「え?お、俺だって……。」
松本が見つめた先にいたのは二宮で……。
「え?え~~っ?」
相葉、大野、櫻井が驚いて振り返って二宮を見る。
「可愛いなと思ってずっと見てました!お願いします!」
サッと松本が右手を差し出す。
「む、無理!無理無理無理!私は相葉先生が……。」
二宮は、女子高生のように胸の前で両手を振る。
「と言うことは……。」
櫻井は一同を見回し、大きく腕を組む。
「3人には動機がない。」
ハッと気づいた3人が交互に視線を合わせ、力強くうなずく。
「そりゃそうだよ。櫻井さんのパンツなんて……。」
松本が、外国人よろしく、手の平を上げる。
「お、俺も!だってお気に入りあるし!」
相葉が思いっきり手を挙げる。
「私だって、どんな珍しい繊維でできていても、櫻井さんの使用済みパンツなんて……。」
二宮は鼻で笑って横目で櫻井を見る。
「と言うことは……。」
松本、二宮、相葉、櫻井の視線が大野に向けられる。
「え……あ……。」
4人の視線に、キョロキョロ視線を泳がす大野。
「そうなの?智君なの!?」
櫻井の膝が一歩前に出る。
4人の視線から、逃げ場はないと観念した大野が答える。
「そ、そうだよ!翔君のパンツ盗ったの、俺だよ!」
叫ぶ大野に、仰け反る4人。
「ええ~?」
「なんで?」
「大野さんがっ?」
「智くぅ~んっ!言ってくれればそんなのいくらだって……!」
4人を見回し、口を尖らせた大野がボソボソと話し始める。
「パ、パンツが欲しかったわけじゃ……。
ただ、掃除しようと思ってシャワー室入ったら、見覚えあるパンツがあって……。」
静かに話を聞く4人。
「パ、パンツも見せる仲?」
興奮ぎみの相葉が隣の二宮に聞く。
「そりゃそうでしょ?付き合ってるならパンツくらい……。
なんなら、パンツの中身だって……。」
「きゃあ~っ!な、中身まで~?」
わざと指を開いた手で、口を抑え、女子のような仕草をする相葉。
「うるさいっ!」
松本に怒られ、シュンとした相葉が、どうぞ続けてと大野を促す。
「あのパンツ……相葉先生からのプレゼントだって嬉しそうに翔君が話してて……。」
「バカ?あなたそんなこと話したの?」
二宮に睨まれ、櫻井が言い訳する。
「それは……隠し事のないカップルになりたくて……。」
「カ、カップル!」
反応する相葉の頭を、二宮の手がゴンと叩く。
「痛っ。」
頭を撫でながら、大野の続きを待つ。
「他の人のプレゼントしたパンツが、翔君のを包んでると思ったら……。」
「つ、包むって……。」
顔を赤くし、想像する相葉をもう、松本も二宮も止めはしない。
「翔君を包んでいいのは俺だけだろ!?」
「智君……。」
櫻井が大野を見つめる。
大野も櫻井を見つめ返す。
「そうだよ、俺のを包んでいいのは智君だけっ!
未来永劫、智君だけに包まれていたい!」
「翔君っ!」
手を取り合い、見つめ合う二人を、茫然と見守る3人は……。
「ね?これ何?」
「さぁ……。」
「愛だよ、愛っ!」
興奮した相葉が松本の手を握る。
「俺らも愛を育もう!」
「相葉さんは私とね!」
「いやいや、二宮先生は俺と……。」
「じゃあさ、三人で育もうか?」
「三人で?」
戸惑う松本と二宮の手を取り、相葉が目を輝かせる。
「男同士を受け入れられるんなら、三人も受け入れればいいじゃん!」
「え?」
「そういうもん?」
「そうだよ!三人で愛し合おう!」
「……まぁ、いっか?」
仕方なく、松本も二宮の手を取る。
「二宮先生も一緒なら。」
「え?」
驚いた二宮も首を振り、二人の手を握り直す。
「仕方ありませんねぇ。固定概念に縛られていたら、新しいものは生まれない。」
見つめ合う三人に気付いた大野と櫻井が、不思議そうに首を傾げる。
「で、どんなパンツだったの?」
松本が相葉に聞く。
「ああ、夏っぽいやつ。」
「夏?確か、櫻井さんの誕生日って……。」
「そ、冬だったから、3枚1000円!」
「なるほど!」
「じゃ、それ履いて……打ち上げちゃう?」
相葉が言うと、大野と櫻井の顔が、サッと赤く染まる。
「こっちは3人って……どうするの?」
「どうしよっか~。」
相葉は悩むわけでもなく、ニコニコ笑いながら、二人の肩を叩く。
「大丈夫。なんとかなるから!」
心配する素振りのない相葉に、松本と二宮が顔を見合わせる。
大野がごそごそとポケットからパンツを取り出す。
大輪の花火を模ったパンツ。
それを櫻井に差し出す。
櫻井は首を振り、大野の肩を抱く。
「俺らにパンツなんか必要ない。」
「翔君……。」
「さ、今すぐ大きな花火を打ち上げよう!」
「ちょっと待て!ここ学校……。」
「じゃ、すぐ家に帰ろう!」
櫻井が大野をグイグイと押し、用務員室から出て行こうとする。
「待て待て。今日はフェスティバルに行くって……。」
「じゃ、速攻で見て、速攻で帰ろ!」
「ノーパンでか?」
「パンツなんて履いてない方がすぐできる!」
「大して変わんねぇだろ!」
「とにかく、すぐに花火打ち上げたいっ!智く~んっ!」
「ばかっ、離れろ!」
「今日は離れないっ!」
「ば、ばか……。」
嬉しそうな大野を抱きかかえるように、櫻井は自分の車に向かう。
「櫻井さんっ!」
後ろから声を掛ける3人に、振り向かずに手を振る二人。
「じゃ、俺らも行く?」
「どこへ?」
「フェスティバル!いろいろあるらしいよ?」
「もう帰る時間ですし……付き合ってあげてもいいですよ。」
「行こ行こ。パンツ履いて!」
松本が声を上げて笑う。
「大丈夫。履いてないの櫻井さんだけだから!」
「違う違う、三人でオソロで履いてこ。」
「あなた、何枚持ってるの?」
「ん~、9枚?安かったから3セット買った~。」
山の方から、大きな音がする。
今日は山の日。
山フェスティバル。
まだ暗くならない空に、大きな花火が打ち上がる。
「しょ、翔君っ!……んあっ!」
「どう?今の花火、おっきかった?」
「……翔君のは、いつも大きいよ……。」
「智君っ!」
「でも……もっと大きいの欲し……。」
「ナイアガラにする?それともスターマイン?」
「ぁあっ……!」
「今日は、二人だけの花火大会だ!」
「ん…はぅ……俺、体持つかな……。」
こっちの花火も……無事打ち上がり、
大野のポケットでクシャクシャになったパンツは……。
洗濯機の中で、華麗な花火を打ち上げる。
ま、こんなもんです(^_^;)
みんなパンツのありか、わかったかな~。