Test Accommodationでは、(以前から言っている)Extended (Extra)Time、つまり時間の延長や、設問を(スペイン語と言った)他の言語で書く・・・といった例が一番一般的なのですが、他にあるので、今日は他のTest Accommodationの実例を紹介。

他にあるTest Accommodationは、ズバリ

Item Modification(設問の変更・修正・改良)

**Modifyとは、改良、変更、修正するという動詞。

設問の設定の仕方、または掲載の仕方を変える・・・といった改良だけで、テストの結果に影響があるのか・・・というと、実はありまして、とりわけ学力の低い生徒ほど、このItem Modification、設問の設定の仕方や改良を加えると出来が変わります(=スコアーが上がる)。

逆に言うと、元々学力の高い生徒(つまり元々行われたテスト結果の良かった生徒)には、改良前と改良後のテスト結果があまり変わらないから、結構興味深い結果だと言えます。

で、ポイントは

一体どういったItem Modification、つまりテストの設問にどのような改良、変更が加えられたのか?」であり、具体的には、

1.フォント(文字)

→設問の内容を変えず&設問の内容に影響がない程度に、フォントサイズを大きくしたり、字を太くする、又はアンダーラインの線を引く。

2.設問のレイアウト

→各ページに掲載する設問の数を減らして空白を増やし、見やすくする。または設問に中点(=「・」)などを使い、設問を読みやすいよう、整理する。

3.設問の説明

→設問にヒント(例:数学の公式)、又はヒントに近い説明書きを加える。又は設問で問われている内容をよりはっきり説明した補助説明を加える。

*アメリカでは信じられないことに、州規模の数学のテストで必要な公式(例:三角形の面接の公式)が掲載されていて、公式を事前に覚えておく・・・という日本の前提よりもさらに下に前提を置いているので、そんなことがあります。まあそれに関して議論の余地はあると思いますが・・・。

4.グラフィック

→図やグラフといった、ビジュアル的な追加説明を加える。

5.ボキャブラリー(語彙)

→キーワードとなる言葉やフレーズを問題文中で繰り返す。

これらが結構一般的なItem Modification(設問の改良・変更)ですが、ここで注目すべきことに

設問の難易度の変化

です。設問の改良の仕方によりますが、上記の改良方法で、各設問の難易度(Difficulty)が変化(=難易度が下がる)します。日本の感覚から言うと、設問の難易度が変わる、つまり設問が簡単になるのは宜しくない・・・と思いますが、アメリカではそのような発想はせず、むしろ

設問の難易度が変わろうが、そのテスト、又は設問で測定しようとしている学力を測定しているのであればオッケー

これに尽きます。

実は前回のブログでアメリカ教育省が試行した政策でも、ポイントして

Test Accommodationを行っても、各学年のテストで測定する学習事項、学習範囲は同じである

という条件があります。専門家であるPsychometricianは、学力テスト結果で得られた様々なデータ(生徒のテスト結果、設問の難易度などなど)を総合的に分析し、生徒の学力を最も適切かつ正確に測定する設問の難易度はどれくらいなのか分析して決定する・・・ということも仕事なので、これこそまさにPsychometricianの仕事の一つ!!と言えると思います。

というわけで、次回以降もTest Accommodationについて書いていきたいと思います。