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4月の読書会『あなふさぎのジグモンタ』レポート③

4月9日(木)に開催した『あなふさぎのジグモンタ』(ひさかたチャイルド)の読書会のレポートをお届けしています。

 

4月の読書会『あなふさぎのジグモンタ』レポート①はこちらをご覧ください。

4月の読書会『あなふさぎのジグモンタ』レポート②はこちらをご覧ください。

 

 

 

「印象に残った言葉がある。『おまかせください』とう言葉で、自分でも口にしたい言葉だ。昔の自分は『わかりました。おまかせください』と言っていた。だが、今は口にしなくなったし、周りにも、自信を持って『おまかせください』と言ってくれるような人はいなくなった。この30年くらいで世間が変わったと感じる。

 

今は自信を持ったことを言うと、失敗したときに責任を問われるし、クレームが来る。仕事をする人とお客との関係がすごく変わった。『おまかせください』と言えた時代は良かった。若い人にも、そういう時代があったことを教えてあげたいと思う。

 

ジグモンタも三日三晩眠り続けないといけなくなるほどに没頭したが、その仕事に没頭すること、仕事のやりがい、生きがいが、この本のひとつのメッセージだと思う。

 

『編み物はタイパがいい』という話があったが、タイパやコスパという言葉が出てきたことから、仕事の価値観が寂しいものに変わっていった。物の価値は、安く買えるとか、すぐ手に入るということだけではない。『思い入れがしみ込んだものだから大事にしたい』というメッセージを感じた。

 

『あなたのおかげで』と言われるような仕事を一生したいと思う。葬儀屋をテーマにしたドラマで、ベテランと若手がいて、ベテランが家族から大金を握らされて、それがなぜなのか若手が問うシーンがあった。そこでベテランは、『これが葬儀屋の仕事や。俺のことは一生忘れられへんで』というようなことを答えていた。その人の名前で覚えられるような仕事はいいな、と思う」

 

「『おまかせください』と言えなくなったという、時代の変化は感じる。最近はビジネスネームを使うようになって、名札をつけなければいけない仕事や、市役所の窓口などでも、自分を守るためにビジネスネームを使用する場面が増えてきていると聞く。

 

また、仕事が細分化してしまっていることもあると思う。ひとりがすべてのプロセスを担っていれば『おまかせください』と言えるが、自分が担っているのが全体のほんの一部だと、そういうことが言えない。『おまかせください』と言えるような仕事が、それだけ価値のあるものになる」

 

「みんなと同感だ。みんなの感想を聞くと、本書の味わいが深まって、いちだんといい本に感じる。

 

縦糸と横糸の箇所はどういうことかわからなかったが、最後のページに楽譜がついていて、こういう歌だったのかとわかった。1番と2番では気持ちが変わっていることに納得した。

 

お茶を飲むシーンや、『あなふさぎの しごとが すきでした』という箇所から、ジグモンタは仕事に満足していると思う。

 

ヒキガエルが登場するところは、嫌なシーンだ。お金だけ出せばいいという感じでコインを入れていて、嫌な感じだ。

 

フクロウの毛布の穴の絵では、3羽の顔と脚と脚がそれぞれ出ている」

 

「お金だけ出せばいいという態度の話を聞いていて思い出したことがある。昔、通訳をしていた当時、上司が部下にお金を叩きつけるようなシーンがあった。それに通じる態度かもしれない。毛布の穴の絵は、模様だと思って眺めていて、顔と脚と脚だとは気づかなかった」

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※新刊翻訳書『認知症と性とウェルビーイング ーパーソンセンタードケアの視点から―』の出版記念トークショーが開催されます。ぜひお誘いあわせのうえご参加ください。

 

≪詳細情報≫

・日時:2026年5月10日(日)15:00~16:30 (14:30開場)

・会場:大盛堂書店 3Fイベントスペース

・参加無料・先着40名様

・参加方法:以下のメールフォームからお申し込みください。

https://www.taiseido.co.jp/sbd20260510.html

 

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4月の読書会『あなふさぎのジグモンタ』レポート②

4月9日(木)に開催した『あなふさぎのジグモンタ』(ひさかたチャイルド)の読書会のレポートをお届けしています。

 

4月の読書会『あなふさぎのジグモンタ』レポート①はこちらをご覧ください。

 

 

 

「絵がすごく好きだ。ジグモンタがかわいらしい。前半では、仕事を終えてお茶を飲むシーンが印象的だ。職人がタバコで一服するところを思わせる。職人気質というか、仕事に誇りを持っていて、仕事が好きなんだなと感じる。ハリネズミの結婚式にカエルと参加した、最後のシーンも印象的だ。

 

フクロウと3羽の子どものフクロウの毛布を直すところでは、ジグモンタとしては正確に直したいが、時間がない。3羽の羽が絡まったものになったが、それが母親にとっては子どもたちの思い出になる。ジグモンタにとっては納得できない出来ばえだったが、喜んでもらえると気づいた。

 

ジグモンタは一生懸命働いたので、三日三晩寝入ってしまうが、寝ている間にフクロウの子どもたちは巣立っていってしまう。目覚めたときに、フクロウの母親は感謝の気持ちで、すごくにっこりしている。この笑顔があったからこそ、正確さだけでなく、心温まるものをつくることの大切さに気づいたのだと思う。

