須磨浦公園

およそ1年ぶりのブログ更新。主な山行は、弥山川以来、ほとんど行っていませんでした。では、その間、何をしていたかというと・・・。


1.「Born to run」を読んで、走ることに目覚めた。


2.職場からも、六甲全山縦走路西の起点である塩屋にも近いところに引っ越した。


3.トレイルばかりでなく、ロードで基本的な走力を鍛え始めた。


4.月刊誌「ランナーズ」を定期購読した。


5.2013年の締めくくりとして、12月27日に2回目の六甲全山縦走(タイム10時間28分57秒)。


6.ハーフ、ウルトラ、フルマラソンにエントリーした。


2014年は、私にとってマラソン元年になりそうです。今後のスケジュールは、6月22日に神鍋高原でハーフマラソン、9月14日に京丹後市100キロマラソン、11月23日に神戸マラソンに参加します。あと抽選結果次第で、10月19日の四万十川ウルトラマラソンにも出場するかも。当分、テント泊山行は、封印ですね。


そして、7つめ。


あらたに、マラソンブログ「10万回の着地」始めました。


http://ameblo.jp/100000landings/


今後、登山とマラソン、別々にUPしていきます。


どうぞ、よろしくお願いします。




テントかついで、どこまでも-カシミール3D弥山川

大峯奥駈道から2ヶ月。関西にも広大なロングトレイルがあることを知った私。関東のハイカーが奥多摩や谷川岳に足繁く通うように、私にとってのそれは、大峯になりそうです。これから三連休あれば、このあたりでトレーニングするのが、恒例になるかも。


テントかついで、どこまでも-観音峯登山口

よく大峯は、沢登りのほうが100倍面白いと言われています。そこで、今回は弥山川コースに挑戦してみたいと思います。本格的な沢登りとまではいきませんが、それでも渡渉したり、巨大なゴーロ帯や、無数の鉄梯子が続く上級コースです。7月19日、観音峯登山口からスタート。洞川温泉で前夜泊しても良かったのですが、ビバーク技術も磨きたかったのでガマ滝あたりでツェルト泊することにしました。ここ数日、雨も降っていないし大丈夫でしょう。



テントかついで、どこまでも-熊戸弥山川コース登山口

みたらい渓谷を通って、登山口である熊戸へ。そのつもりが、道を間違えて白倉谷へ進んでしまいました。おかげで30分のロス。登山口に着いたときは、もうすでに17時前。



テントかついで、どこまでも-双門コース案内板

双門コース案内板。実に味のあるイラストですね。



テントかついで、どこまでも-白川八丁

カナビキ谷出会から白川八丁へ。弥山川は、伏流水となって河原の下を流れているそうです。



テントかついで、どこまでも-白川八丁2

右手に現れた巨大な岩を横目に進んでいくと・・・。



テントかついで、どこまでも-ガマ滝

美しいガマ滝が出現。雨が降っていないので、水量は少なかったです。



テントかついで、どこまでも-弥山ダム

ガマ滝の近くでビバークしても良かったんですが、もう少し先に進むことにしました。ガレた斜面を登って、鉄のタラップに取り付いて、歩いていくと弥山ダムが見えてきました。



テントかついで、どこまでも-渡渉点

対岸に道標が立っているのが分かりますか?ここが最初の渡渉点です。あたりも暗くなってきたので、ビバークすることにしました。ツェルトなら一畳分のスペースがあれば十分。もっとも雨が降ったら氾濫の危険があるので、そこは要注意ですが。


