友人が出版!ということで早速買ってみた、読んでみた。


すぐ成果を出す人の仕事のやり方・考え方 (アスカビジネス)/明日香出版社



◼︎全体的な感想
この本が優れているなぁと感じたのは、徹底して実行者の感情部分に焦点を当てており、どうすれば実行にむけて動けるか?ということに言葉を尽くしているところではないかと思う。というのも、自分の経験に照らしてみても、この部分が「できる人」と「残念な人」とを分ける重要なポイントになるからである。
今日、理論的なことは書籍に限らず、ネット、或いはセミナーや講演などからいくらでも有象無象に学ぶことはできる。そして、学ぶことはお金と時間を費やせば誰にでもできるのである。だがしかし、ではそれをカタチにできるか?というとそれは学んだ量によらない。一歩、足を踏み込めるか否かにかかっている。
そして、それは本人にしかできないことなのである。いくら高い金を払っても、踏み出さねば何も残らないのである。その踏み込む勇気を支援する形を、3つの質問に凝縮したスタイルに拍手を送りたい。おそらく、本人の当事者としての視点とコンサルとしての客観的な視点から生み出されたものなのだろうということが読み進めていると感じてくる。

◼︎学んだこと
大筋の内容としては「どうしたい」「どうする」「ほんとに」の3つの質問に凝縮される。
「どうしたい」
ゴールを明確にする質問。どうしたい?を繰り返すことで、既成概念というか、縛られているものから脱出して、本当のゴールを見つけることができるだろう。そうすることによって、心はワクワクしてくる。人に作られたようなゴールではワクワクできなくとも、本当に自分がしたいことであれば自然とこみ上げあるようにワクワクしてくるものである。これはトヨタ式のようになぜ?を問うても発見できるものではないだろう。その点が秀逸。
「どうする」
ゴールにむけた行動をー見つけることができる質問。ざっくりいうとマイルストーンを置いて行くというなイメージだろうか。ただし、注意すべきは実現可能性にこだわり過ぎないこと。こだわれば、萎縮して、できる手身近なものしか発想がでてこなくなるし、こうどうにも移れなくなるだろう。実現度外視でゴールにむけた長期的な行動を浮かび上がらせ、その上でできることをやっていく。長期的なものが見えていれば、行動もしやすい。それは自分の経験を重ねてみても肚落ちする。
「ほんとうに」
自分のたてたゴールや行動へのコミットを確認する質問。この質問が非常に良い。様々なビジネスプロセスの方程式は色々とあるが、感情に問うものは記憶にない。あったら教えて欲しい。いくら最高のゴールをたてて、最良の行動を選び出しても、それにコミットし、実行に移さねば、何にもならないのである。もしも、どうにも乗り気でない場合は、その理由を「具体的には?」で具体化していく。そうすれば、外部からの支援もできるし、行動レベルを下げるなどのアドバイスもできよう。上司からみても重要な質問である。

このDDHサイクルを回していけばきっと成果を生み出し、ゴールに到達できるように思う。組織として行動するならばPDCAサイクルを回すことが大事であろう。だけども、その中の構成員一人一人を同じサイクルでみても、実際には脱落者がでる。これは感情に視点をもっていないから。人にはこのDDHサイクルで向き合う方が適切だと考えられる。

◼︎気になるメモ
・失敗の原因を自分以外に向かわせる思考は「怒り」という感情を生み出します。失敗の原因を自分に向かわせる思考は「不安」を生み出します。
・個人に紐づく問題や悩みは自分の意思を起点に考えない限り解決には向かいません
・大切なのは、将来的な方向性を決めて、「今」にフォーカスし、「行動」を起こしているかという点です

◼︎その他
第6章については、たしかに成果を出す手法の紹介なのであるが、そうしノウハウ的で蛇足的な面があるのかなぁ、、、と感じた。五章までがシンプルで秀逸なだけに。
むしろ、この3つの質問を軸にしたケーススタディだったり、物語であったり、そういうものでより具体的な活用イメージを深められたら、、、と感じた。
初出版なので、今後の著者のさらなる飛躍を楽しみにしたい。