「僕をイメージして書かれた小説らしいので、
大野さんのイラストに負けない、
魅力的な人物になっていればいいなぁと思っています。」
SHOさんがにっこり笑う。
「も、もう十分魅力的です。」
「今日はありがとうございました。」
「こ、こちらこそ……。」
話すのが苦手なおいらに気を遣いながら、SHOさんがリードしてくれて、対談が終わった。
SHOさんが手を差し出してくれたので、また握手する。
そこをまた撮られ、SHOさんは慣れた調子で笑顔を作る。
対談中も、パシャリパシャリと写真を撮られたけど、SHOさんは話術が巧みで、
おいらの足りない言葉を補いながら、類さんの進めたい方向へ話を持って行ってくれる。
本当に頭の回転が速くて、そんなとこもショウ君にそっくりで……。
おいらも頑張って笑顔を作ったけど……。
アイドルの笑顔に見惚れちゃうよね?
対談中も、何度も見惚れちゃったよ。
SHOさんは、そんなおいらに気を使ってくれて、いろいろ話しかけてくれる。
「綺麗な人でびっくりしました。」
「そ、そんなこと、言われたことないです。」
「ほんとですか?絶対そう思ってる人、いっぱいいると思うけどなぁ?」
「そうですよ。俺が言ってる言葉、全然覚えててくれないんですね。傷つくなぁ。」
類さんが、笑いながら、書類をまとめる。
「類さんは誰にでも優しいから、本気にしてないだけです。」
おいらが困って言うと、類さんが書類をトントンと整えて笑う。
「ははは。そんなことないですよ。俺、思ったことしか言いません。」
笑いながらファイルにしまう姿も、アイドルに負けないくらいイケメン。
おいらのイケメンだって、ここに並べても恥ずかしくないからね!
三人並べたら……、ジュン君も入れちゃう?
すごい……きっと眩しくて、目が開けてられない!
「じゃ、僕の言葉は信じてくれますよね?大野さんは、綺麗で色気のある人ですよ。」
SHOさんに真顔で覗き込まれて……。
思わず赤面。
てか、男に向かって綺麗で色気があるって言うのも……。
「綺麗な女優さんをいっぱい見てるSHOさんに言われても……。
やっぱり本気にできません。」
笑ってそう言うと、SHOさんも笑って、また手を差し出す。
「お疲れさまでした。またご一緒したいですね。
僕は絵画には疎いので、いろいろ教えて欲しいです。」
「僕に教えられることなんて……。」
おいらも手を差し出して握手する。
「謙虚なところもまた……素敵ですね。」
握った手をギュッと握り込まれて、おいらも握り返したら、親指で手の甲を撫でられた。
ゾクッとしてSHOさんを見ると、SHOさんの笑顔は変わらなくて……。
気のせいかと思って手を離すと、SHOさんもそのまま手を離してくれた。
やっぱり気のせいだったのかな?
昨日の余韻で敏感になってる?
そんな自分が恥ずかしくて……。
どうしていいかわからず、うつむくと、SHOさんが手帳を取り出す。
「今度、美術館に行く企画があるんです。
本当に教えて欲しいので……。」
さらさらと何か書いて破く。
「よかったら連絡ください。」
差し出された紙には……メールのアドレス?
「都合の付く時でいいので……お話、伺わせてください。」
丁寧な物言いがテレビで見るSHOさんらしくて……。
「は、はい……。」
いつの間にか類さんはスタッフの人と話してて、仕方ないので、黙って紙を受け取った。
紙を見て、どうしたものかと思っていると、SHOさんが耳元で囁く。
「聞きたいこともあるので……ぜひ連絡ください。」
聞きたいこと?
おいらが顔を上げると、SHOさんはテレビで見るより、色っぽい顔で笑う。
「そんな顔で見られたら……男だとわかってても……、
なんか、変な気持ちにさせられる……。」
え?と思って首を傾げ、どんな顔してたのかと思ったら恥ずかしくなって……。
「ほら、そんな顏……。」
SHOさんがまた耳元に顔を寄せる。
「可愛くて……そそられちゃうね。」
小さな声でそう言って、顔を離す。
さらに顔を赤くしたはずのおいらを見て、SHOさんが楽しそうに笑う。
なんだ、からかわれただけか!
「ショ、SHOさん、からかわないでください!
アイドルってみんな、そういうことするんですか!?」
「あはは。大野さんの反応があんまり可愛くて、つい……ね?」
片目をつぶるイケメンは、ショウ君ソックリの顔で笑う。
キュンッと胸の奥が鳴って、思わず顔を背ける。
危ない危ない。
ショウ君かと思っちゃうよ。
ウィンクした顔、ショウ君そっくりなんだもん。
「では、また……。」
SHOさんが、おいらの肩に手を置いて、前を通って行く。
「はい。今日は……ありがとうございました。」
チラッと振り返って、片手を上げるSHOさんは、グラビアから出て来たみたいで、
思わず見惚れちゃうカッコ良さ。
おいら……ショウ君似のイケメンに、本当に弱い……。
自覚してるから!
でも、本物が、おいらの側にはいるもんね!