翌朝、ツェルトを畳んで、いよいよ核心部へ向けて出発。



テントかついで、どこまでも-一ノ滝、沢床のゴーロ

渡渉して、左岸を進んでいくと、やがて巨大なゴーロ帯に突入。そして、弥山川コースでも有名な難所に到着。



テントかついで、どこまでも-一ノ滝、沢床のゴーロ2

第一の関門。一ノ滝沢床のゴーロ。この岩場をヘツるわけですが・・・。



テントかついで、どこまでも-一ノ滝、沢床のゴーロ3

段差のある次の一歩が遠い。まず手を伸ばして、カンテを掴む要領で跨ぐといいでしょう。



テントかついで、どこまでも-一ノ滝、沢床のゴーロ4

その先には、ちゃんと梯子があるので、ご安心を。今回は、完全に枯れ沢でしたが、水量が多いと難易度は、ハネ上がるでしょうね。ここから、ふたたび右岸へ。



テントかついで、どこまでも-一ノ滝

美しい一ノ滝。立派な吊橋もあるので、じっくりと眺めることが出来ます。



テントかついで、どこまでも-鉄梯子

第二の関門、三ノ滝付近から始まる、あまりにも有名な垂直梯子のラッシュ。いちいち数えていられないほど設置されています。



テントかついで、どこまでも-ヤセ尾根

ヤセ尾根というより、木の根っこの間にロープが渡してあるだけの箇所も。



テントかついで、どこまでも-稲村ヶ岳

途中、稲村ヶ岳がよく見えました。この辺りから見晴らしも良くなってきます。ほとんど垂直に登っているので、当然と言えば当然ですが。



テントかついで、どこまでも-くさり場

突き出た木の幹が邪魔なくさり場。あまり大きなザックを背負っていると、ひっかかります。



テントかついで、どこまでも-双門ノ滝

ようやく双門ノ滝が拝める滝見平に到着。名瀑百選の中で最も到達困難と言われるだけありました。



テントかついで、どこまでも-ちぎれた鉄梯子

双門ノ滝を眺めながら一服したあと、ザンギ平の肩へ。途中、鉄梯子が宙に浮いている箇所がありました。中途半端な作りというより、斜面が崩落して千切れてしまったんでしょうね。



テントかついで、どこまでも-ザンギ平の肩

登りは、ここまで。ザンギ平の肩からは、河原目指して急降下です。



テントかついで、どこまでも-美しい沢

清らかな水を湛える美しい沢。何度も飛び込みたい誘惑に駆られます。



テントかついで、どこまでも-美しい沢2

あまりの暑さと美しい沢の誘惑に抗えず、服を脱ぎ捨て、上下フラッドラッシュスキンメッシュ一枚だけになって沢にダイブ!あまりの冷たさに30秒と浸っていられませんが、この爽快感はくせになりそうです。



テントかついで、どこまでも-ATSチタニウムクッカー

すっかり体が冷えたので、温かい飲み物で体温回復。写真は、新兵器、EPIのATSチタニウムクッカー。チタンクッカーの最大の欠点である熱伝導率の低さを底面にアルミを吹き付けることで克服。さらに注ぎ口と便利な100cc単位の目盛り付き。容量0・9ℓで、直径も大きいのでラーメンも楽々作れる優れもの。



テントかついで、どこまでも-Golite Jam 70

最近、装備の軽量化に挑戦してる私。奥のザックは、新しく購入したGoliteのJAM70。大容量にもかかわらず、重量885gの軽量ザックです。内部には、山と道Pad15s+を丸めて収納。3日分の食料と水をあわせて、8.5㎏くらい。もっとも靴は、Trangoですけど。もっと軽いトレランシューズでも良かったかな?



テントかついで、どこまでも-大水害の爪痕

汗だくのシャツとパンツを洗って乾かしたあと、狼平目指して出発。この辺りには、河原小屋があったのですが、2011年9月の大水害で流されてしまったそうです。いまでも大規模な土砂崩れの跡が残っています。



テントかついで、どこまでも-美しい沢3

それにしても弥山川の美しさといったら・・・。こんなところで真夏に沢登りしたら、さぞかし気持ちいいでしょうね。



テントかついで、どこまでも-くさり梯子

聖門ノ滝めざして、巨大なゴーロ帯を登っていきます。その先に現れたるは、第三の関門、弥山川名物、鎖梯子!といっても慎重に登れば、それほど難しくありません。



テントかついで、どこまでも-空中回廊

これまた弥山川名物、空中回廊。岩壁に打ち込まれたボルトの上を歩きます。



テントかついで、どこまでも-空中回廊2

下を覗き込むと、こんな感じ。あまり高度感は、ありません。



テントかついで、どこまでも-注意書き

これで終わりかと思いきや、ここから狼平までが結構長い。おまけに目印のテープが分かりにくいので、ルートファインディングに手こずりました。そんな中、注意書きを発見。そりゃ、このコースから下山したら迷惑どころか危険ですよ。



テントかついで、どこまでも-狼平

なんだか見覚えのある橋と道標が。



テントかついで、どこまでも-狼平2

狼平に到着!ここを訪れるのも3回目ですね。すっかり緑の木々に包まれています。



テントかついで、どこまでも-川遊び

まだ時間もあるし、弥山川で泳いでいこう。小屋の横の川を10分ほど遡上すると、おあつらえ向きの場所を発見。



テントかついで、どこまでも-洗濯

川に飛び込んで、汗まみれの体を洗って気分爽快。ついでにシャツとパンツも洗濯。ファイントラックのラミースピンドライは、すぐに乾くから夏にぴったりですね。川遊びで冷えた体をラーメンで暖めてから、ゆっくり昼寝。なんだか最高に贅沢な時間を過ごした気分になりました。



