11時30分が検査予約の時間。
11時10分ごろから待って、検査入室が40分。
この30分が嫌な時間だった。
で、女友達あいてに他愛のないメールを作成して、気分を紛らわせていた。
気分を反映してか、他愛ないメールが次第に真面目な内容になってしまった。
検査室に入ると、検査着に着替えを促される。
「全部脱いで着替えてください」
「靴下も?」
「汚れるといけないから、着替えてください」
「ハイ…(へー、汚れちゃう可能性もあるのか…)」
検査着は濃紺の上下。下の半ズボンは、大切な社会の窓あたりからお尻までぽっかり空いている。(なるほどここから、管入れるのか…、でもなんでお尻まで空いてる?)
検査台に膝を立てて寝かせられ、いよいよ管を入れられる。検査技師ははきはきした27・8歳の若い女性。明るく説明してくる。
「ちょっと男の方だと不快で気分悪いかもしれませんよー」
「痛くて不快なんじゃない?」と私。
「前にしたことあるんですか?」
「ありますよ、狭心症で心臓カテーテル入れたとき、この処置をさせられた。死ぬほど痛かったし、嫌だった。」
「その時より、管は細いですよ」と見せてくれる。
なるほどその時より細い。
そんなこんな風に軽口のやり取りをして、いよいよ管を入れる。
「力を入れないように…口開けて大きく息を吸って…」
といわれて、口を開けたとたん、ズズッと入ってきた。
(痛て!)
「男の方はここが痛いからね、もう少しですよー、ハイもう一度ゆっくり大きく口開けて呼吸して…」
といわれて、さらにズズッと…。
「痛いところはもう一ヶ所ここですから、もうすぐ終わりです。」
(はっ、ぅ…、なんて声にならない声が出そうになるが…)
「ハイ、もう大丈夫ですよ」
その言葉でホッとする。
意外に固い針金的なものが刺しぬいた感じ。
管はテープで固定。
「お尻の周りに二ヶ所、電極張りますね」
「えっ?なんですか、これは?」
貼り終って、
「ちょっとお尻に力入れてください」
肛門に力入れると、ディスプレーにピッと反応が出た。なるほど、そんな風に筋肉の緊張を測定だかするものなのか。しかし、何のためだかね…。
「今度は座薬入れます。これはなんじゃらかんんじゃら…検査…なんじゃら…」
座薬の言葉に反応しすぎて、説明を聞き取れない。恥ずかしいじゃん!
この座薬、なかなか入らない。二度三度とぎゅうぎゅう押し込まれる。
「俺はマゾでもないしオカマでもないから、管も座薬もぜんぜんダメ、少しはマゾ的なことになれてくるんだったなー」と、へたれため口を利くと、女性検査官は「?」という顔をした。
これで準備が出来たのか、検査台が立ち上がりちょうど、検査台を背に足元に有った腰掛けに座るような姿勢になる。すると、ちょうど腰掛けはU字型で、その下は小水用形状の便器が付設されているのである。
検査は点滴で真水を膀胱に入れていくというものだった。最初と途中途中と最後に透視映像を撮る。
「我慢できなくなったら言ってくださいね」
「それからどうなるの?」
「検査を止めて、そのあとそのまま出して下さい」
「えー、管はいってますよ」
「大丈夫です、管の横から出ます」
「(…そ、そうなんだ…)」
「最近お小水は一日何回です?」
「三回、四回です」
「行きたくなってですか?それとも決めて、ですか?」
「うーん、最近は、朝昼晩と大体決めていってます」
「どのくらいの量ですか?一回100CCくらいですか?」
「いや、ここ一ヶ月で少なくなりました。先月まで300CC以上出てましたけど、この一ヶ月急に出なくなったんです」
なんて話していると、
「ハイ、ここで撮影!」と撮影技師に指示。
(これがあるタイミングごと何度か繰り返される)
「まだ、大丈夫ですか?」
そういえば少し尿意を感じる。
「今どのくらい?」
「100CCくらいですかね、長く透析していると50CCくらいの人もいるんですよ」
輸液パックを取り替える。
またいろいろ話しているうち、だんだん尿意が強くなってくる。
「だんだんきつくなって来たんですけど}
「ガマンできませんか?」
「出来ちゃいますが…、どのくらいガマンすればいい?」
「限界までですよ}
「どこまでもがまん出来ちゃいますよ」
「(笑)がまん出来なくなりますから」
だんだん限界。
「そろそろ、限界です」
「どのくらいですか?」
「普通だったら、トイレに飛んでいくレベルです」
といってる間にも尿意は強まる。
まだ震えが来るまででもないが、その一歩手前くらいか。
「もう、すぐしたい感じ!」というと、
「では、ここで止めましょう。ここで撮影しておいてください」と撮影技師に声をかける。
(まだもう少しガマンできそうだけど、いいのかな??)
「そのままおしっこして下さい」
はじめ出にくかったが、まー、けっこうちょろちょろ出る。
膀胱がすっきりしていくこの感じ気持ちいいね。
しかし、若い女性の前でするのは、うーんなんともいえない気分。
結局現在の膀胱の限界は250CCだった。昨年の透析前400CCくらい平気で出していたから、ずいぶんこの透析した一年で容量が減ったなー。
移植後のトイレ、けっこう大変そうだ。
「では、嫌なものをとりましょうね。」
といってテープをはがし、管を抜き、座薬(?)をスポッと抜いた。
テープをはがすときは、イテッ!、管を抜くときは、アゥ!座薬は、ウッ!という感じ。
「ハイ終わりです」
「ありがとうございます、お手数おかけしました」
「最近、痛いのとか苦しいのとかにとっても弱いんです。昔若いときは、どんな怪我しても痛いと思ったこと無いんですけどね」と私。
「最近の若い男の子は痛がって大変ですよ。良かったですね、きっと若返ってるんですね」と女性検査技師。
(ふーん、そうなのか。やっぱり心の持ちようなのかも…、最近私も、若い男性も痛いなんてことは男ならガマンする!なんていう精神性、失ったのかもしれない)
しかし、思っていた以上に痛くもしんどくとも無く、ため口きいてるうちに終わった。なんかおじさん余裕だった、かもしれない。
とはいうものの、お昼は一つ嫌な試練を超えたということで、自分へご褒美として神楽坂で美味しいフレンチにしたのだった。