人口減の中、地方はどう生き残るべきか?
ということは日本が抱える大きな課題。

そんな中、佐賀新聞の特集に基づくシンポジウムがあったので内山節さんの話を聴きにいった。

本をよく読む必要があるが、根幹は住人が果たしてその地域をどうしたいと思っているか?そして、その課題解決にむけて行動できるか?に尽きる気がした。行政のサポートも必要だが、やはり大事なのは住民なのである。

そんなことから、地方の田舎はどうあるべきか、ぼんやり見えてきた気がする。内山節さんの本も読んでみようと思う。


群馬の上野村に土地を譲り受けて、裏山や田畑を使いつつ、釣りを楽しみつつ生活している。

現在、世界の課題として、今までのシステムでうまくいかなくなってきた。世界はだんだんもたなくなっていきる。

今までは先進国が政治経済軍事的にグリップして富を独占していた。しかし、これかは、従来の延長線上では無理。

日本、自体も金がなくなっている。

死んだ時に手を合わせる人がいない葬式が増えている。人間社会として持たなくなってきている。

上野村は森林があるので、それを使って村の経済を作っていたが、いま個々人の経済ではなく、村全体の経済を役割分担をしていこうとしている。

今の地方ビジネスは基本跡取りないと思ったほうがよく、そのためにも地域内の経済でカバーしていくようにしなければならない。

上野村はIターン者が多いので、村で済む条件として、青年団と消防団に入ること。また、Iターンに対して、村営のアパートを作っているし、集落性も意識している。
全ての家にインターネットを使えるようにしたが、地域作りには使えないことがわかった。入り口と出口には使えるが真ん中の人間の交流には使えない。やはり、生身の交流が大事。
15万円までの所得保障が三年ある。これにより、雇う方も雇いやすい。子どもの医療費は無料だし、独自の子ども手当てを出している。
インターンの英語教師は山村出身者に限るし、修学旅行時にそこに連れていくことになっている。

発想の転換が必要。いかに地域を残していくか考え行動する人を行政がタイアップすることが大事。それができる地域は生き残れるかもしれない。

フランスとよく日本を比較しているが、地方も似てきている。
現在のフランスの山村は半分がIターン者。近代化の過程で一次、二次産業も山村、漁村離れが起きるが、あるところまでいくと逆転現象が起きる。ある特定の人達にとって、おそらくはそういうところが住みやすくなってくるのだろうと思う。
フランスは日本の人口の半分くらいだが、市町村は3万6000くらいある。つまり、集落ごとに市町村があり、行政もある。極端にいうと、7人の村もある。150人規模の村が多い。首長も行政もほぼ無給で運営されている。地方分権も進んでおり、住民が課題を受け取るようになっている。公的施設の基本方針を議会が決めるが、運営はボランティアの住民がやる。つまり、安価に運営できる。これにより地方自治が住民自治になってきている。それにより集落に活力がある。それと比較して、そのようなつながりが弱い都市部は今の日本と同じく不安にかられている状態。

日本も地域と自然を守りつつ、皆が住めるためにどうすべきかを考える必要がある。政府は農業を競争力のある産業にと考えているが、農業はそんなものではない。本質的に競争すべきものではなく、敗者を作らないもの。そして、そうすべきものでもある。市場原理ではなく、皆が共存できるビジネス構造に変える必要がある。ソーシャルビジネス。利益の最大化ではなく、どんな社会にしたいのか?を実現していくモデル。今の若者はそこに向かいつつある。
例えば、綿製品は自然製品ぽいが、農薬規制がないから、かなり危ない。だから、現地でお願いしながら、安全な綿製品を作るなどの取り組み。負けを作らないビジネス構造。

国家に依存せず、自律的で負けを作らない地域作りが必要。そのために自然や文化の活用も考えねばならない。

大学にいるものの、入試の試験が人を判断するにはとても適正なものとは思えない。そうではなくて、能力を活かし切ったときにどんな社会を作るのかを考えないといけないと思う。

世界史的にも大きな転換期。この変化を楽しみながら、生きていく必要がある。

質問
スーパーや病院などの設備は充実しているが空き家が増えてきている。空き家に住んでいる人もいるという治安的にも不安が増している。Iターンして、余生を過ごしたい人がいるが、家財があるからと貸してもらえず、問題が解消しない。中心地郊外の活性化に知恵をいただけないか?

回答
つなぐ人がいないのが課題。事例としてはソーシャルビジネスとして、つなぐ不動産を運営して、家主との交渉や地元工務店にリフォームなどの交渉するなどが始まっている。空き家はある意味、有利な資産といえる。日本は私有地権が強すぎる。根源的には利用権しかないべきものである。本来なら使えなくなれば、返すなど整備が必要。特に今後の日本は必要になる。放置している農地も同様。空き家が増えているから困った、で止まっていてはなにも変わらない。有利な資源として活用に動ける人が出てくることが大事だし、行政もタイアップが必要。そうしなければ、行政も対処できなくなる。そして、それを考えるのが地域の人ということが大事である。

質問
Iターンにおいて、地元民の抵抗をどうしたか?行政はどう動かしたか?

回答
多少の抵抗はあったが、青年団消防団へよ加入を条件にしたので、村への浸透が進み、相互理解が深まっていったし、交流も自然に生まれた。都会と村のルールの違いにも相互に気遣いが生まれて教えあう環境にもなってきた。最低ルールを明確にすることが大事。