 

歌も最初と最後では変わっている。最初の歌は正確さを表していて、最後の歌は『うっふっふ』とか『らんらんらん』とか、感情が出ている。ジグモンタの考え方が変わったきっかけは、フクロウの笑顔だと思う。出会いによって人は変わる」

 

「フクロウの笑顔にはそこまで注目していなかったが、言われてみれば、菩薩のような表情をしているようにも見える。歌にも、たしかにジグモンタの思いが反映されている。

 

どちらかと言うと、リスキリングの関連で読んだり、『自分のスキルが今いる場所で通用しなくなっても、それが求められる局面はまだまだ他に多く開拓できる』というふうに捉えたりして読んでいたが、先ほどの方たちの意見も含め、自分の仕事に対する気づきという内面の変化が描かれているのだと気づいた」

 

「話も絵も、たくさんの情報が含まれている。最初にいちばん惹かれたのは繕いものというところで、繕いものを自分でしたときに、すごく満足感が大きく、うれしいものだったと思い出した。ダーニングといって、靴下などの破れた箇所をおしゃれな糸で繕ったりするのが流行っている。捨てるのもわかるけれども、愛着が湧く使い方はいいな、と思う。絵は切り貼りのような絵になっていて、この本自体が、『大事に使っていること』を表現しているのではないか」

 

「ダーニングマッシュルームという、靴下などを繕うためのキノコのようなグッズが手芸売り場に並んでいるのを見て、ダーニングは人気なのだと思った。最近は編み物が流行っていて、『編み物男子』なども目にするし、若者の間で『編み物はタイパがいい』という話を聞いたことがある。何かをしながらできるからだ。『ニッターズハイ!』という編み物漫画があって、それも面白いのでおすすめしている」

 

 

 

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≪詳細情報≫

・日時:2026年5月10日(日)15:00~16:30 (14:30開場)

・会場:大盛堂書店 3Fイベントスペース

・参加無料・先着40名様

・参加方法:以下のメールフォームからお申し込みください。

https://www.taiseido.co.jp/sbd20260510.html

 

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4月の読書会『あなふさぎのジグモンタ』レポート①

4月9日(木)に開催した読書会のレポートです。毎月の読書会では、絵本を中心に、毎回読み切りの短い作品を読んでいきます。作品は毎回変わりますが、テーマとしては何かしらケアに関わるものを取り上げていきます。

 

4月に取り上げたのは、『あなふさぎのジグモンタ』(ひさかたチャイルド)です。本書を一度読み上げたうえで、参加者のみなさまからご感想を伺いました。

 

 

「ジグモンタは、自分の技術を注ぎ込んで素晴らしいものをつくっているという自負はあるが、ヒキガエルが新品を買ったり、古いほうを捨てていいと言ったりするので、がっかりする。

 

ハリネズミの姉妹に腕を振るおうとしたら、古臭いのは嫌だから新しいのを買おうということになって、落ち込む。お休みをして、完全に落ち込んでしまう。

 

ところが、フクロウが巣立つ最後の夜に、大きな穴を即ふさがなくてはいけなくなる。ジグモンタは十分に技を発揮するどころではなく、不満な仕上がりだったが、母フクロウはよかったと言って喜んでいた。この経験から、職人の別な面を知って、ハリネズミに対しても、諦めずに新しい感覚で穴をふさぐ。

 

職人技にも職人のプライドがあるが、こだわりすぎると、使う側の立場を忘れて自分の技に酔ってしまう。フクロウ親子との経験から、新たな視点が得られたのだと思う」

 

「老舗の企業は、新しいものもうまく取り入れるなどしながら、時代に合わせて対応しつつ、伸び続けている。それに通じるものがあるのかもしれない」

 

「自分も先ほどの意見と似た考え方をしている。自分の仕事と照らし合わせて考えた。自己満足だったのかと思う瞬間は虚しいし、自分の価値がないように思うが、フクロウたちとの出会いによって、自分のこだわりではなく、自分の仕事の価値を教わって、新たなフェーズに入った。いいなぁと思う。仕事の楽しさという域に行けていると思う。

 

絵がいい。ハリネズミのスカートに穴が空いていたり、ジグモンタがお尻から糸を出したりしているところがかわいい」

 

「ジグモンタの経験に相当するようなものは?」

 

「特養で介護士をしているが、経験を積むことで型ができてしまう。たとえば、老衰で亡くなる方のご家族に声をかけるときに、『こういう場合はこうだから、こう声をかければいい』と思ってやったのが、フィットしないときには落ち込む」

 

「その型も経験を積んだからこそできた型であり、それで対応できる場合が多いものだと思う。ただ、それゆえの落とし穴もあるし、そうやってうまくいかなかったときに、また新たな段階に入るのだと思う」

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※新刊翻訳書『認知症と性とウェルビーイング ーパーソンセンタードケアの視点から―』の出版記念トークショーが開催されます。ぜひお誘いあわせのうえご参加ください。

 

≪詳細情報≫

・日時:2026年5月10日(日)15:00~16:30 (14:30開場)

・会場:大盛堂書店 3Fイベントスペース

・参加無料・先着40名様

・参加方法:以下のメールフォームからお申し込みください。

https://www.taiseido.co.jp/sbd20260510.html

 

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