「あちゃー、見事に降ってるよ、ユウ。」
「・・・見れば分かる、傘もってんのか?」
「俺?もちろん。」
要がニィと笑い、神田に折り畳み傘を見せた。
明るい水色の水玉の傘は、飄々とした彼に酷く似合っている。
「帰るぞ、本屋よるんだろ?」
「うん、そうそう。今日発売日なんだよね。」
要の目当てのものは、先月上巻が発売された推理小説の下巻だった。
今日一日中楽しみにしていて、いつもに増して愛想がよかったことを、神田は気付いている。
「あ・・・。」
何か見つけたように要が立ち止まった。
要の数歩先にいた神田が振りかえる。要の視線は昇降口に向けられていた。
「おい、要?」
「ごめんユウ。やっぱ本はあしたにでも買いに行くよ。」
「はあ?・・・ったく、じゃあな。」
「うん、バイバイ。」
神田に二度ほど手を降り、踵を返し昇降口へ小走りで向かう。
そこにいたのは、困ったような表情を浮かべる、隣のクラスのミランダ・ロットーだった。
「・・・ロットーさん。」
「へ・・・?」
「傘、ないの?」
突然の問いに驚いたのか、返事がしばらくかえってこなかった。
「傘。」
「っ、あ、ええ、無いわ、忘れてしまって、」
もう一度言うと、今度は慌てて頷く。
「じゃあ、はい。これで帰りなよ。」
「・・・え・・・、そ、そんな!ダメよ!だって貴方が・・・」
続けようとしたミランダを要は笑顔で制した。
ミランダの言葉は切れる。
「俺の家近いんだ。」
「・・・でも・・・」
まだ渋るミランダに傘を渡し、一歩昇降口を出る。
すぐに雨は要を濡らし始めた。
「あ・・・!」
「じゃあ、またね。」
「っ、待って!」
「ん?」
「・・・ありが、とう、貸してくれて。」
そのことばに、要は嬉しそうに笑う。まるで、それを待っていたかのように。
そして、ミランダに向き直った。
「晴れたら、返しに来て。じゃあね。」
今度こそ走り出す、直ぐに要の後ろ姿は雨に飲み込まれ、見えなくなった。
―晴れたら貸してくれ、と彼は言った。
彼のことは知っている。生徒会長の、深谷くん
晴れたら、また
(END)
一作目、駄作失礼しました。
「・・・見れば分かる、傘もってんのか?」
「俺?もちろん。」
要がニィと笑い、神田に折り畳み傘を見せた。
明るい水色の水玉の傘は、飄々とした彼に酷く似合っている。
「帰るぞ、本屋よるんだろ?」
「うん、そうそう。今日発売日なんだよね。」
要の目当てのものは、先月上巻が発売された推理小説の下巻だった。
今日一日中楽しみにしていて、いつもに増して愛想がよかったことを、神田は気付いている。
「あ・・・。」
何か見つけたように要が立ち止まった。
要の数歩先にいた神田が振りかえる。要の視線は昇降口に向けられていた。
「おい、要?」
「ごめんユウ。やっぱ本はあしたにでも買いに行くよ。」
「はあ?・・・ったく、じゃあな。」
「うん、バイバイ。」
神田に二度ほど手を降り、踵を返し昇降口へ小走りで向かう。
そこにいたのは、困ったような表情を浮かべる、隣のクラスのミランダ・ロットーだった。
「・・・ロットーさん。」
「へ・・・?」
「傘、ないの?」
突然の問いに驚いたのか、返事がしばらくかえってこなかった。
「傘。」
「っ、あ、ええ、無いわ、忘れてしまって、」
もう一度言うと、今度は慌てて頷く。
「じゃあ、はい。これで帰りなよ。」
「・・・え・・・、そ、そんな!ダメよ!だって貴方が・・・」
続けようとしたミランダを要は笑顔で制した。
ミランダの言葉は切れる。
「俺の家近いんだ。」
「・・・でも・・・」
まだ渋るミランダに傘を渡し、一歩昇降口を出る。
すぐに雨は要を濡らし始めた。
「あ・・・!」
「じゃあ、またね。」
「っ、待って!」
「ん?」
「・・・ありが、とう、貸してくれて。」
そのことばに、要は嬉しそうに笑う。まるで、それを待っていたかのように。
そして、ミランダに向き直った。
「晴れたら、返しに来て。じゃあね。」
今度こそ走り出す、直ぐに要の後ろ姿は雨に飲み込まれ、見えなくなった。
―晴れたら貸してくれ、と彼は言った。
彼のことは知っている。生徒会長の、深谷くん
晴れたら、また
(END)
一作目、駄作失礼しました。