変態じゃ・・・いけませんか!? | 寺田万里子オフィシャルブログ「MARISM」Powered by Ameba

変態じゃ・・・いけませんか!?

渋谷ユーロスペースで、
吉田浩太監督作品「ユリ子のアロマ」なる映画を見て参りました、
本日熱中症気味の寺田です。

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「変態じゃ・・・いけませんか?!」

をキャッチフレーズにしたこの映画は、
簡単に言うと、
匂いフェチの女性と、思春期の男の子の関係を描いた作品でした。

まだまだ公開が続くようですので内容には触れませんが、
人の心の隙間にするりと水を注ぎ込み、
途切れてバラバラになった人間の感情に流れを生みだすような、
そんな不思議な感覚を覚える映画でした。

そんな感覚を覚え、優しくも苦しくめまいがするような帰り道、
渋谷の街の中で、いつもは少し居場所を失ったような不安に襲われるのに、
今日は世界と自分が正面から向き合えたような・・・
自分自身の存在の輪郭がはっきりと形を成し、
生きているという実感を覚えることが出来たような・・・気がしたのでした。

「あなたのままでいいじゃない・・・人間なのだから。」

誰しも自分らしく生きたいともがく中で、
そう自分に言い聞かせては、
そう在ることが出来ずに生きている自分自身を日々目の当たりにし、
愕然と失望を感じながら生きているような気がします。

もちろん命を保ち、自分自身の存在を自ら背負い、生き続けているのですから、
もちろんそんな自分自身でも、
ある程度受け入れ肯定しながら少しずつ大切に日々を重ね生きているのだと思いますが。

自分を見つめれば見つめるほど、
自分の足りなさに気づくものです。

この映画を見ていると、
「誰にも認めてもらえなくても・・・自分ひとりだって生きていくんだ」
と、必死で肩肘を張っている主人公の姿に自分の姿を見ているようで、
いくらかの苛立ちを感じつつも、
なんだか愛おしくてたまらない気持ちになりました。

そんな肩肘を張り自分自身ということを受け入れることがうまく出来ずに生きてきた主人公が、
ある時自分を受け入れてくれる相手と出会うことで心ほどけていく姿は、
弱くも柔らかい命を持った、人間のあたたかい本質に触れたような気がして、
幼いころ、
母親に撫でてもらったあの時の母の手のぬくもりをふと思い出したりしたのでした。


一言で言うならば・・・

「居場所を与えてくれる。」

そんな映画でした。

渋谷のユーロスペースでは、
5月28日までレイトショー上映されるようです。
http://www.yurikonoaroma.com/


それにしても、渋谷のユーロスペース、
5月29日から高橋伴明監督の「BOX 袴田事件 命とは」も公開されますし、
しばらく渋谷の激熱スポット化しそうですね。
http://www.box-hakamadacase.com/


それでは、
今日も、おやすみなさい。