[Netflix映画]

 

よく見渡してみれば、

“同じ星の人” っているんだねウインク

 

頭のネジ、飛んでないよ

ちひろさん。

 

空っぽなんかじゃない、

透明で清いってことだよ。

 

 

 

 

(ちひろ)

昔ね

お店に来たお客さんが言ってたの

“僕たちは みんな 人間っていう

箱に入った宇宙人なんだ” って

 

 

(寺尾)

“同じ人間だ” なんて

よく言うけどさ

一人ひとり みんな

やってきた星がばらばらなんだから

分かり合えないのが

当然なんだよ

 

(ちひろ)

家族でも?

恋人でも?

友達でも?

 

(寺尾)

そう

だって しょうがないじゃない

そもそも別の星の人なんだから

そう考えたほうが楽じゃない?

 

 

(べっちん)

期待しない

人にも自分にも期待しないって

決めたら

少しだけ楽になったんだ

とある漫画に書いてあった

だから ちょっと怖いよ

仲いい人とかできるの

また1人になった時に

寂しくなる

でもオカジと会えて

よかったよ

 

 

“他人も家族もないんだよ”

 

 

(ちひろ)

あ~

今 無理

水の底にいるから

 

(内海/店長)

フッ

しょうがねえなあ

じゃあま しばらく沈んどけ

人の体は浮くようにできてっから

 

(ちひろ)

フッ

それって死んだら

浮かぶって話?

 

(内海)

いや

生きてようが死んでようが

浮かぶでしょ

もがかなければ浮かぶんだよ

ジタバタするから沈むんだって

 

 

(ちひろ)

同じ星ではないの

うん

それは絶対 違う

でも私のことを好きでいてくれて

信頼してくれて

それでいて

体を求めてこない男

それって何なんだろうって

ずっと うまく言葉にできなくて

でも その答えがね

やっと見つかった気がするの

 

(内海)

え? えっえっ何 何の話?

 

(ちひろ)

店長って

私のお父さんだったんだね

 

 

(ちひろ)

ねえ

男女の間には

恋愛しかないの?

そんな単純なもの?

 

 

(内海)

店では

いろんな女 見たけど

あいつが いちばんくせ者だったな

つかみどころっつうもんが

全然ないんだ

何つうか 空(から)っぽっていうのかさ

まっ 変な言い方だけど

幽霊みたいな

 

初めて あいつが店に来た時

ま~ ずいぶん場違いなヤツが

来たなと思ったんだわ

だって

普通のおとなしい子だったから

 

ただな

足元 見たら

尋常じゃなく靴が汚れてるんだよ

もうボロッボロで

 

もし うちの店のドアを

ふらっと開けてなかったら

この子は もう

この世に

いなかったのかもしれないなって・・・

 

 

(ちひろ)

あの時ね

ああ この人は

私と同じ星の人なんだって思った

人生で2人目だったの

そう思えた人

 

 

(ちひろ)

もし多恵ちゃんが

私のお母さんだったら

私は どんな大人に

なってたんだろうなあ

 

(多恵)

そうねえ

でも

今より すてきな人には

なってないんじゃない?

私はね

今のあなたが とっても好きよ

 

 

(多恵)

どこか遠くに行こうかなって

思ってる?

もういいんじゃない?

どこにも行かなくても

あなたなら

どこにいたって

孤独を手放さずにいられるわ

じゃあ またあした

 

(ちひろ)

またあした

 

 

(映画『ちひろさん』より抜粋)

 

 

 

まじかるクラウン