たとえば、ある装置があって、適切な圧力を維持する必要があるとする。
温度が上がれば圧力が上がる。これは装置に関係なく普遍的な自然現象だ。
で、うちにあるその装置は、温度を測ることはできないが、理由があっていつも温度が下がりがちで、上がりすぎることができないとする。
あるとき私が、その装置の圧力が上がり過ぎていることに気付いた。
下がり過ぎであれば温度が原因かと考えるが、上がり過ぎなのでそれは考えなくてもいい。
実際、その時の様子を観察しても、温度が上がり過ぎはないようだ。
そこで私は原因としてAAを考えた。
それ以外の原因は、可能性はないわけではないが考慮しなくてもいい程度だと考えた。
AAだろうという推測に基づいて、私はAという対処をしてよいと判断した。
これをモラ夫に説明しなければならない場合。
普通の人に説明するのはそれほど困難ではないと思う。でもモラ夫にするのは困難だ。
なぜかというと、普通の人は理解しようとして聞くが、モラ夫は否定しようとして聞くからだ。
なんというか、本質的に重要でないところで反論されて、重要なところの話ができない。この場合の重要なところとは、Aという対処をしたのでそのつもりでいてほしい。もし困るなら言って欲しいということだ。
もしAという対処ではだめだという意見があるなら、私はそれはちゃんと聞きたいのだ。そして別の対処をしなくてはならない。
で、だいぶ前の私は、自分が考えたことを順を追って説明しようとした。それは多分、自分の体験を共有させようとすることになるのだと思う。私にはそういう傾向があるのだと思う。
実際の言い方としては、たとえば、
「圧力が上がっていたから、温度が高いのかなーと思って調べたけどそうとは思えなかったの。となると、このことやあのことを考え合わせるとAAが原因だと思うんだ。だからAということをした」
という風に。
ところが、モラ夫は私の考えの順を追う過程が我慢できない。
「温度じゃないと思ったの」のあたりで、「いーーいから、で、なんなのよ!」
と言う。まあそれをもってひどいとか意地悪だとかはいえないと思う。モラ夫は共感的なタイプではないのだろう。それ自体は別にいいのだ。
そこで私は、結構前からだけど、結論から言うことにしてみている。
「Aという判断をして対処した。圧力が上がっていたんだ。このことやあのことを考えるとAAが原因だと思うから」という風に。
ここからは今回の話。
モラ夫は、「そうとは限らないよ? 温度が低いのかもしれないし」と言ったのだ。
そこで私は、「温度なら、圧力が高いんだから、可能性としては温度が高い、だよね」と言い、「でも状況を見ても温度が高いということはないと思うんだよ。この状況ではAAが起こるということを過去に何回か確認しているし、これはAAと考えていいと思うんだ」と言った。
モラ夫は、「可能性としては温度が高い、だよね」のところで「そうだけど」と言い、そのあとはもうどうでもいいという感じで口笛を吹き始めたのだ。
ほととぎすが間違っているかもしれないと言いたかっただけで、自分が間違っていたのならもうそんな話には興味がない、Aという対処でよかったのかどうかなんてどうでもいい、という風に。
この手のことは、圧力と温度の関係みたいに自然科学の知識が必要な話でなくても起こる。
たとえばこの容器にAは入ってBは入らないとするならばAよりBのほうが大きい、みたいな論理だけのことでも、ちょっと複雑になると起こる。
モラ夫は、
1.論理的な思考能力があまり、というかほとんどない。自然科学のセンスもない。
2.私を否定したくて仕方がない。
片方だけならそんなに厄介ではないんだよね。この両方だから厄介なんだよ。
2があるから1が起こっているのか? でも、もしそうだとしたら、それは事実というものに対する謙虚さがない。事実よりも自分の感情の方が上ということだから。
これを3としておこう。
3.事実に対する謙虚さがない。
要するにアタマが悪すぎるんだよ! と言い切ってしまいたくなる。それほど事実に対する謙虚さがない。
これはもう、バカ、バカ、バカなんだから仕方がない。バカすぎる。地平の果てまでバカ。
と言いたくなるくらい、こちらの感情としては激しいものが湧きおこるんだよね。
実は私は、今となっては、モラ夫が私のいうことを積極的に理解しようと思って聞かなくても、冷徹な気持ちで聞いてくれても構わない。こと仕事に関しては全く構わないと思う。
モラ夫に論理的な思考能力さえあってくれればいい。そうすれば、「圧力が高いのは温度が低いからかもしれないよ?」などという反論はあり得ないから、私と同じように他の原因を考えるだろう。
その上でだったら、批判的に意見を言ってくれたらむしろありがたい。私が何か見落としていないか? 判断は適切か? とチェックしてくれたら嬉しい。
次に、別の方向に考えると、実はモラ夫がウッカリさん、早とちりさんでも別にいい。
あの装置はいつも温度が低いということを知っていて、圧力と温度とは関係があることも知っていて、思わず「圧力が上がっているのは温度が低いからなんじゃない?」と言ったとしても、別にいいのだ。私にもその手のことはあるし。
私は、頭が悪いとか論理的能力がないとかの理由でモラ夫が嫌だったりするのではないのだ。断じて。
「圧力が高いのは、温度が高いときでしょ」と私が言ったときに、「あれ、そうだっけ。あ、そうだった。間違った」と言ってくれたらいいし、それでもなお「え?そうだっけ?逆じゃない?」って言ってくれてもいい。普通に言ってくれるのなら。
過去の実例では、モラ夫はそういう時キレて反論する。
「圧力が高いなら温度は低いんだろ。バカなのか? あ?」
私が説明しようとしても、遮ってキレ続ける。
「圧力高いんなら温度は低いんだろうがよっ」

こういう事実に対する認識が相手と違ったからといってキレる人を私はほかに知らないし、キレる心理もわからない。
だが恐らく彼は、自分が騙されようとしているのだと感じて、騙そうとする人間にキレているつもりなのだと思う。
そんな風じゃなくて普通にやり取りできるなら、知識がなくても論理的に考えられなくても全然構わない。
そんなことでバカにしないし嫌いにならない。
私が「バカ! 地平の果てまでバカ!」って言っているのは、実はモラ夫をバカにしているのではないよ。
バカという言葉を使う以外にどうすることもできないような、閉塞感なんだよね。
で、さらにいうと、「温度が低いのかもしれないし」と言ったのが、原因を突き止めたいという気持ちじゃなくて私を否定したいという気持ちからだったとしてもまだいいんだよね。そういう気持ちから逆の推測に飛びついてしまった自分を恥じる気持があれば。
それもない。口笛吹いている。現実から逃げている。
そしてやっぱり、仕事のことなんかどうでもいい、共同で仕事をする上でのやりとりなんかどうでもいい、という感じが、私は嫌だなあ。
でもモラ夫はきっと、私から加害されるのを防ぐために、自分を守るために口笛を吹いたのだと思っているよ。
ほととぎすの話す意味のないくだらないことを聞かされて嫌な気持ちにならないように、自分を守ったのだと、きっと本気で思っているんだよね。
ね。モラハラって、こういうの。
この前弁護士さんに相談した時、「どんな暴言を言われますか?」って訊かれたけど、こういうのって答えようがないです。「温度が低いのかもしれないよ?」は暴言じゃないし・・・。
自分が質問をしておきながら、私の説明の途中で口笛を吹くんです、で伝わりますか?
法曹界の人は、私のこんな記事を読んだら、どう思ってくれるでしょうね。
ほう、そうかい?