一体なにが起きたのか?
怯える彼女をかばいながら、あたりを見回すと駐車場の出入口を塞いでいる車の他に、通りの反対側に1台、
そして、塞いだ車の数メートル先にもう1台、車の中には数人ずつ待機しているようでした。
5~6人の男のうちの、やや背丈の低い男が私に近づいてきました。
懐に手を入れたので、一瞬私はビクッと後退りしました。

男は、おもむろに懐から黒い縦長の名刺入れのようなものを取り出し、私の目の前で軽く挟み込んでいた指を離しました。
すると中から現れたのは、警察章(桜田門、旭日章)でした。
一緒に居た韓国クラブの娘は、あまり日本語が達者ではないので事の成り行きが飲み込めず、ただ唖然としているようでした。
これからガサ入れをするので立ち会え!
と、刑事は言いました。
私は、まず彼女を返してから!
と言いました。
彼女は、既にオーバースティで下手に連れて行かれると、かわいそうと思ったからでした。
刑事は、証人として必要になるかも知れないから・・・というのを、
「それなら部屋にも入れないし、この場から動かない!」「彼女は、今日たまたま飲みに行って、私の家に遊びに来るというから連れてきただけで、何も関係がない」と、開き直りました。
私の部屋のキーは、イスラエル製のカギでドリルでも開かない!
と言われるほどの頑丈で特殊なシリンダーを持ったカギに交換してありました。
もしその場でカギを川にでも投げ捨てたなら当分は部屋に入れない筈と言う自信があったので、イザとなったらそうして困らせてやろう!
そういう気になっていました。
「とにかく返してやってよ!」
得意下がりました。
すると、その刑事は渋々それなら一応住所だけ教えておいてと言うのです。
彼女は、店のママが借りてい寮にしているマンションに住んでいて、そのマンションには韓国から来た数人が住んでいます。
もし、彼女がオーバースティで捜査されると他の娘らも皆強制送還される事にもなりかねないという心配があります。
事実、その頃店に入管の手入れが入り店の殆どの娘がバスで持っていかられ閉店に追い込まれる店が続出していました。
まあ、入管と警察は扱う事件も違い、警察がオーバースティでを検挙するということは、まずないので大丈夫とは、思っていました。
しかし彼女らにとって、やはり警察は怖い存在です。
彼女に、それを伝えると住所を教えるのは、やはり抵抗があるようで、仲々言いません。
そこで、私は何回か行って記憶にある、うるおぼえの住所を適当に言い、電話番号も後で教えるからと言って刑事に納得させ彼女を返すことの同意を取り付けました。
運良くそこに通りかかったタクシーを止め彼女を誘導し、2万円ほど渡して返すことが出来たのです。
まあ、今思えば話のわかる刑事でした。
結局、その刑事が逮捕にやってきた中で一番偉い刑事だったようで、最後まで私の取り調べに能った刑事でした。
私の車は、新車を一括で購入し、その後吸気系と排気系それにメインコンピューターを150万ほど掛けてチューンしたクラウンアスリートで排気音が小気味良い音を立てるので若い刑事は、興味が有るようでした。
駐車場の一段下に入る前にターンテーブルで車を後ろ向きにし、三段式駐車台を上げて車を入れ部屋に向かいました。
実はこの時、大したことにはならないだろう・・・と、高をくくっていたのです。
ここからが、本当の悲劇の始まりの初まりであることなど夢にも思いませんでした。
