福岡伸一博士によれば、生命現象とはつまるところ「流れ」である。心臓が動くのも、脳で考えるのも、エネルギーと情報の「流れ」なのだ。生命現象は物質的な基盤にあるのではなく、つまり臓器にあるのではなく、そこでやり取りされるエネルギーと情報がもたらす効果にあるのである。
このエネルギーと情報の流れは全身くまなくリンクしている。したがって一つでも臓器が不全になりその流れに滞りが起きれば、私たちはたちまちのうちに生命の危機に立たされる。透析患者はそれを身をもって知っている。
私が移植手術後かなり意識したことは、この流れを一時も早く正常化させたいということだった。もちろんそれは、自分でコントロールできる範囲のことではあるが。
それは、精神を安定に保つこと、常に前向きなプラス思考をすることに加え、歩くことだった。
歩くことは、傷や移植腎やもろもろの機能を取り巻く「滞り」を解消し、「流れ」そのものを良くする働きをするに違いないと確信していたからだ。病院では術後2日目で断固として歩くことを指示される。それはそういう意味に違いない。
以下は、術後の歩いた距離である。
術後2日目 150m
術後3日目 350m
術後4日目 850m
術後5日目 1㎞
術後6日目 1.2㎞
術後7日目 1.3㎞
術後8日目 1.55㎞
歩くとみるみる体力も回復し、その後の痛みも取れていく。
昨日の午後、バタバタしていて、いつもの通り歩くことができなかった。するとどうだろう、夜中、痛くてしばらく飲んでなかった鎮痛剤を飲まねばならなかったのである。不思議だね、人間の体。