つなぐ 二十六帖 | TRIP 嵐 妄想小説

TRIP 嵐 妄想小説

嵐さん大好き♡
智君担当♪山好き♡で
皆様のブログを見ているうちに書きたくなってしまいました。
妄想小説です。腐っているので注意してください!
タイトルに愛を込めて、嵐さんの曲名を使わせていただいてます。
ご理解いただけると嬉しいです。



「狐殿の言う通り、雅紀さんのご飯も食べ、青菜も飲み込み、

 すこぶる美味しい私ができあがりましたよ。」

櫻井がにこりと笑う。

「狐殿も……そろそろ本当の食事をしないと……。」

男は笑いながら、茶碗を片づけ始める。

「お前はそんなにわしに精気を吸われたいのか?」

「そうではありませんが……。」

櫻井も男に倣って茶碗を重ねる。

「それとも、口を吸われたいだけなのか?」

男がにやりと笑う。

「狐殿の体が心配です。」

男は、ふんと鼻を鳴らす。

「さっきだって、結局精気は吸われなかった……。

 突然倒れたりしても知りませんから。」

櫻井は全部の茶碗を盆に乗せると、土間へ下り、流しへ運ぶ。

その背中に向かって、男が声を上げる。

「お前に育てられているから、あいつがああなるんだ。」

「あいつ……?雅紀さんのことですか?」

「そうだ。あいつが周りに気を遣い過ぎるのはお前の影響だな?」

「そんなことはありません。雅紀さんは最初から心優しい、気の回る子でした。」

櫻井は、出会った頃を思い出したのか、懐かしそうに優しく笑う。

「泣いて、私にしがみつくあの子はとても可愛らしかった。」

男はまた、ふんと鼻を鳴らす。

「その可愛い子は……鬼の子だ。」

「わかっています。この先、あの子がどんな道を辿るのか、

 それは私にもわかりません。でも……。」

「でも?」

櫻井は流しに茶碗を置き、両手を掛ける。

「あの子が一人でも強く生きていけるように……。

 星があの子を導いてくれる……。」

「その前に、お前だ。」

男は櫻井の後ろに立つ。

「わしに精気を吸われれば……お前の寿命は短くなる。

 ……わかっているのか?」

「……わかっています。

 それでもあなたは生きなければいけない……。

 それが星の決めた運命(さだめ)……。」

「いいのか?それで。」

「はい……。私ごときが何を言っても狐殿には理解できないかもしれませんが……。」

櫻井は振り返って男を見つめる。

その頬に、そろっと指先を這わせ、手の平で包む。

「生きて欲しいと、私が思うのです。

 たとえ、私の命が尽きようとも……。

 そして、あの子を……見守ってあげて欲しい……。」

男は片頬を上げ、櫻井を見つめる。

「全てはあの鬼っ子の為か?」

櫻井はクスッと笑ってもう片手も頬に添える。

「最初はそうでした……。

 どうあがいても、私はあの子より先に逝ってしまう。

 あの子は鬼の子であるだけでなく、珍しい……治癒の力も持っています。

 あの子の作る薬は、ただの薬ではありません。

 薬草本来の効能よりもより高い効果を発揮する……。

 良き人と一緒にいれば、それは良き力となるはず。

 ですが、もし、そうでなければ……。」

「悪用されることを恐れているのか?」

櫻井は小さくうなずく。

「それもあります。それよりも、その力を巡って争いが起こることが……怖いのです。」

男は櫻井の手の中で溜め息をつく。

「鬼の寿命は長い。軽く人間の3倍は生きるぞ。」

「はい。だから、狐殿に会いに行ったのです……。」

「なんだ、やはり鬼っ子の為か……。」

男は櫻井の気持ちを推し量るように、じっと瞳を見つめる。

「最初は……。」

櫻井は困ったように笑って、男の頬を撫でる。

「あなたくらいの力があって、あなたくらい生きられれば、

 あの子の力になれる……そう思っていました。

 もちろん、今もそう思っていますよ。」

櫻井の指先が優しく男の頬をなぞる。

「あなたへの任が下りた時、星も輝いていました。

 これは天命なのだと思いました。」

「ふん、わしに天命など、糞くらえだ。」

櫻井は微かに笑って、男の頬を撫で続ける。

「あなたなら、そう言うと思ってました。」

撫でていた指を目の形に合わせて添わせる。

「でも、あなたに会って……、星の輝きの意味が違うことがわかりました。」

「なんだ、何が言いたい?」

「雅紀さんのことだけではなかったのです。」

「……どういう意味だ?」

「それは……きっとあなたにもわかっているはず……。」

櫻井はそう言って男の 唇 に 唇 を 重 ねる。

男が軽く口を開くと、櫻井の両手に力が入る。

男の顔を固定し、愛おしそうに 舌 を 絡 ませる。

柔らかく、優しく、男のそれと絡め合いながら、徐々に奥へと忍ばせていく。

男の 舌 も、愛 撫 するように緩急を付けて櫻井の 舌 を転がしていく。

唾 液 が溢れ、クチュッと音がすると、男の頬を押さえていた櫻井の手が男の背に回る。

男の腕も櫻井の腰を抱き、二人は縺れるように 唇 を合わせ続ける。

「んっ。」

「……ぁっ。」

次第に激しくなる口づけに、男は櫻井をじわじわと居間の方へ押しやる。

ゆっくり後退りする櫻井の背が戸板に当たると、

二人の体がよろめきながら畳の上に重なり合った。