先日、本棚の前でふと手が伸びた一冊があった。
高木善之さんの『新版 転生と地球 ― 選択可能な未来』。
2010年に講演会で購入し、サインをいただいた本だ。
あれから15年ほど経つが、改めて読み返してみると、当時とはまた違う角度で響いてくる。
■ 本の概要
この本は、著者が1981年の交通事故をきっかけに「未来を知った」と語るところから始まる。
ソ連の崩壊、アメリカの崩壊、世界の崩壊――
当時は荒唐無稽に思えた未来予測が、現実の社会不安や環境問題と重なり、
「このままでは世界は破局に向かう」という強い危機感が全体を貫いている。
高木さんは、社会を“マトリックス”にたとえ、
多くの人が「豊かさ」という夢の中で眠らされていると指摘する。
そして、未来を変えるためには、
事実を知り、気づき、行動する人――“虹の天使”が必要だと語る。
本の後半では、
人が変わるための三要素として「ショック・感動・決意」を挙げ、
伝える側の生き方そのものが人を動かすのだと説く。
「非対立」「やさしさ」「笑顔」など、
人間のあり方に関するメッセージも多い。
■ 読み返して思い出したこと
講演会でお話を聞いたとき、
私は高木さんの主張そのものには強く共感した。
環境問題への危機感、人が変わるプロセス、
やさしさや非対立の大切さ――
どれも私自身が大切にしてきたテーマだったからだ。
ただ同時に、
「私が世界を変える」「私が未来を変える」
という強い意志のエネルギーを感じたことも覚えている。
それは決して悪い意味ではない。
むしろ、彼の人生の歩みから自然に立ち上がってきた“使命感”なのだと思う。
ただ、私はその方向性とは少し違う場所に立っているのだと、
今回読み返して改めて感じた。
■ 私自身の考え
私は、相田みつをの言葉
「しあわせは いつも じぶんのこころがきめる」
を大切にしている。
そして、ドラッカーのマネジメントを学ぶ中で、
次のように考えるようになった。
「一人ひとりが社会の中で役割と位置を持ち、
その相互の関係の中から自然と立ち上がってくるものが“幸せ”である」
つまり、
「みんなの幸せを実現するために私が世界を変える」
という方向ではなく、
「それぞれが自分の場所で、自分の役割を生きることで、
結果として社会全体が調和していく」
という方向に、私は心が動く。
高木さんの本は、
その“違い”を改めて照らし出してくれた。
■ 最後に
『選択可能な未来』は、
読む人の価値観や立ち位置によって、
まったく違う意味を持つ本だと思う。
私にとっては、
「世界を変える」という強い意志のエネルギーと、
「一人ひとりの自然な幸せ」という私自身の考えを
対話させてくれる一冊だった。
高木さんが語る破局のビジョンは刺激的だが、
私はむしろ、 一人ひとりが、地球村の未来を左右する、地球村の一住民として、
人類誕生以来、あらゆる危機を乗り越えてきた人間性によって、
これからも、新しい時代の新しい課題に応えていくべきことに焦点を合わせて、
一人ひとりの位置で自分の役割を実践して生きること。
その積み重ねこそが、社会の未来を形づくるのだと私は考えている
15年前の自分と、今の自分。
その両方を静かに見つめ直す時間になった。
