誰かが迎えに来るのを
ただ しゃがみ込んで待っていた
誰かが蹴ったボールが当たっても
車が跳ね上げた泥水をかぶっても
ただ そこにうずくまり
誰かが連れ出してくれるのを
ただただ 待ち続けた
女の子はやがて 少女になり
少女はやがて 女性になった
けれど 彼女はまだ動かない
誰も迎えに来てくれない私は かわいそう
ボールが当たった私は かわいそう
泥水をかぶった私は かわいそう
誰かが迎えに来てくれるまで
誰かが謝りに来て
大丈夫?と聞いてくれるまで
誰かが車が車を止めて
駆け寄ってきてくれるまで
動かない
そこにうずくまって
迎えに来てくれない誰か
ボールを当て
た誰か
泥水をかけた誰か
のせいにして
被害者の自分を哀れんで
もう大人になった彼女は
誰かの元にかけることもできたのに
もう大人になった彼女は
ボールを投げ返して
一緒に遊ぶこともできたのに
もう大人になった彼女は
誰かの元へ 駆けることもできたのに
ボールを投げ返して
笑い合うこともできたのに
泥水のかからない場所へ
自ら動くこともできたのに
大人になった彼女は
泥水のかからない安全な場所に
自分で動いていくこともできたのに
誰かが迎えに来てくれるまで
誰かが謝ってくれるまで
誰かが服を乾かしてくれるまで
ただ そこにうずくまって
幸せになんてなってやるもんか
幸せになりたいと願う彼女は
幸せになりたくない彼女
ある朝 立ち上がった彼女は
ようやく気づく
道の向こうに 温かい眼差しが
ずっと自分を待っていたことに
ボールを投げ合うことが
こんなにも楽しいことに
歩けばすぐそこに
温かいコーヒーのある
カフェがあることに
太陽が近づくことに
なんでいままで
気がつかなかったんだろうね

