高城剛さんのメルマガで近場の柳川について書いていたので引用。

鋭い視点だろうし、いまの日本の田舎の観光地全て当てはまることだと思う。

団体を捨て、個人に徹底することで、全体が光る。

団体頼りでは、本来を生かしきれないだろうと思う。

柳川の観光を担当されている方が見てくれるといいなぁ

以下、引用。

今週は、九州の柳川にいます。

福岡から特急で50分ほどの場所にある柳川は、戦国時代に柳河城主の蒲池氏
の城下街として生まれ、その後、江戸時代に旧藩主立花家が作った水路と見
事な堀による「水の城」を中心にした「水の都」として名を馳せた街です。

現在、天守閣はありませんが、「さげもん」と呼ばれる吊るし飾りや水路を
活かした川下りなど、九州北部の代表的な観光地のひとつとなっています。

しかし近年、柳川は観光客の減少に頭を悩ませています。その大きな理由は、
この個人の時代に、いまだに団体客にフォーカスしている点にあるのは明白
で、人気の川下りも、個人利用が大変難しい利用状況であるため、時代にズ
レていると感じさせるところが多々見受けられます。キチンと再提案すれば、
素晴らしい場所になるのでしょうが、名物の川下りすらも、ついには廃業ま
で追い込まれた業者もあるほどです。

温泉地を例にとると、団体にフォーカスし失敗した観光地に、熱海や箱根が
あります。逆に成功した例は、同じ九州なら湯布院や黒川などだと思います。
特に黒川温泉は、アクセスが大変悪い悪路が続く山の中ですが、そのような
逆境を逆手に取り、多くの観光客を集めるまでに成長しました。

一方、柳川も熱海も箱根も、都市部からのアクセスがよく、高度経済成長期
には胡座をかいていて、気がつくと時代の変化に対応できず、土台が崩れ去
ってしまったのは、言うまでもありません。観光業は、サービス産業であり、
地域活性化の鍵となるビジネスです。サービスに満足できなければ、顧客は
離れるのは当たり前です。また、焦って表層的なプロモーション強化(例え
ば、ゆるキャラなど)を展開しても、99%の地域では、その地のイメージを
著しく落としてしまうのですが、その事にすら気がつきません。すなわち、
その地の観光戦略のトップが、「見えてない」ことに問題のすべてが集約さ
れます。このままいけば、十年後の柳川名物の川下り業者は、半分以上が廃
業に追い込まれていることになるでしょう。この構造は、かつての藩主が藩
を駄目にする構造と似ています。

さて、ここ柳川には、もうひとつ名物があります。それは、「鰻のせいろ蒸
し」です。水の城と呼ばれるほどの水路を持つ柳川は(水路の総延長が930
キロあります!)、川魚が美味しい事でも有名で、なかでも鰻を使った「せ
いろ蒸し」は、この地の発祥の美味しい料理です。現在も新旧30軒ほどの店
があり、この機に「名店」と呼ばれる数軒で食してみました。

個人的な感想は、評価の高い「御花」の味はいまひとつで、名店の誉れ高い
「本吉屋」のほうが、遥かに美味しいと思いました。次点は数店ありますが、
このあたりは好みによることろだと思います。関東から出向くと、あっさり
した味のほうが美味しい! と感じることでしょう。

おいしい食事どころは、観光に訪れる大きな目的であるのは間違いなく、ま
た、柳川には歴史も面白い川下りもあるのですが、観光産業は衰退していま
す。まるで、日本経済の行く先を見るようにも思いますが、これは、僕の言
葉で言いあらわせば、各々素晴らしいものがあるのに、全体を見ると「バラ
ンス」や「スタイリング」が悪いのです。

ファッションでもそうですが、「ちょっとしたこと」の違いで、ダサくもカ
ッコ良くも、いかようにもなるものです。モチロン、時代性も重要です。
「バランス」を整える「ちょっとしたこと」を見いだせるトップがいるかど
うかで、その地の十年後が推察されます。これは地域観光に限らず、大企業
も個人も同じです。

黒川温泉が、たった一人の若者の力で再興したように、どんな歴史的転換点
も、実は「ちょっとしたこと」の違いからはじまるものだ、と桜吹雪舞う春
の柳川で考えます。

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