大峯奥駈道から2ヶ月。関西にも広大なロングトレイルがあることを知った私。関東のハイカーが奥多摩や谷川岳に足繁く通うように、私にとってのそれは、大峯になりそうです。これから三連休あれば、このあたりでトレーニングするのが、恒例になるかも。
よく大峯は、沢登りのほうが100倍面白いと言われています。そこで、今回は弥山川コースに挑戦してみたいと思います。本格的な沢登りとまではいきませんが、それでも渡渉したり、巨大なゴーロ帯や、無数の鉄梯子が続く上級コースです。7月19日、観音峯登山口からスタート。洞川温泉で前夜泊しても良かったのですが、ビバーク技術も磨きたかったのでガマ滝あたりでツェルト泊することにしました。ここ数日、雨も降っていないし大丈夫でしょう。
みたらい渓谷を通って、登山口である熊戸へ。そのつもりが、道を間違えて白倉谷へ進んでしまいました。おかげで30分のロス。登山口に着いたときは、もうすでに17時前。
双門コース案内板。実に味のあるイラストですね。
カナビキ谷出会から白川八丁へ。弥山川は、伏流水となって河原の下を流れているそうです。
右手に現れた巨大な岩を横目に進んでいくと・・・。
美しいガマ滝が出現。雨が降っていないので、水量は少なかったです。
ガマ滝の近くでビバークしても良かったんですが、もう少し先に進むことにしました。ガレた斜面を登って、鉄のタラップに取り付いて、歩いていくと弥山ダムが見えてきました。
対岸に道標が立っているのが分かりますか?ここが最初の渡渉点です。あたりも暗くなってきたので、ビバークすることにしました。ツェルトなら一畳分のスペースがあれば十分。もっとも雨が降ったら氾濫の危険があるので、そこは要注意ですが。
翌朝、ツェルトを畳んで、いよいよ核心部へ向けて出発。
渡渉して、左岸を進んでいくと、やがて巨大なゴーロ帯に突入。そして、弥山川コースでも有名な難所に到着。
第一の関門。一ノ滝沢床のゴーロ。この岩場をヘツるわけですが・・・。
段差のある次の一歩が遠い。まず手を伸ばして、カンテを掴む要領で跨ぐといいでしょう。
その先には、ちゃんと梯子があるので、ご安心を。今回は、完全に枯れ沢でしたが、水量が多いと難易度は、ハネ上がるでしょうね。ここから、ふたたび右岸へ。
美しい一ノ滝。立派な吊橋もあるので、じっくりと眺めることが出来ます。
第二の関門、三ノ滝付近から始まる、あまりにも有名な垂直梯子のラッシュ。いちいち数えていられないほど設置されています。
ヤセ尾根というより、木の根っこの間にロープが渡してあるだけの箇所も。
途中、稲村ヶ岳がよく見えました。この辺りから見晴らしも良くなってきます。ほとんど垂直に登っているので、当然と言えば当然ですが。
突き出た木の幹が邪魔なくさり場。あまり大きなザックを背負っていると、ひっかかります。
ようやく双門ノ滝が拝める滝見平に到着。名瀑百選の中で最も到達困難と言われるだけありました。
双門ノ滝を眺めながら一服したあと、ザンギ平の肩へ。途中、鉄梯子が宙に浮いている箇所がありました。中途半端な作りというより、斜面が崩落して千切れてしまったんでしょうね。
登りは、ここまで。ザンギ平の肩からは、河原目指して急降下です。
清らかな水を湛える美しい沢。何度も飛び込みたい誘惑に駆られます。
あまりの暑さと美しい沢の誘惑に抗えず、服を脱ぎ捨て、上下フラッドラッシュスキンメッシュ一枚だけになって沢にダイブ!あまりの冷たさに30秒と浸っていられませんが、この爽快感はくせになりそうです。
すっかり体が冷えたので、温かい飲み物で体温回復。写真は、新兵器、EPIのATSチタニウムクッカー。チタンクッカーの最大の欠点である熱伝導率の低さを底面にアルミを吹き付けることで克服。さらに注ぎ口と便利な100cc単位の目盛り付き。容量0・9ℓで、直径も大きいのでラーメンも楽々作れる優れもの。
最近、装備の軽量化に挑戦してる私。奥のザックは、新しく購入したGoliteのJAM70。大容量にもかかわらず、重量885gの軽量ザックです。内部には、山と道Pad15s+を丸めて収納。3日分の食料と水をあわせて、8.5㎏くらい。もっとも靴は、Trangoですけど。もっと軽いトレランシューズでも良かったかな?
