12th ALBUM 「PRIDE」
12th ALBUM「PRIDE」(プライド)1989年総評聴いたことがある曲がちらほら。アルバムとしては初聴。音楽業界的に録音技術や演奏レベルが向上したのか、前作までより音が格段に良くなった感じがする。そして音より何より爆発する才能。溢れ出てきて止まらないというようなリリース間隔だ。アルバム前半で大名曲が炸裂する構成だけに、「ちょっとこれは、、、」という曲も中盤以降にある。しかしながら2枚組のDISK 2がそれを補い、トータルで名盤に仕上がっている。ありきたりな表現をするなら「まるで一本の映画を観たような作品」。いやはや、素晴らしい。DISK 11. 「LOVE SONG」・冒頭も冒頭のビートのリフレインからのシンセの一音から絶対的な名曲を予感させる。知っている曲でありながらハッとさせられる。・ベースライン、シンセワーク、コーラス、ドラム、全てが絶品。・1番Aメロを歌ったあとに短めの間奏のようなフレーズをさらっと入れて間を取るという素晴らしいアレンジ。・2番に入ったAメロの「長い間」の直後のフレーズ(ドゥドゥドゥドゥドゥーンと落っこちるキメ)もメリハリが効いていてすごい。・Dメロ、間奏、サビの転調、アウトロ、どこを取っても隙がない名曲。・歌唱力、ソングライティング、アレンジ、演奏、どれを取っても一流のゴージャスな展開に感動。1989年の邦楽ポップスの最高到達点だろう。2. 「PRIDE」・「LOVE SONG」からの「PRIDE」。これはもう、お手上げです。・サビでうっすらチャゲとユニゾンしていたりするのも効果絶品。チャゲのコーラスワークが光る。3. 「SHINING DANCE」・チャゲの咆哮から始まるチャゲロック。・80年代末にふさわしい、80年代サウンド。大ネタが続いたので骨休め的な。・そして曲の終わり方がチャゲそのもの。4. 「HOTEL」・オトナな良曲。・LOVE SONG を歌っていた人が手のひらを返すように夜更けのホテルにかけこんで薬指を隠すというちゃぶ台返しスタイル。5. 「Break an egg」・風の音とギターの音に「万里の河」との繋がりを感じるが、あまり意識はしていなそうな曲。・CHAGEがサビで入れ替わるパターンの曲としては久しぶり。軽快。6. 「さよならは踊る」・完全な演歌だがこれも"チャゲレゲエ"とさせていただく。・「LOVE SONG」「PRIDE」から入った新規ファンは、ここにきてまさか演歌を聴かされるとは思ってもみなかっただろう。・そういえばこの曲も5曲目終わりの風の音から入っているので、初期の演歌フォークのセルフオマージュ的な意図も考えられなくもない。チャゲにはこの際この路線の演歌レゲエ歌手として全国をドサ回りしてほしい。7. 「砂時計のくびれた場所」・前半はもやがかったような中を泳ぐように歌う例のASKA。サビでドカンと転調して壮大にキラキラしまくる。神々しい。8. 「天気予報の恋人」・イントロのシンセのリフレインとギターの伴奏がまた名曲を予感させる。・さらっとしたラブソングの中に極上の美声。・CMソングやテレビで何度か聴いたことがあるけど、ちゃんと聴いたのは初めて。サビよりAメロのほうが有名な珍しいタイプの曲。9. 「Don't Cry, Don't Touch」・久保田や岡村ちゃんほどではないが「80年代邦楽ファンク」という意味でかなり完成度が高く、実は超重要曲かもしれない。10. 「絶対的関係」・チャゲはたまに自分のことを西城秀樹か何かと勘違いしてしまうフシがある。・「LOVE SONG」「PRIDE」のような曲を聴いてファンになったなら「なにしてくれてんだ」ってなるような、信じられない事故のような曲。11. 「流れ星のゆくえ」・ああ、きっとステージに腰かけて歌うんだろうな、もしステージに階段があったら階段のちょっと上のほうで腰かけて歌うんだろうな、足は組んでるよな、というようなチャゲの歌。腰かけてうっとりと歌うことを前提に作られている。12. 「WALK」・まさか、ここで聴けるとは。前作ラストの「Far Away」のような、残響音による霧がかかったような中を泳ぐように歌うモヤモヤASKAの進化系であり頂点。・CHAGE and ASKA のサウンドの特殊性が詰まっているような気がしている。このタイプの曲はチャゲアス以外にあまり聴くことができないと思う。DISC 21. 「MOON LIGHT BLUES」・別バージョン。ゆったりとしたブルースアレンジながら、これも「WALK」のような音を帯びているのでサブスク的に続きで聴いても耳にフィットする。2. 「嘘」・ハープ(?)のアレンジが入ったチャゲの歌。これも階段やステージに腰をかけて、足を組んで、上のほうを見上げて歌っていそうだ。3. 「終章(エピローグ)〜追想の主題」・崩して歌うのがデフォルトのチャゲ。カラオケスナックのお客さんが真似して歌ってワケわからんことになってないか心配。・謎にアウトロが壮大。過剰なチャゲ、またしてもな印象。4. 「熱い想い」・この曲が再録されたのは意外だったが、シンプルかつ壮大な良アレンジ。アンコールの最後の曲的な余韻が残る。