では、具体的に“何ミリ”のレンズを用意すれば良いのか?
の話に移ります。


まずその前に、先に挙げた“撮像素子のサイズ”が重要になってきます。

撮像素子のサイズが異なるカメラのそれぞれに、
“50-100mm”と表示されたレンズが装着されていたとします。
50mmという広角から、100mmという望遠までの2倍のズームが出来るレンズです。
(50の2倍は100なので“2倍ズーム”です。)

レンズのミリ数が同じだったら、どれも同じ範囲の光を取り込むのですが、
最終的に写真が写る面積(切り取られる範囲)が、
撮像素子の大きさの大小によって違うので、
写る“広さ”がそれぞれ違ってしまいます。

それでは不便なので、
地球上で過去一番広く普及した135フィルムシステム(35ミリフィルムサイズ)と同じサイズの撮像素子を持つ、
2番の“35ミリフルサイズ”に換算をして、比較のやり取りをするのが、一般的になりました。

よくカタログに
“35ミリ換算で何ミリに相当”
って書いてあります。

これで換算すると、
50-100mmのレンズは、
1“中判デジタル”では、
 約40mm-80mm相当
2“35ミリフルサイズ”では、
 約50mm-100mm相当
3“APS-Hサイズ”では、
 約65mm-130mm相当
4“APS-Cサイズ”では、
 約75mm-150mm相当※6
5“フォーサーズ”では、
 約100mm-200mm相当
(※6キヤノンのAPS-Cサイズの場合は約80mm-160mm相当)
になります。

元のレンズのミリ数に、
1の場合、約0.8倍
2の場合、約1倍
3の場合、約1.3倍
4の場合、約1.5~1.6倍(機種による)
5の場合、約2倍
を掛け算するだけです。

撮像素子が小さくなる程、狭く写る(望遠よりにシフトする)訳です。



はい、ここまで理解していただけたら、
ここから先は、特に注意書きが無い限り“35ミリ換算”で話を進めます。



我々人間の目で見たパースの感覚に一番近い感じに映るレンズの焦点距離は、
だいたい“50mm”前後です。

家族や友人とお出かけして、
4~5メートル離れた人を、
「はい、チーズ!」って、
ややアップ気味に撮る時は、
だいたい“100mm”前後を多用します。

その反対に、後ろの建物なんかを一緒に映し込んで、
「はい、きらっ☆」って、
やや広く撮る時は、
だいたい“35mm”前後を多用します。


以上が“スナップ写真”で役に立つ焦点距離です。

ここで、ズームが無い単焦点レンズの場合は、
“50mm”くらいのレンズで、
自分が前後に動いて構図を作ると良いでしょう。
“人”に寄り気味の写真が好きだったら、
“70mm”くらい、
あるいはさらに“100mm”くらい、
と、数字を増やしたレンズを選んで下さい。


同じ距離のスナップでも、
子供がいるご家庭では、
親は“無意識に”我が子を
“よりアップ”で、
「はい、うんたん♪」って撮りますから、
“150mm”前後が重宝します。

元気が良く動き回るお子さんを撮る場合や、
遊園地みたいな広い空間に遊びに行く時は、
“200mm”前後が重宝します。

運動会やスポーツ観戦では、
“300mm”以上が必須です。
“グラウンドの広さ”や、
相手を“どれだけ大きく写したいか”次第で、
“400mm”“500mm”と大変な事になって行きます。


それ以上の望遠レンズが必要なケースは、
普通には・・・、
“月のクレーターを写す”とか、
“野鳥を撮る”とか、
“三重県から富士山を写す”とか、
“米軍基地の建物の上の各種アンテナを分析する”とか、
“盗○”とか、
・・・使う方次第です。



逆に、広角が広くなる方向は、
画面内のパースペクティブがきつくなるので、
芸術的に構図にこだわりたい場合に必要です。

写真に凝っている方が「広角!広角!」って言うのは、
このパースペクティブを写真に上手く取り入れている方か、
もしくは、よく理解していなくて、ただ流行りで言ってるだけのどちらかです。
(遊び盛りのお子さんがいるのに、広角しか撮れないカメラをメーカーの宣伝に乗せられて買って「ズームが足りない」って不満を口にされる、そんな不幸なパパママを沢山見てきました。)

風景写真が好きな方は、
ワイドに写って、パースに奥行きが生まれる、
“28mm”前後を多用します。

なので、風景中心の撮影旅行だと、
“28mm~70か80mm”くらいのズームレンズが役に立ちます。
(ここでも、子供を連れて行く時は、100mmくらいか、それ以上が有った方が良いのは、前述した通りです。)

“28mm”くらいの単焦点か、
“35mm”くらいの単焦点で、
自分が前後して撮影するのも良いです。
こういう撮り方で、役に立つのが、
最近流行っているパンケーキレンズです。
かさばらないので、旅行に便利です。


ここまでは、アウトドアを前提に解説しましたが、
広角が広いレンズは、室内でも役に立ちます。
1~2メートルの距離の人を全身写したり、
カラオケや居酒屋でテーブルを囲んでいる友達を大勢写したり。

このシチュエーションは、カメラの素人さんにも説明しやすいので、
広い広角の良さを解説するのにメーカーが良く使いますね。
これは正解ではあるのですが、
これって家族や友達を撮る事の“あくまで一つのケース”ですから、
それと引き替えに望遠側が犠牲になっている最近のコンパクトデジタルカメラは本末転倒ではないか?と思うおぢさんです。


広角レンズの本当の醍醐味は、
画面内に生まれる“パースペクティブ”だと理解していただきたいです。


お手元のフィギュアを手に取って自分の顔に近付けて見て下さい。
ぼんっ!きゅっ!どどん!
パースが強調されて迫力が増しましたか?



次に、マクロ(接写)レンズの選び方です。
先程、マクロレンズは値段が高くなればなる程、望遠になって離れた物をドあっぷで撮れる、
と解説しましたが、
さっきのフィギュアの話みたいに、
被写体にパース(奥行き感)や迫力を与えて撮りたかったら、逆です。


マクロレンズはよく、
60mm、105mm、200mmといった具合に、同じメーカーから3種類以上発売されています。(数字は35ミリ換算前)
お値段も段々高くなって行きます。

カタログ等で“最短撮影距離”と“最大投影倍率”の数字に注目して下さい。

“倍率”は、
たいてい“1倍”(等倍撮影)と書かれています。
たまに、安いマクロレンズは0.5倍とかになっています。
マクロじゃない他のレンズにも0.34倍とか、書かれています。
この数字が大きい程、大きく写せるという事です。

“撮影距離”は、
“18.5センチ”とか“31.4センチ”とか“50センチ”とかいう具合に、
値段が高い物程、近づける距離(ピントが合う距離)が離れて行きます。
(一眼レフの場合のこの距離は、レンズの先端からではなく、撮像素子面からの数字です。)

同じ大きさ(倍率)で写せるならば、近づけた方が被写体にパースを与えられます。

逆に望遠レンズで離れて撮ると、
例えば、フィギュアをアニメのキャラクター対比図のように平面的に撮影出来ます。

後者は、特別にドあっぷで撮る必要が無ければ、
マクロじゃない普通のレンズでも撮影出来たりします。



~その3につづく~