五里霧中 ショウ - サトシの大学にて - 下 | TRIP 嵐 妄想小説

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嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



上目使いで俺を見つめるサトシが、嬉しそうにニコッと笑う。

「サトシ……。」

「……じゃ、どうす…る……。」

携帯から聞こえる声を急いで切って、後ろに隠す。

「……いいの?」

俺の携帯を、心配そうに覗き込もうとするサトシ。

「ああ、大丈夫。大した用じゃないから。」

携帯を両手で握って、作り笑いを浮かべる。

サトシには見せたくない感情。

サトシには見せない俺の本心。

隠し通すって決めたから。

サトシの為に、俺の為に。

怪訝そうなサトシが、ふにゃっと笑う。

「もしかして……わざわざ来てくれた?」

「え……ああ、近くまで来たから……。

 久しぶりにサトシに会いたいなぁと思って……。」

サトシの笑顔に花が咲く。

「おいらも、ショウ君に会いたいなぁって思ってた。

 ショウ君、勉強とバイトで忙しいのかと思って連絡しづらくって……。」

嘘でも嬉しい。

俺に会いたいと思っててくれたこと。

「大丈夫だよ。いつでも連絡くれて。ダメな時はダメってちゃんと言うから。」

ダメな時なんてあるわけない。

でも、そう言ってやらないと、サトシは気を遣ってメールもよこさない。

「んふふ。うん、そうだよね。今はそんなに忙しくないの?」

「いつでもそれほど忙しくないよ。サトシの考えすぎ。」

「そっか。でも……彼女と会う時間も……。」

遠慮勝ちなサトシの顔。

「そんな心配、サトシがしなくていいから!」

少し語気が荒くなる。

サトシにそんな心配されたくない。

そんな心配するくらいなら……。

「ごめん……。おいらには関係ないもんね……。」

「ち、ちがっ。そうじゃなくって……。」

サトシの顔が沈んでく。

そんな顔をさせたいわけじゃない……。

でも、サトシが女の話なんかするから!

「サトシも……忙しいんじゃないの?

 さっきも友達と一緒だったし……。」

「あ、見てたの?うん。やっと話せるようになってきてね……。」

人付き合いが苦手だと思ってるサトシ。

「ずっとみんなに……ショウ君に助けてもらってきたから……。」

俺達は、意識してサトシの周りに人を近づけなかったから。

サトシの笑顔を見たら、誰でもサトシが好きになる。

誰でもサトシが欲しくなる。

俺達だけのサトシでいて欲しい。

誰もサトシに近づいて欲しくない。

今でも……。

わかってる。

それが俺達の、俺の我が儘だってことくらい。

勝手に好きになって、勝手に我が儘言ってるんだって……。

サトシにはサトシの世界がある。

それは俺の世界じゃない。

「だから、安心して?おいら一人でも大丈夫だよ。

 心配で……わざわざ見に来てくれたんでしょ?」

心配なんかしてない。

独りぼっちでいてくれたら、そっちの方がよかった。

我が儘でずるい俺。

わかってるよ。

どれだけ俺の性格が悪いか。

どんだけ俺が臆病者か。

「でも……でもね?ショウ君の顔見たら……なんかホッとした。

 おいらのホームはみんななんだなって……なんか、泣きそうになっちゃった。」

サトシが目を潤ませて笑う。

ああ……。

サトシも新しい環境で気を張ってたんだね。

いいよ。

それだけで……十分。

サトシのホームが俺だって、そう言ってくれるだけで。

なんか、俺も泣きそうだよ。

今すぐ抱きしめて、連れて帰りたい。

連れて帰って、みんな呼んで、バカな話して笑って……。

たこ焼き食べて、夕陽見て、土手でビール飲むのもいいな。

サトシが隣にいてくれれば、それだけで……。

「ショウ君……?」

黙ったままの俺を、心配そうにサトシが覗き込む。

「もう……帰れるの?」

「うん。今日は帰る。ショウ君が来てくれたから。」

サトシがふにゃっと笑う。

「じゃ、帰ろ。帰ってたこ焼き食べよ。」

「たこ焼き?ほんと、ショウ君好きだね!」

サトシが楽しそうに笑う。

たこ焼きは、サトシを思い出すから。

だから好きなんだよ。

「おいらも好きだけど。」

サトシが笑顔で俺の腕を引く。

サトシの触れた腕から、熱病にかかってく。

サトシの知らない我が儘な俺を、その熱で焼き消してくれればいいのに。

「急ご。」

サトシが俺の腕を引っ張る。

いいよ……。

急ごう。

みんなのいるホームに。

俺と一緒に。