【秋嵐】~やま~ 風雲 中 - つなぐside story - | TRIP 嵐 妄想小説

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嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



しばらく行くと、上等な笠を被った女とすれ違う。

女は急いでいるようで、櫻井に目もくれず、道を進んで行く。

こんな時分に女が一人歩きなど、危険極まりない。

「もし。」

櫻井が声を掛けると、女がハッとして振り返る。

「はい……。」

笠で顔は良く見えないが、二十五、六だろうか。

どこぞの奥方といった風情だ。

上流の奥方が、供も連れずに一人で出歩くなど、到底考えられない。

「こんな時間に一人歩きは危のうございましょう。」

櫻井が言うと、女が困ったように顔を歪める。

「ご心配、ありがとうございます。

 ですが、子供の具合が悪いのでございます。

 山の麓に腕のいい薬師がいると聞きまして、そこへ向かっております。

 家の者は足を悪くしておりますもので、わたくしが……。

 子供に少しでも早く薬を飲ませてあげたく、急いでいるのでございます。」

「それはお気の毒に。」

櫻井は女の肩に手を掛ける。

「私が持っている薬でよければ、お使いください。」

印籠から薬の包みを二つ取り出し、女の手に握らせる。

「痛み止めでございます。子供でしたら、包みの半量を朝と晩に飲ませてあげてください。

できるだけ白湯もたくさん飲ませるようにして。」

「ああ、かたじけのうございます。」

女は深々と頭を下げる。

「もしよろしければ……、一緒に我が家に来てはいただけませんか。

 今は手持ちがありませんが、ぜひ、お礼をさせてくださいませ。」

「いいえ、そのようなお気遣いは無用でございます。

 私も急いでおりますので、これで失礼……。」

櫻井がそう言うと、女の手が櫻井の手を握り締める。

「そんなことをおっしゃらずに……。」

柔らかい女の手が櫻井の手を自分の胸に押し当てる。

「ぜひお礼を……させてくださいませ……。」

女が淫靡な顔で笑う。

櫻井の背筋がゾクッとし、女の手を払おうとして、動きが止まる。

「クックック。もう動けまい?」

笑う女の口が、見る見る耳まで裂けて行く。

「な、なにを……。」

櫻井の手を引き、抱き寄せると、女がクンと匂いを嗅ぐ。

「ほんに、美味しそうな匂い……。

 あやつが離れるのを待っていた甲斐があったわ。」

動けない櫻井の頬を、女の舌がペロッと舐める。

「あやつ……?」

「狐に決まっておろう。

 できれば疲れとうないからな。」

女の手が徐々に丸くなっていく。

「そなた……猫又か……。」

「ふふふ。気づくのが遅すぎたねぇ。

 今頃気付いても……もう、何もできまい?」

すっかり猫の顔に戻った猫又が、クスクスと笑う。

「さて、どうやって頂こうか?

 こんなに美味しそうな獲物は久しぶりだ。

 ゆっくり味わって……。」

猫又の舌が、櫻井の胸の合わせの間を這って行く。

「うっ……。」

櫻井が呻く。

「ああ、思った通り、いい味だ。

 精気もいいが、人の皮って言うのがこれまた美味でな。

 お前のは特にいい味だ。

 この皮は綺麗に剥がして取っておこうか。

 そうすれば、いつでも舐められる……。

 攫って来た人間に被せて、楽しむのもいいのう。

 お前とそっくりな人間が出来上がるぞ。」

猫又がジュルッと舌なめずりする。

「何を馬鹿げたことを……。」

「そう思うか?」

猫又の目が細く光る。

手の平を櫻井の前に広げると、鋭く曲がった爪がにょきにょきと伸びていく。

「私の爪はよく切れるんだよ。皮と肉の間を綺麗に割いてあげようね。」

猫又が、爪の先を舐め、櫻井の顔に顔を近づける。

「まずは……傷つけないよう、精気をいただくとするか?」

邪魔な笠を投げ飛ばし、櫻井の胸元を開く。

「この皮を味わいながら……。」

猫又の手の平が櫻井の胸を撫でる。

大きく裂けた口が、櫻井を飲み込まんと近づいていく。

「うっ、くっ……。」

「いい顔だねぇ。恐怖に歪む顔がまたそそる……。」

「それはそれは……。すみませんねぇ。

 歪んだ顔が地顔なんですよ。」

櫻井がニッと笑うと、猫又の動きが止まる。