とりあえず、前回話した論文の第一回目のドラフトが終わり(結局、なんとか書き終わりました。出来は良くないですが・・・)、ひとまず落ち着いたので、Test Accommodationの教育省の動向について補足説明を少々。



えーと、まず前回の補足として、2003年のAlternate Academic Achievement Standard(AA-AAS)とは、より正確に言うと、1%のSevere Cognitive Disability(直訳すると「深刻な認知障害」と診断される生徒のための別の学力到達基準です。


認知障害(Cognitive Disability)と言うと、いかにも大げさですが、要は「学力の低い生徒」のことで、アメリカには(こう言っちゃあなんですが)日本では考えられない程学力の低い生徒がいて、そういった生徒のために、アメリカ教育省が別の学力基準を設けた・・・ということです。


後、2007年に試行されたModified Academic Achievement Standard(AA-MAS)は、(よーく調べて分かったことですが)学力が低い2%程の生徒のためのテストですが、彼らは上のSevere Congnitive Disabilityには含まれません。




これまでTest Accommodationのブログで説明した通り、例えばスペイン語を第一言語として話す子供は、言葉の問題があり、英語等において普通の白人のアメリカ人よりは劣るものの、別に学力が低いのか・・・となるとそれはまた別問題です。




2007年のAA-MASはそこに着眼点があり、学力はあるけれど、その学力が正確に測定されなかったが故に、学力が低いと判断された下位2%の人を対象にModified、つまりテストを少々改良し、彼らの学力を測定し直すことを教育省が各州に指示した・・・そういうことになります。




こういう背景を理解すると、日本との違いが鮮明に表れます。日本では文化的にも(単一ではなくても、アメリカに比べると)はるかに多様化しているわけではないので、ある一定した学力基準でテストを行い、判断する。しかも、日本に場合、各学年の学力到達基準はあってないようなものなので(学ぶべき範囲は、文科省から定められていますが)、テストの目的に関して、学力基準を満たしているか・・・ということが議論の中心にならず、どちらかというと、入学試験的なイメージが先行します。




アメリカの場合、テスト・・・っていって思い浮かばれるのは、入学試験的なイメージよりも、州政府がテストして、Academic Achivement Standardと字にあるが如く、学力到達基準が最も重要な目的なので、その到達点を上回っているかどうか・・・が最大の関心となる・・・とまあ、そんな背景から、テストへの取り組みも変わる、というブログでいつも言っている話しになります。




というわけで、来週以降は、(補習校の話しも書きながら)Test Accommodationのデータ分析等の話しに移っていきたいと思います。