summer_30この本を読んだ後で誰もが言うように、壮大なスケールに暫く呆然とするというのは決して誇張ではないのですが、それは無限と永遠を前にして立った時の自分という個人が、果てしのない壮大な世界や永遠という時間に対してあまりにも小さく、その底知れないギャップに気がつき、愕然とするからでしょう。その底知れないギャップには、「百億の昼と千億の夜」というイメージとあいまって、読者に美しくも哀しい気持ちと、永遠なものに憧れる敬虔な気持ちとをひきおこす、不思議な作用があるようです。