意思を継いでくれる事
今年の春、高校を卒業していま社会人として頑張っている友人の息子が電話をしてきた。
少し余裕が出てきたので単車をこさえてくれと。
奴は学校を出てすぐ中型2輪の免許を取っていた。
就職後すぐに単車を欲しがったが、実用的な話で車を先行させた。
「じゃぁ、どうでも良い軽自動車こさえて」
その言葉でこいつの決心も分かり「代車用に直してあった」かなり型落ちのアルトを安く譲った。
そして現在になる訳だ。
数日後とつぜん来店。
「あ~?どんな単車欲し~んだよ?」
「250なら4発、400でも4発かなぁ・・・・」
「250で4発で元気良いっていったら時代設定あらかた決まっちゃうなぁ」
「でも、本当に乗りたいのは…工場のウルフ」
「俺の?」
「そう、やっぱり2スト250が一番の欲しい車種だけど・・・」
「うん?」
「まともなの死ぬほど高いし、誰が触ったか分らない2ストは怖い」
「・・・・・・・・」
「無理ならいいよ?4発の250で」
「・・・お前サ、50ガンマ乗せたじゃん?」
「うん」
「高校生活三年間楽しかったか?」
「最高に楽しかった。アイツでよかった」
「そっか」
「負けなかったよ、先輩にもシブいって言われてたし」
「じゃぁなぁ・・・」
「?」
「乗ってみっかウルフ」
「マジで良いの?」
「ああ、でも少し時間くれ。ほとんどレストアの領域だ」
「やったぁ!ありがとう」
「じゃぁ、金貯めとけよ?」
「大丈夫。この日のために無駄遣いはしてない」
「そっか」
こんな会話ののち奴は事務所を出た。
本当に嬉しそうに帰りやがった・・・。
俺の傍にはいつも単車があった。
思えば中学の頃くらいから自分の原付や単車が無かった期間といえば結婚資金のためGS400Eを売っ払って以来のこと。
その時は一カ月で我慢できなくなりスパーダを衝動買いした。
当然、うそつきと奥さんには言われた。
今日はフロントの4ポットキャリパーをオーバーホールした。
もうすぐ渡してやれるな。
寂しくなるな・・・。
そんな事を思っていた時に来店者。
久々に来店したのはシングルファーザーの子。
来れなかった間の大変だった事など色々話していた。
その時ポソリ。
「出してもらったうちの青いの、持ってきて良いですか?」
「いいよ・ホイール交換か?」
彼の所には以前先輩に出したクインキーが行っている。
「いいえ・・・本当にすいません。倉庫占領してたら怒られまして」
「おう、居候だしなぁ^^」
「乗ってやれないし、外置きになってるんで傷んじゃったんです、かなり」
「・・・・・」
「・・・・・無理言って出してもらったのに、本当にすいません・・」
「^^いいよ!!もっといで」
そんなこんなでクインキーが帰ってくるようになった。
自分の足の回復もまだ駄目だし、このまま単車とは縁が無くなるかと内心思っていたけど・・・・・・・。
俺に内緒で連絡取り合ってたのだろうか、あの単車たち。
なんか、どうしようもなく
ありがとう
「なあお前?白煙ぶっちらまかしてフロント上げて走ってみな。
俺が若い頃感じた、それよりもっとスゲーもの体感できるかもしんないぜ。
俺か?俺はこれで十分さ。乗り続けられることが本当に嬉しいんだ。」
スロー&ファースト
俺はこんなことのために車屋になったのかもしれない。