お前さんたちの瞳は
ここじゃない ずっと遠い場所に
つながっている

 

海と空がつながる
宇宙の祭典

 

 

少女・琉花(ルカ)が体験する、

ジュゴンに育てられたという

2人の美しい少年

海くん空くん との生命(いのち)の物語──

 

 

生命の不思議。

 

幻想的な映像と “受け継がれてきた歌” と共に

神秘的な語りで構成されています。

 

 

映画を観ながら聞き流すのとは

また違った響き。

 

ちょっと長いのですが、

美しいです。

 

是非とも、最後までお読みくださいキラキラ

 

 

 

 

(海)

人魂が “見つけてほしい” って

そう言ってたから

 

あんなに強く光るなんて

きっと みんなに

見つけてほしかったんだよ

 

虫や動物も 光るものは

見つけてほしいから光るんだよ

 

(琉花の声)

そうか・・・

 

私 学校で

海くんに見つけてもらって

うれしかったんだ

 

私は 誰かに

見つけてほしかったんだ

 

 

(ジム)

クジラたちはね

水の中で歌を歌ってるんだ

音は 空気中より水の中のほうが

ずっと遠くまで伝わるから

何キロも離れた仲間どうしで

歌い合える

クジラの歌は

とても複雑な 情報の波なんだ

 

我々人間は

うまく言葉にできなければ

思っていることの半分も

伝えられない

けれど クジラたちは

見たことや感じたことを

そのままの形で

伝え合っているかもしれない

 

(琉花の声)

そのまま・・・ 伝え合う

 

言葉にしなくても伝わるなんて・・・

 

 

(デデ)

“星の 星々の 海は産み親”

 

 

(アングラ―ド)

空 体調はどうなんだ?

 

(空)

まあまあかな

データを取るたびに

最悪になるけどね

 

俺たちは どこから来て

どこへ行くのか・・・

 

それを知りたくて

検査や実験を受けてきた

だけど レントゲンでもMRIでも

異常は何も認められない

体がつくり変えられてる感じが

するのに

科学の目では 俺たちの体で

本当に起こっていることは

見えないんだな

 

(アングラ―ド)

この世界にあるもののうち

僕ら人間に見えるものなんて

ほんの僅かしかないんだ

宇宙を観測する技術が進んで

わかったのは

どんな方法でも観測できない

“暗黒物質” があるということ

宇宙の状態から推測した

物質量の和は

通常の10倍か それ以上

つまり 宇宙の総質量

90パーセント以上は

正体不明の暗黒物質が

占めていることになる

 

僕たちは

何も見えていないのと同じだ

 

この世界は 見えないもので

満たされていて

 

宇宙は 僕たちに見えてるより

ずっと広いんだよ

 

(空)

俺は

宇宙は人間に似ていると思う

人間の中には

たくさんの記憶の小さな断片が

バラバラに漂っていて

何かのキッカケで

いくつかの記憶が結びつく

そのちょっと大きくなった記憶に

さらに いろいろな記憶が

吸い寄せられて 結びついて

大きくなっていく

 

それが “考える” とか

“思う” ということでしょ?

 

それは まるで・・・

 

(アングラ―ド)

それは まるで

星の誕生 銀河の誕生する姿に

そっくり・・・ か

 

(琉花の声)

宇宙と人

 

 

(アングラ―ド)

上にも下にも天の川だ

 

(デデ)

あすは新月さ

 

(アングラ―ド)

まるで命のゆりかごだ

 

(デデ)

燃え尽きたはずの隕石を巡って

海全体が動いているよ

これをどう考えるか・・・

 

(アングラ―ド)

もしかしたら

僕たちの住むこの世界は

深海を埋め尽くす 無数の貝が

吐き出す夢なのかもしれない

 

(デデ)

海と空・・・ 彼らは

本当はどこから来たのか

 

(アングラ―ド)

何者なのか

 

(デデ)

彼らは

これからどこへ行くのか

そして それは 私たちも

 

(アングラ―ド)

きっと あの子たちは

僕たちとは違う

時間と場所に立って

世界を眺めているに

違いないんだ

 

(デデ)

私たちの考えが及ばない

別世界でね

 

(アングラ―ド)

でも 僕たちの前に現れた

 

(デデ)

