M氏が仕事のことで相談にみえたのは昨年の12月のことだった。
M氏は私の尊敬する経営者の一人で、若いころ大変お世話になった方である。学生運動の活動家であった私を、社会に上手に受け入れさせていただいた恩人である。この人生の先輩たるM氏が、私に頼んだことは、氏の経営する会社を引き継いでもらえないか、ということだった。営業成績が落ち込みこのままでは会社が立ち行かないので、何とかしてほしいということなのだった。
当時の私の体調は最悪だった。年末に透析導入するか、どうするかというような状況だった。引き受けたくともとても出来る状況じゃなかった。
そこで私は、初めて自分の病気を打ち明け、社長を引き受けることだけはお断りたのだった。しかし、あまりにも残念がる氏を目の前にして、何もせずに返すことが出来なかった。そこで、営業のコンサルテーションを体力の続く限りやりましょう、と申し入れたのだ。3月末までコンサルを続け、4月中旬、次のコンサルという日に入院して透析に入ることとなってしまい、やむなくお断りの電話を入れた。
昨日はそのコンサルテーションの再開の日であった。この4ヶ月、まだコンサルの結果が出ていない。一番大切な時期に私が休んでしまったのにも原因はあるが、何しろ営業マンたちに危機感がないのが、決定的なことだ。会社が立ち行かなくなりそうなうなのにその危機感がない。
氏は私に、そうした彼らに引導を渡してもらいたい、という気分もあるらしいのだが…。