IN THE SUMMER ② | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



ゲームは盛り上がって、酒もどんどん進んで。

はしゃぎながら女の子たちは帰り、俺ら男だけが残る。

「悪いね。」

そう言いながら、片付けを手伝う俺らに潤が指示を出す。

海の家をやってるのはこのイケメン。

通りで可愛い子が多かったわけだ。

サマーニットが潤狙いなのは、俺でもすぐわかった!

「あ、それそっち。雅紀は洗い物してくれる?」

「OK。翔ちゃん、テラス見て来て。もう洗い物ないか。」

「あ~、まだあったな。」

泊まる所を提供してくれるんだから、これくらい大したことはない。

潤の家は、海の家から歩いて3分の所に民宿もやってて、

そこに今日は泊めてもらうらしい。

格安どころか無料(タダ)で!

潤のお母さんは雅紀がお気に入りなんだそうだ。

雅紀が泊まりに来るなら、友達が数人付いてても構わないんだって。

マダムキラー雅紀の本領発揮!

テラスのグラスを片づけていると智がやってくる。

「手伝うよ。」

「おぅ、サンキュ。」

実家がオレンジを作ってて、自分は椅子を作ってる爪が青く汚れてる男は、

智と言う名で一つ年上だった。

俺が知り得た情報はそれだけ。

ああそうそう、一番俺好みのスレンダーでショートカットの子は智狙いだったな。

何かって言うと隣に行って笑い掛けてたから、間違いない!

「雅紀とは小さい頃からの友達?」

ゴミをひとまとめにしながら話しかける。

チカチカ光るイルミネーションと月明かり。

「違う、高校で一緒。」

家の中の照明が届くのはテラスの真ん中まで。

ここまではほとんど届かない。

「結構仲良さそうだよね?」

時折り、ザザァーッと寄せる波の音。

「そうかぁ?」

智がふにゃっと笑う。

笑った時の目尻の皺!

なのに、腕は逞しくって。

「椅子作るのって大変?」

ん?と斜めに顔を上げる智。

俺より若干背が低い。

「そうでもないよ。まだ規定品しか作らせてもらえないけど。」

智がクスクス笑う。

「綺麗に仕上がると、うわってなる。自分に。」

クスクス笑いが大きくなる。

楽しいんだな、椅子作り。

「今作ってんのは青いの?」

「青?」

智が自分の爪の汚れに気付いて、もう片方の手でゴシゴシ擦る。

「取れないんだよ、なかなか。」

擦ってもとれない爪を俺に見せる。

「東京から人が来るって言うから、ちょっとは綺麗にしようと思ったのに。」

恥ずかしそうに笑うけど、自分を蔑んでるわけじゃない。

智からはどこか自信が伝わって来る。

自分の足で立ってる者の自信。

遊びに来た大学生とは違う、大人の自信。

「これ置いたらさ、少し浜に出ない?」

「浜?」

智が顎でクイッと海の方を差す。

「いいよ、これ下げればほぼ片付け終わるし。」

智がニコッと笑ってグラスと皿を持つ。

「あ、待って。」

俺はその皿の上に、乗せきれなかったゴミを乗せる。

「え、それじゃ飛んじゃうよ!」

「大丈夫大丈夫。智の運動神経をもってすれば!」

「知らないくせに~。」

智は笑いながら皿を運ぶ。

もちろん、ゴミなんて一つも落とさない。

落しそうになっても、バランスを取って未然に防ぐ。

椅子作りって、運動神経も必要?



皿を下げたその足で、智と並んで浜に下りる。

ビーサンの間に砂が入る。

サラサラの砂。

全く気にならない風な智が、前を歩いて両手を真上に伸ばす。

右手で左肘を掴んで背中を伸ばす智に、月明かりが当たる。

綺麗なシルエット。

「月でもさ、道ができるんだよ。」

智が地平線の方を指さす。

「今日はダメかぁ。月が高ぇな。」

智の言う高い月は半分くらいの大きさ。

「もうちょっと丸くって、低い時なら見えるんだけどなぁ。」

それを俺に見せたかったの?

波打ち際、濡れてない部分に、智が躊躇なく腰を下ろす。

俺も並んで……ちょっとためらいながら腰を下ろす。

膝の上で手を組むと、智も同じ格好してて笑える。

「何?」

智が訝しそうな顔をする。

「だって、同じ格好。」

智も膝の上の手を交互に見て、んふふっと笑う。

「マジか。俺ら気が合うな。」

智の笑い声が波と戯れる。

智の声は気持ちいい。

高くなく低くなく、波とも月ともうまく交わる。

「いい子、いた?」

「え?」

振り向くと智がクスッと笑う。

「女の子。」

「ああ、相手にされてないって感じ?」

遊ぶにはいいけど、俺らなんて相手にされてないよ。

すぐ帰っちゃうし。

仲良くなってもしょっちゅう会えるわけじゃないし。

「マユ……。」

マユ?

「あ、ストライプのシャツの子、あんた狙いだったじゃん。」

俺?

そうだった?

「気付いてなかったの?」

「全然。」

ゆっくり首を振ると、智がプッと吹き出す。

「これじゃダメだ。しょうがないね。翔ちゃん、鈍感だった!」

「違うよ、たまたま気づかなかっただけ!」

たまたまってなんだ?

自分で言ってておかしくなる。

「ショートカットの子が智狙いなのは気づいたから!」

「ショートカット?ああ、東京から来た子?」

そうだったの?

同じ大学?

全然知らなかった。

俺の顔を見て、智がクスクス笑う。

「翔ちゃん、女の子に全然興味なし?」

まさか!興味ありありですよ!

でも今は……。

正直、女の子より、隣の月明かりに浮かぶ男から目が離せない。

声も、仕草も、笑い方も、爪の先の青い塗料も。

「翔ちゃん……?」

俺を見て、きょとんとする智。

「え?マジで女の子に興味なし?」

智の顔が近づく。

ザザァッと打ち寄せる波が俺のビーサンを濡らす。

あれ?どうして俺、こんなに智に興味あんだろ?

女の子より、濡れたビーサンより、智が気になって仕方ない。

じっと見つめる俺に智の顔が近づく。

「んはは、俺に惚れたか?」

ニッと笑った智の唇が、チュッと俺の唇を掠める。

え?と思う間に智が立ち上がる。

「戻ろ。波、来ちゃう。」

後ろ姿の智のTシャツが風に靡く。

え……。

ええっ。

「えええええっ!」

俺が上げた声に、智が笑ってるのが後ろ姿でもわかる。

なんだ?

え?どういう意味?どういうこと!?

ザァッと打ち寄せる波に、ビーサンがほぼほぼ濡れて。

それでも立ち上がれない俺。

智の感触が、まだ唇に残ってる。