テントかついで、どこまでも-川遊び2

そろそろ弥山小屋に行こうかな?もどる途中にバスタブみたいな場所を発見。次に来るときは、ここに飛び込もう。



テントかついで、どこまでも-弥山の夏

弥山もすっかり夏ですね。前回の霧氷の森とは、えらい違いです。



テントかついで、どこまでも-弥山の夏2

深緑が美しい夏の弥山もいいものですね。



テントかついで、どこまでも-夏の八経ヶ岳

八経ヶ岳。明日のご来光が楽しみです。



テントかついで、どこまでも-弥山小屋でツェルト泊

天河奥宮でお参りを済ませた後、弥山小屋前でツェルトを設営。トレポの先に携帯ベープを付けて、念のためハッカ油スプレーも散布。これで虫対策は万全。



テントかついで、どこまでも-弥山小屋のビールとコーラ、アクエリアス

ビール500円。コーラ、アクエリアスは、300円でしたが、ちゃんと500mlなのは嬉しいですね。普通は、もっと小さいサイズなのに弥山小屋は太っ腹ですな。トイレも水洗だし、実に居心地がいいところです。



テントかついで、どこまでも-国見八方睨

時間は、たっぷりあるので小屋付近を散策。国見八方睨から周辺の山を眺めることが出来ます。



テントかついで、どこまでも-普賢岳

こうして眺めているとGWの大峯奥駈道に挑戦したことを思い出します。次は、大台ケ原に行ってみたいなぁ。



テントかついで、どこまでも-八経ヶ岳でご来光

翌朝、八経ヶ岳でご来光。



テントかついで、どこまでも-日裏山

明星ヶ岳から日裏山へ。シラビソとトウヒは、葉っぱの形で見分けるそうです。



テントかついで、どこまでも-頂仙岳

時間に余裕があったので、ついでに頂仙岳にも登りました。多少藪漕ぎがありますが、目印のテープを辿れば、弥山方面から直登できます。



テントかついで、どこまでも-天河大弁財天社

天川川合には、9時前に着きました。天河大弁財天社を参拝して、天の川温泉へ。でも夏休み最初の日曜だけあって、とても混雑していました。



テントかついで、どこまでも-坪内林道

そういえば栃尾ノ辻から坪内へは、いつまで通行禁止なんだろう?天の川温泉から坪内林道を見に行ったら、やっぱり通行止めでした。完全復旧には、まだ時間がかかりそうです。夏休みの親子連れで大賑わいの天川村を散策したあと、帰路につきました。


弥山川の水の美しさも大峯の魅力のひとつですね。来年の夏は、弥山小屋を拠点にトレランでもしようかな?次回に続く。


















テントかついで、どこまでも-カシミール3D大斎原

いよいよ大峯奥駈道も最終日。玉置山を経て、熊野本宮大社を目指すのみ。葛川辻から熊野本宮大社まで、標準タイム13時間10分、距離およそ25キロメートルです。果たして、17時17分の最終バスに間に合うのか?駄目なら、川湯や渡瀬温泉の野営場で、もう一泊するしかないんですけどね。ところで、スマートフォンのGPSログで正確な距離を表示したかったのですが、大森山を過ぎた辺りから、トラックがぶれぶれになって、一部分有り得ない軌跡になってしまいました。やはり、スマホのGPSでは限界があるのかな?かといって、ハンディGPSは高いしなぁ。この辺が思案のしどころです。


残った燃料全て使い切って朝食を準備して、食べられるだけ食べてカロリーを目一杯摂取。そして、5月4日、午前5時、ゴール目指して出発!まさか、いままで最も過酷な山行になるとは夢にも思っていませんでした。


テントかついで、どこまでも-地蔵岳

奈良にも槍ヶ岳が有ったとは、知らなかったなぁ。この辺りは、結構険しい岩場の連続です。特に地蔵岳の鎖場には要注意。くれぐれも私みたいにトレポ2本片手に持って、腕一本で降りたりしないように。



