チベタン・ヒーリングセラピー アルラの森 -9ページ目

チベット土着の宗教であるボン教の時代から、シャーマニズム的治療が行われていました。これは一部現在でも受け継がれています。

チベット医学最古の文献は、ボン教の創始者シェンラプ・ミウォの息子チェベ・ティシェーが3900年前にボン教の伝統に基づいて書いた四つの医学書「ブンシ」で、今でも医師たちに利用されており、またチベット・マッサージの概念も説明されています。

6世紀には医師ガレノが外科手術を深く研究し、実践しました。

7世紀にはチベット医学の国際会議がチベットで開催され、ペルシャ、アフガニスタン、インド、モンゴル、ネパール、中国など近隣諸国から医師が大勢招聘され、他国の医学を貪欲に吸収しました。

7,8世紀には、医師ユトク・ユンテン・ゴンポがアラブでも医学を吸収し、「ブンシ」の内容を時代に合わせボン教から仏教的ものへと編纂し、また題名も四部医典(ギュ・シ)と改めました。

ユトクは医師の育成にも力を入れ、医師になるには12年間学ぶ必要があるようになりました。また、この時代には最初の女性医師も誕生しています。

9世紀にはドルブム・チュダクなどの二人の伝染病の専門家があらわれ、「ドゥツェ・ブンパ」などの重要な書物を残しました。

10世紀にはリンチェン・サンポによってアーユルヴェーダの文献が翻訳されました。

現代のチベット医学は、インドのアーユルヴェーダや中国の中医学、またモンゴルやネパール、ラダックとチベット周辺国の医学の影響も受けていますが、チベット医学に特徴的な事はその修行や研究が、チベット密教の哲学の元に行われている事です。

12世紀には新ユトク・ユンテン・ゴンポが、四部医典(ギュ・シ)をさらに編纂して充実したものにし、チベット医学の最も重要なテキストとして現在でも利用されています。

彼は、心の治療となる瞑想や儀式、音と真言についても研究し、医師の治癒能力を高めるための瞑想修行‘ユトク・ニンティ’も考案しました。

14,15世紀には二人の医師によって医学はより体系的なものとなっていき、この時二大流派が創立され、四部医典の注釈書が多く書かれて発展していきました。



17世紀にはダライ・ラマ5世はチベットで最も重要な医学校を設立し、またチベット医学を解説する図解である82枚のタンカを描かせました。

18世紀にはドュマル・テンズィン・プンツォが3000種類の薬草と鉱物薬についての文献に書き記しました。

19世紀にはユンテン・ギャツォとナムゲ・ギャツォと言う二人の医師がマントラ(真言)により治療の文献を編集しました。



この他にも多くの業績を残した医師たちがいますが、大まかな歴史を書いてみました

古のチベットの人々は、体の内的要素は自然環境と調和したものになりうると考えており、動物にはこれらを自然と理解する能力があることを知っていて、観察してきました。
 
傷ついた体に効く薬草を知っている蛇や無事羽化するよう卵のヒビに口ですり潰した薬草を塗る鳥などの行動を観察することによって、有用な薬草特性を学んで来ました。


このように、古のチベット人が観察によって学んで得た知識は、現在のチベット薬草学の一部となりました。


動物が薬草の特性を発見できるなら、人間にも出来るだろうと言うことでチベット医学は発展していくことになります





アルラの森アルラとは薬師如来が右手に持たれている万能の薬草のこと。ミロバランとも呼ばれています。

あまり馴染みのない名前かもしれませんが、仏教伝来に伴って日本へ伝わり、正倉院御物の一つにもなっています。

 

薬師如来の住まう薬王城はタナドゥと呼ばれ、北や南の山にはそれぞれ寒症熱症の病に効く薬木が生い茂り、東側の山の斜面には7種類アルラの森が広がり、西側には湯治のための温泉もあります。チベット医学では薬草風呂も重要な治療法の一つです。


タナドゥ
薬師如来の住まう薬王城”タナドゥ”


伝説では始めて薬を作ったのは女性(ターラ菩薩)でとされており、彼女は天界へ赴き帝釈天(インドラ)の妻から五種類のアルラ(ミロバラン・訶子)を譲り受け、持ち帰ってブッダガヤの地に植えたのだとか。


アルラは現在でもチベット薬の中で最も使われている薬剤の一つですが、ターラの持ち帰った完全無欠なアルラと呼ばれたものは、現在では薬師如来の不死の甘露の入った鉢の中でしか見ることは出来ません。

   

アルラは全て薬として使える珍しい木で、特にその実は解毒作用にすぐれ、物理的な毒だけでなく精神的な毒をも打ち消してくれます。

 

薬師如来の加護があり、また最も強い効能のあるアルラはチベット医学の治療技術の象徴です。

今日はチベットの元旦!

チベット暦2139年、水龍年の始まりです

この良き日に当ブログを始める事ができ嬉しく思います

日本ではあまり馴染みのないチベット医学の外的治療法であるクニェ(チベット・マッサージ)には、オイル塗布、オイルマッサージ、身体の全ての関節を動かすストレッチ、経絡のマッサージ、ストーンや宝石を使ったマッサージなど個性豊かなセラピー があり、エネルギーの状態に合わせた独特の手技などで緊張を緩和し、エネルギーを活性化させて、精神と肉体を調和の取れた状態に戻していきます。


チベット医学は古代チベットボン教の流れを組み、時代毎に様々な国の伝統医学の知恵を吸収し、仏教が広がるにつれ密教の考え方を取り入れ進化してきました。

クニェやチベット医学にまつわる興味深いお話を綴っていけたらと思います