトレーニング、みんなそうやって成長してる。
役者もそうだろうし、一線で長くやってる人はそれを直感的にできてる人なんだろう。


「こんなの自分じゃない」と思う前に、みなさんも是非昨日とは違う自分を探してみませんか?