テントかついで、どこまでも-香精山

香精山を通過。とにかく急がなければならないので、玉置山までハイペースで進みました。



テントかついで、どこまでも-世界遺産記念碑

稚児ノ森を経て、林道沿いに歩いて、花折塚を過ぎると立派な世界遺産登録記念碑が建っていました。



テントかついで、どこまでも-玉置山山頂
玉置山に到着。晴れれば海が見えることから沖見岳とも呼ばれています。



テントかついで、どこまでも-玉置神社

山頂から長い階段を下って玉置神社へ。紀元前37年に創立された歴史ある神社です。参拝のあとは、境内で一休み。このとき左足の内側広筋あたりに違和感を感じました。1時間ほど速いペースで歩いたので、ちょっと疲れが出たかな?と軽く思っていたのですが・・・。



テントかついで、どこまでも-大森山

大森山を過ぎた辺りから、両足が痛み出しました。連日10時間のトレイルで足に疲労が溜まっていたんだと思います。さらに今回は、休息も十分ではなく、アミノ酸のサプリメントも持っていなかったので、筋肉の回復が追いついていなかったのかも。



テントかついで、どこまでも-五大尊岳

よりによって、このタイミングで足が壊れるとは・・・。まだ熊野本宮まで標高差900メートルを下らなければならないというのに。痛みに顔をしかめつつ、五大尊岳への下りに耐えていましたが、ついに内側広筋が腫れ上がって、完全に死んだ状態になってしまいました。


最終バスに間に合うか怪しくなってきました。それどころか最悪の場合、山を下りられなくなるかもしれません。今、自分が何処にいるのか?あとどれくらいで熊野に着くのか?せめてそれだけでも分かれば、励みになると思うのですが。しばらく我慢して歩くと鉄塔が有ったので、そこで休むことにしました。





テントかついで、どこまでも-熊野川

熊野川が見える!もうこんなところまで来ていたんですね。俄然、やる気が出てきた私は、壊れた足で再び歩き出しました。不思議なことに、少しでも足が痛くないように歩いていると、やがて腫れ上がった患部が固まってきて、下り道でも踏ん張れるようになりました。痛む足には、痛む足なりに歩き方と言うものがあるようです。



テントかついで、どこまでも-大黒天神岳

苦しみながらも大黒天神岳に到着。随分、標高も低くなってきましたね。



テントかついで、どこまでも-吹越峠展望台

吹越峠展望台からの眺め。大斎原(おおゆのはら)の鳥居も見えます。長かった道のりも、いよいよクライマックスです。きっと古の修験者も熊野の里が見えたときは、胸が詰まったのではないでしょうか?



テントかついで、どこまでも-熊野川備崎橋

七越峰あたりからは、広場あり、公園ありのハイキングコース。しかし今の私には、たった10段の階段を下るのも苦痛でした。そして遂に、16時25分、熊野に到着!さらに30分ほど歩いて、大斎原バス停へ。見ると「熊野本宮まで400メートル」の看板が。しかし、バス停近くの公衆トイレのベンチに腰掛けるのも一苦労な私に参拝できる力は残っていませんでした。


足さえ壊れなければ、15時30分には熊野に着いていたでしょうね。そうだったら参拝する時間も十分にあったのに・・・。川湯や渡瀬温泉の野営場で1泊するという考えもあったのですが、GWで大混雑が予想されるのと、足のダメージも心配なので、熊野本宮の参拝は断念して大人しく帰ることにしました。


バスから紀伊田辺駅に降りた私は、まさに病人か年寄りのような足取り。駅の階段さえ昇り降りできない状態でした。それでも特急くろしおに乗って、なんとか帰宅。幸い翌日には、足も回復しましたが、去年の扇ノ山以来の大ピンチでした。


大峯奥駈道は、想像していた以上に過酷なトレイルでした。主な理由は三つ有ります。


1・山小屋、水場が非常に少ない。


2・山小屋、水場の間隔が離れているため、どうしても一日の行動が長くなる。


3・アップダウンが激しい。一時間に2キロメートル程度しか進まない。


自分は、健脚だと思っていましたが、まだまだ鍛え方が足りないようです。ともあれ今年は私にとって、ロングトレイル元年になりそうです。すっかり熊野古道の魅力に取り付かれてしまいました。


険しく長い道のりだからこそ、古くから奥駈道を行く人々は、貴重な水場で渇きを癒し、山の草木や石にも仏性を感じるようになり、山奥で質素ながらも温かな食事や寝床を提供してくれる宿坊で感激したのではないでしょうか?「自然に優しく」なんていいますが、自然が人間に少しも優しくないことは、昔から日本人が知っていることでした。だからこそ、自然を敬い、ただ感謝する。日本人の宗教観にも通じることです。


熊野本宮に参拝できなかったことは残念でしたが、まだまだ中辺路や伊勢路、果無山脈といったロングトレイルは残されています。だから、次回のお楽しみと言うことで。