私たちに

できることがあるとすれば

それは あの子たちの邪魔を

しないことさ

あの子たちに肩入れするなら

思い上がった連中から

守っておやり

 

(アングラ―ド)

近いんだね “祭り” が

 

(デデ)

そして もう ゲストは

決まっているはずさ

 

 

(空)

心配ないよ

〈熱を出して、寝ている〉

海も 体の中が

つくり変えられてるんだ

俺も 時が来れば また・・・

そのときが・・・

 

 

(アングラ―ド)

空は行っちゃったよ

そのとき 海水を伝わって

あの音が聞こえたんだ

698.45ヘルツ

星の死ぬときの音が・・・

 

 

(デデ)

お前さんたちの瞳は

ここじゃない ずっと遠い場所に

つながっている

 

 

〈ムックリの演奏〉

 

(琉花)

風と歌ってる

 

(デデ)

星のクジラの歌

風は あらゆる海の記憶を

はらんでいる

私たちは それを言葉に置き換え

詩や歌にして伝えてきた

だが 限りある言葉では

風のほんの一部しか捉えられない

この帆のようにね

これは そんな あふれた思いを

風と語るためのものさ

海の記憶たちと

 

〈ムックリの演奏〉

 

(琉花の声)

風に乗って

小さな声が聞こえてくる

ふとした瞬間に

私たちは出会うのだ

過去や未来の 誰かの記憶に・・・

 

 

(アングラ―ド)

デデがね

あの子たちを思い上がった

連中から守っておやりって

この星で いちばん偉いのは

人間だと思っている連中から・・・

 

 

(空)

言っただろう

隕石は記憶を混ぜる

これも 君の知っている誰かの

記憶であり

隕石であり

君の一部でもある

さあ まぶたを閉じよう

ゆっくりとね・・・

いい子だ

 

空と海が重なり

命の祭りが始まる

歌い合うんだ

生まれきた喜びの歌を!

 

君の子守歌だよ

聞こえるだろ?

 

もう歌い始めている

宇宙の全部が声を合わせて!

 

 

(デデ)

宇宙は1つの生命体

海のある星は子宮

隕石は精子

受精の祭り

それを垣間見た者たちが

歌にして語り継いだ

“星の 星々の 海は産み親”

 

続きの歌が聞こえる

“人は乳房 天は遊び場”

 

祭りの本番が始まる!

 

 

(アングラ―ド)

いいこと 悪いこと・・・

2つが釣り合って 世界は保たれる

1つのことを 2つの見方で捉える

海と陸の生き物の違いみたいに

いや 違わないか・・・

生き物はみんな

同じ原料で出来ているから

 

そして それは宇宙から来てる

この世のすべてが

同じものでできてる

宇宙と人間は似ている

すべてが

1つのものの部分だとしたら

“似ている” というより

“同じ” なんだ

 

太陽も 海も 人間も

空も 海も 僕も

そして 他の誰かとも

 

宇宙へ行ってみれば きっと

海に似てると思うよ

 

 

(デデ)

私も

あんたくらいの頃に会ったのさ

海から来た美しい少年に

 

海の子は 世界のどこかに

そっと現れて

静かに語りかける

 

私たちが どこから来て

どこへ行くのか

その命のわけを

 

世界の秘密は

そのヒントを

さまざまな形で現している

 

クジラが抱(いだ)く女神

時をすり抜ける少年

風の肌触りを通して

私たちに語りかけている

 

お前さんの

小さな手のひらにある物語にも

世界は 姿を借りて潜んでいる

 

 

(デデ)

あんたでいいんだよ

信じておやり 海と空を

そして 自分自身を

 

 

(琉花の声)

いつでも 体のいちばん奥で

ちゃんと つながっている

いちばん大切な約束は

言葉では交わさない

 

 

(映画『海獣の子供』より抜粋)

 

 

 

私たちのこの “謎めいた肉体” も

宇宙そのもの。

 

 

絵が描きたくなります。

 

人は、美しいものを見ると

何かを表現・創造しないではいられない。

 

これって “親譲り” だったんですねウインク

 

 

それに、海を見ていると

入っていきたくなるという

私の衝動は・・・

 

「海」=「産み親」

 

母なる海のもとに還りたい

ってことなのかもね照れ

 

 

 

まじかるクラウン