堤幸彦監督作品「望み」2020年を見ました.
扱っているテーマはたしかに面白いけど,登場人物の行動が一つ一つ馬鹿すぎてあまりリアリティがなかったです.
以降,ネタバレを含みます.
今後ネタバレ無しで見ようかと思っている方は読まないでください.
ただ,私は以下のネタバレを読んで頂いた上で,この映画を見ないという判断をしていただくことをお勧めします.
ある殺人事件が起きます.
殺人事件の被害者は息子と同じ高校の生徒でした.
同時期に行方不明になった生徒が3人いて,そのうちの1人が主人公家族の息子です.
3人のうち,1人は追加の犠牲者,2人は加害者と噂されています.
失踪した息子は果たして殺害された被害者なのか,それとも加害者なのか.
どちらであっても大変な不幸です.そんな状況下で残された家族(夫:堤真一,妻:石田ゆり子,娘:清原果耶)の心境が描かれています.
そのテーマ自体は面白いのですが,作者が作り上げたい大枠のストーリーを成立させるために,登場人物がとっている行動がばかすぎてリアリティに欠け,結果として面白くない映画に仕上がっています.
以降はその馬鹿な行動を列挙します.馬鹿度合を星3つで評価しましょう.星は多ければより馬鹿度が高いです.
[夫:堤真一の馬鹿行動]
1. 取引相手の建築会社の社長(最初の被害者の知り合い)に「お前の息子は犯人なんだろ,そんな奴と一緒に仕事できるか」と責められたとき,自分の息子が被害者である可能性に言及しない.★★★
普通ならうちも被害者かもしれないんだぞっていってブチ切れるところ.なのに一方的に責められることを許容している.そんなに現実世界の人間って馬鹿で臆病ですか?逆にそれが未確定の状態で責めてくる建築会社社長も頭が悪く描かれすぎ.
2. 隣人に苦情を言われたからといってマスコミの前に顔を出す.★★
事件発覚後に自宅をマスコミに囲まれます.はじめは引きこもっていた夫ですが,隣人に「迷惑なんですけど」と苦情電話を受け,しぶしぶマスコミの前に顔を出し,強引なインタビューの被害に合ってしまう.これも悪手ですね.普通の現実世界の人なら,自分で顔を出さずに,そのまま警察に相談すると思います.今は自分の息子が殺害されたか/殺害したかという非常に大きな問題の最中です.今後の隣人関係を優先すべきじゃないでしょう.それに,自分が外に出たからといってマスコミが出ていくとも限りませんよね.逆に苦情を言ってくる隣人も頭が悪いです.普通の人なら自分で警察に相談すると思いますよ?
3. マスコミに囲まれるかもしれないのに,妻を自転車で一人で買い物にいかせてしまう.★
結局,マスコミに囲まれるといった事態にはならなかったが,あんな最中に付き添い無しで買い物に行かせるとか,妻を守ってあげる意識が足りなすぎ.
4. 噂話などによって傷つくかもしれないのに,娘を塾や学校に行かせる.★
数日くらい塾や学校なんて休ませたらどうです?高校受験期なら尚更,一人で落ち着いた環境で勉強させる方が重要じゃないですか?それくらいの判断,普通の人ならできるはず.
[妻:石田ゆり子の馬鹿行動]
1. 怪しい記者に「情報を与えますから」と言われてまんまと取材に応じてしまう.★★★
今時,雑誌記者やマスコミの悪評は知れ渡っているので,あんなに怪しい新聞記者に取材を申し込まれてOKする人なんていますか?それに今はネット社会,マスコミに頼らなくてもネット上でいくらでも情報を得られるはず.普通の人ならマスコミよりネットに頼ると思います.
[怪しい雑誌記者の馬鹿行動]
1. 主人公の息子を加害者側だと予測してしまう.★★★
映画の終盤で主人公の息子は死体で発見され.加害者ではなく被害者であることが判明します.それなのに,新聞記者は「息子さんは加害者の側だとおもいます」との談.これ,完全に取材力不足ですよね.同じ高校の仲間内でのいざこざです.高校内なんて友人関係を取材すれば対立関係はすぐに見えてきて,どの2人が被害者でどの2人が加害者かなんて検討がつきますよね.今回も加害者は最初の被害者を恐喝しようとしていた不良2人で,被害者ははじめに恐喝されていた男子生徒とその子と仲が良かった主人公の息子でした.こんなの同じクラスか,同じ部活の生徒に取材すれば一発で判明することじゃないですか.物語を盛り上げるためにそれをずっと曖昧にするっていうのはちょっと...
この映画の良かったところはなんですか?
=> 石田ゆり子がきれい