私学フェスタ2012で乙武さんの講演があったので参加。



実に朗らかで、来るだけで明るくしてくれる素晴らしい雰囲気をお持ち。とはいえ、現実にしっかり根を張っている感じもある、素晴らしい。


【内容ざっくり】
・得体が知れないないものだから、差別や偏見のような言葉がでるかもしれないが、それは日常の生活で馴染むことができれば、自然に精神のバリアフリーが図られる。そういう場をつくることが重要。

・長崎の2003年の悲惨な事件をみて思い立った。子供のためになにかできないか。そのために、教員免許をとった。自分を育ててくれた社会の大人への恩返しではなくて、恩送り。
 

Q.大津のいじめなどについてどう思うか?
A. いじめはなくならない。この前提の認識が大事。
人の好き嫌いは自然であり、固定化された学校の環境では当然悪化する。
いじめゼロでなく、起こることを前提として、迅速な対応をするのが大事。

いじめた子や隠した教育委員会は許せない。しかし、それを見ているだけではなにも変わらない。
当事者意識をもって考えること、そして、行動することが大事。

教室には世界の人口分の1の紙を貼っていた。
多くの人のたった一人、だけど、代わりができる人は誰もいない、オンリーワン。だから、自分を大事にして欲しい。

ジグソーパズルのようなクラスにしたかった。
凸凹しているが、全て揃うとキレイな絵になる。一人一人が自分を生かし、補い合いながら生きるクラスしたかった。これは地域にも、会社にも、国にもいえる。

今後も、みんな違って、みんないい。というメッセージを伝えていきたい。他人を責めても仕方ない。この人はこの分野が苦手だけど、他にもいいとこあるじゃない。そんな視線でいてほしい。

Q.昔はいじめもあったが、人が死ぬようなことはなかったのでは?なにか変わったか?
A.昔もいじめはあったし、人も死んでいた。
変化としては、ネット。クラスでは普通なのに、ネットで劣悪ないじめとなっていることがあり、発見が遅れる。

ネットで敵をみつけると、いつもなにかに襲われるような感覚かもしれない。そこが違う。

Q. いじめを見てもやめてとは言えない。どうすればいいか?(中高生くらいの女の子)
A.いじめが起きてる場合はクラスが3つに割れていることが多い、加害者、被害者、中立派。中立派にいるなら、中立派の結束を固め、そこから、被害者を助けてあげる。表だってなにかをする必要はなく、影でもいいので助けてあげればいい。
正解なんてない。聞けば大人が色々な方法を考えてくれるかもしれないから、相談し、そのなかでいいと思うものを実践して欲しい。

Q.息子が精神的に治療をしている。そして、片付けられないという発達障害もあるようだ。これは治るのか?3年ぐらい看病だか、対応が続いているがこれがずっと続くのか?

A.発達障害に対する理解をもっと広める必要がある。これは能の機能の問題であり、治らない。
学校では教師も困っているが、本人ももっと困っている。なかなか身体的な障害と違って理解がしにくいのが、双方の壁になっている。当たり前のことができて当たり前という固定観念で周りも苦しんでしまう。できないことを認めることが大事。

薬による治療も大事だが、理解者がいること知る安心感も大事だと思う。特に家族などが受け止められれば、ベストな環境ではないだろうかと思う。そして、できないことを認知してもらい理解者を増やすことも環境作りとして大事と思う。


最後の質問について、正直、話の本質もわかりにくく、息子のことなのか、大変な自分達のことなのか・・・といった状態だったけども、とても真摯に、自分の頭で考えながら、言葉を選び回答されていた。その姿に、回答が終わったあと、会場から自然に大きな拍手が起こった。感動した。

講演自体の内容は私学フェスタということもあり、優しい内容であった。だけども、質疑応答に乙武さんの人格の素晴らしさが滲みでいた。

「真摯に考え、行動しなければなにも変わらない」

そんなことを教えていただいた気がする。想像以上に素晴らしかった。いってよかった。

早速、最近の著書を読んでみたい。たくさんの気付きを貰えそうな気がする。

オトことば。/文藝春秋