誰の味方でもない

ドキュメンタリーディレクターの

“ゆっ子”(由宇子)。

 

彼女にできることは、出演者に

(スポットライト)

を当ててあげることだけ。

 

 

強い信念と正義感でもって、

真実を追求する──

 

 

そんな彼女の身の上に、

想定外の出来事が起こります。

 

父親の不祥事です。

 

 

一方では、

制作中の番組(女子高校生自殺事件)

の取材を通して伝わってくる

様々な心情と事情。

 

 

見え隠れする事実、事実誤認・・・

 

 

真実はどこに?

 

正義とは?

 

最善とは?

 

 

放送の責任と難しさ。

矛盾に直面し苦境に立たされるも

最後まで信念を貫き通す、有宇子であった。

 

が、一つ大きな間違いを犯してしまう・・・

 

 

てんびん座

 

 

(由宇子)

正論が最善とは

限らないと思います

 

彼女の心身の痛みが

一番 少ないのは

この方法だと思ってます

 

 

(由宇子)

司法はそうでも

社会が許さないって言ってんの

 

失うのは

お父さんだけじゃないんだって

 

萌も 塾の子たちも 私も

私の番組に関わってる人たちも

みんな 失うんだよ

たかが1回のセックスで

 

(塾長/由宇子の父親)

で・・・ でも

俺のせいで ゆ・・・ ゆっ子

一生 ウソ つき続けなきゃいけな・・・

 

(由宇子)

私だって 分かってやってんだよ

 

失うもんのほうがデカすぎんの

 

お父さんはさ

自分が楽になりたいだけなんだよ

 

(父親)

違うよ

 

(由宇子)

だったら しょいなよ

私と一緒に

 

 

(池田)

結局 どこ入れるんですか?

 

(富山)

どこ入れたって一緒だよ

 

一億総無関心社会だよ

 

 

(富山)

お前・・・

どっち側なんだよ

 

(由宇子)

どっち側?

 

“側” って何?

 

私は いちドキュメンタリー監督だよ

このまま放送したら

私ら 和之さんたちを

追い詰めたマスコミと同類だかんね

ウソを真実だって

垂れ流すやつらとさ

 

(富山)

いつまでも 青いこと言ってんなよ

俺たちが つないだもんが

真実なんだよ

 

 

(映画『由宇子の天秤』より抜粋)

 

 

てんびん座

 

 

人々に関心があるのは、

ゴシップとスキャンダルといった

“奇抜” なことばかり。

 

なら、この映画はどうだろう。

 

セリフは少々聞き取りづらいが

臨場感あふれる、衝撃作だ。

 

 

誰だって過ちは犯す・・・

 

加害者、被害者。

決して、他人事ではない。

 

自分や家族、誰にでも起こり得る事。

 

 

最善とは、真相はどうあれ

信じてあげたいのなら

“信じ切ってあげること”

ではないだろうか。