汗だくのシャツとパンツを洗って乾かしたあと、狼平目指して出発。この辺りには、河原小屋があったのですが、2011年9月の大水害で流されてしまったそうです。いまでも大規模な土砂崩れの跡が残っています。
それにしても弥山川の美しさといったら・・・。こんなところで真夏に沢登りしたら、さぞかし気持ちいいでしょうね。
聖門ノ滝めざして、巨大なゴーロ帯を登っていきます。その先に現れたるは、第三の関門、弥山川名物、鎖梯子!といっても慎重に登れば、それほど難しくありません。
これまた弥山川名物、空中回廊。岩壁に打ち込まれたボルトの上を歩きます。
下を覗き込むと、こんな感じ。あまり高度感は、ありません。
これで終わりかと思いきや、ここから狼平までが結構長い。おまけに目印のテープが分かりにくいので、ルートファインディングに手こずりました。そんな中、注意書きを発見。そりゃ、このコースから下山したら迷惑どころか危険ですよ。
なんだか見覚えのある橋と道標が。
狼平に到着!ここを訪れるのも3回目ですね。すっかり緑の木々に包まれています。
まだ時間もあるし、弥山川で泳いでいこう。小屋の横の川を10分ほど遡上すると、おあつらえ向きの場所を発見。
川に飛び込んで、汗まみれの体を洗って気分爽快。ついでにシャツとパンツも洗濯。ファイントラックのラミースピンドライは、すぐに乾くから夏にぴったりですね。川遊びで冷えた体をラーメンで暖めてから、ゆっくり昼寝。なんだか最高に贅沢な時間を過ごした気分になりました。
そろそろ弥山小屋に行こうかな?もどる途中にバスタブみたいな場所を発見。次に来るときは、ここに飛び込もう。
弥山もすっかり夏ですね。前回の霧氷の森とは、えらい違いです。
深緑が美しい夏の弥山もいいものですね。
八経ヶ岳。明日のご来光が楽しみです。
天河奥宮でお参りを済ませた後、弥山小屋前でツェルトを設営。トレポの先に携帯ベープを付けて、念のためハッカ油スプレーも散布。これで虫対策は万全。
ビール500円。コーラ、アクエリアスは、300円でしたが、ちゃんと500mlなのは嬉しいですね。普通は、もっと小さいサイズなのに弥山小屋は太っ腹ですな。トイレも水洗だし、実に居心地がいいところです。
時間は、たっぷりあるので小屋付近を散策。国見八方睨から周辺の山を眺めることが出来ます。
こうして眺めているとGWの大峯奥駈道に挑戦したことを思い出します。次は、大台ケ原に行ってみたいなぁ。
翌朝、八経ヶ岳でご来光。
明星ヶ岳から日裏山へ。シラビソとトウヒは、葉っぱの形で見分けるそうです。
時間に余裕があったので、ついでに頂仙岳にも登りました。多少藪漕ぎがありますが、目印のテープを辿れば、弥山方面から直登できます。
天川川合には、9時前に着きました。天河大弁財天社を参拝して、天の川温泉へ。でも夏休み最初の日曜だけあって、とても混雑していました。
そういえば栃尾ノ辻から坪内へは、いつまで通行禁止なんだろう?天の川温泉から坪内林道を見に行ったら、やっぱり通行止めでした。完全復旧には、まだ時間がかかりそうです。夏休みの親子連れで大賑わいの天川村を散策したあと、帰路につきました。
弥山川の水の美しさも大峯の魅力のひとつですね。来年の夏は、弥山小屋を拠点にトレランでもしようかな?次回に続く。