久々に痺れる本だったので、自分の中にしみこませたくてまとめ。
入門編と帯にも書いて在るように、学術的にそこまで踏み込んではいない。でも、豊富なデータと事例などでお腹いっぱいな感じはある。ぜひ分厚くてもいいので、より高度な論文を拝見したい。

日本全体、なにか歯車があってない感じが日々増長されていっていると思っていたけども、その背景にはこのような消費に対する価値観の転換があっているのかもしれない。

膨張型の経済も経済政策もビジネスも即死はしないと思うが、緩やかに衰退していくのだろうと思う。そして、そこに折り重なっていく第四の消費社会・・・

じわりじわりとこちらに軸足を移すようなビジネスプラン、或いは人生プランが必要になるような気がする。「迷わず開けよ、開けばわかるさ」といった感じ。

経済的には豊かになるとはいえないかもしれいけど、人生的には楽しくなっていきそうな予感がする。





【まとめ】
■第一の消費社会(明治~昭和)
・都市を中心とした2割程度の中産階級が消費を楽しむ時代。そのほかは貧困にあえいでいる
■第二の消費社会(戦後~オイルショックまで)
・大都市圏から地方にむけて徐々に洋風な生活様式が広がっていく
・量としての消費の拡大
■第三の消費社会(~2004)
・消費単位が家族から個人へ、量から質へ、自分らしさの広がり、物からサービスへ
・ハビング(もっている)からビーイング(自分らしくどうあるか?)へ
・haveとbeの間にdo(遊びや旅)を挟むサービスも多くなった
・「本当の自分らしさ」を求める消費者と「多様な自分らしさ」を提案する企業が共犯関係で消費が広がっていった。しかし、自分なんてものはなく、差別化する自分と同調する自分を使い分けられ、企業に使われていただけであった。
■第四の消費社会
(特徴)
・個人(利己)主義から社会(利他)主義へ
→自分の満足の最大化ではなく、社会への貢献を目指す
・私有から共有へ
→自分専用のものをもつことから、他者と共有し、つながり作ることに喜びを感じる。不要不急なものは持たず、なるべくレンタルなどで済ます
→個人主義が背景にあり、同質化するわけではない。自立するから共有できる。
→共になにかをすることに喜びを見出す
→シェアとは自分がもっているもの、できることを出し合い、必要な人がそれを使うこと。
・ブランドからシンプルへ
→必要な機能を持つものだけに興味を示す
・欧米的で都会的志向から日本的で地方的志向へ
→シェア志向は分散志向ともいえ、その結果、都市集中から地方分散へ。
→エコでシンプルな志向は旧来の日本志向と結びつきやすい。自然との共生をしながら生活様式に昇華させた国といえるから。
・物からサービス、人へがよりドライブ
→お金を介在させない「つながり」を作ることに喜びを感じる

■なぜそうなったのか?
・効率主義に対する疲労感
・人間の消費行動は本来、効率主義と対極にあり、目的の実現より実現の過程に関心を持つ行動。そして、充実した時間の消耗こそが真の目的とする行動。
・求めているものは効率や進化ではなく、生きていること自体への充足。


■今後、どうなる?
・それぞれの消費社会は多重構造的に折り重なるものである。だから、第四の消費が広まりながら、第三の消費も並立する
・新築住宅からリフォーム、リノベーションに軸足が移る。また、他人とスペースを共有するシェアハウスも拡大。家賃や安心感などからもそれが望ましいと考えるようになる。「おひとり様」の拡大も、その要因となりうる。
・ワンランクアップよりもよりシンプルなものが求められる。それがエコロジーだし、エコノミックなのだ
・廃れゆく商店街は商店街として再興は無理。そうではなく生活総合拠点として生まれ変わる。商売、住居と共に育児、介護、文化の拠点として生まれ変わっていく
・SNSとの親和性も第4の消費は高い。一箇所に何万人呼ぶのではなく、複数個所に何十人集客できれば、ビジネスが成り立っていく。その集客機能としてSNSは有効
・従来のインフラ投資の恩恵を受けて、「離島で働き、月イチ東京で仕事」のような生き方もできるようになる。若者も地方に、しかも擬似大都市化された地方都市ではなく、所謂田舎に向かう。
・シンプルとはワビサビや山水思想ともマッチングする、たとえば、無印良品。
・団塊ジュニアは第四の消費社会を終えるのが60歳前後、第五の消費社会は老後として死を考える時期。エコネイティブでシェア志向になった世代がどのような消費社会を創造するか。わかっているのは人口減少と共に量、質共に縮小を前提としたモデルで考える必要がある。

■これからなにが必要か?
・ライフスタイル、ビジネス、街づくりをシェア型にかえていく
→家族の定義を見直し、一住居=一家族とみる。シェアハウスなどが典型。
・プライベートを少しずつひらき、パブリック化することを推進する仕組みをつくる
→私有への囚われが隣人の顔の名前も知らない閉鎖社会を作っている
→シェアハウスからシェアタウンへ。お金がなくても生きている街。
→市民ひとりひとりが少しずつ自分のプライベートを開いていく。
・地方独自の魅力と強みを見出し、若者が地方を楽しみ、活動できるようにする
→空き地ができたからといって駐車場にしたところで、それだけでは人はこない
→街に目を向け、集まれる場をつくる。たとえば、佐賀市のワイワイコンテナ。
→地元民はわからない地元の魅力、資源は豊富にある。そこに目を向ける。例えば、空き家を格安の長期滞在用宿にして、観光で土地にお金を落としてもらうような仕組み。
→地方の土地の精神を生かした、デザイン、観光を考える。
・金から人へ、経済から生活を重視した原理の転換をはかる
→スクラップビルドなビジネスモデルではなく、エコロジーなビジネスに移行する。たとえばリユース、リフォーム、リノベーション。そこに人のつながりが生まれるような仕掛けをつくっていくのが第四の消費社会を支えていくビジネスモデル。
→マンションから住宅も管理する時代にはいる。そこにシェアの発想を取り入れる。劣化したニュータウンをシェアタウンへ変えていく


■おまけ
・田舎で生活するのは実はお金があまりかからない。年収200万円でも生活費が2万円なら毎月10万円の貯金も可能。農業もしかり。まずは行ってみることが大事。
・三人の若者が1人の老人を支えるのではなくて、三人の老人が一人の若者を支えるような発想ができないか?たとえば、シェアハウスによる同居。随分と違った世界が見えてくる。
・生きる時間を消費されるのではなく、人生の充実にむかう生活、仕事のスタイル確立が重要になる。社畜とは相反する世界。
・シェアという発想は発想の面積を広げる考え方。
・時代読むには、経済界の大御所、大マスコミの逆をいき、現場の声を直にみること