『エリック・サティ 覚え書 』秋山邦晴



【音響測定家サティと光測定師マン・レイの出会い】の章
で秋山氏はマン・レイのサティ評を紹介している。

─「エリック・サティは眼をもっていた唯一の音楽家だ……」
こういったのはマン・レイである。マン・レイはサティを注目していた。それとともに、かれらは親しくつきあった仲間だった。

マン・レイのセルフポートレイト

著者の秋山邦晴氏はサティとマン・レイとの交流や芸術における共通点を述べ、さらにはマン・レイにサティの《梨の形をした3つの小品》に触発された3つの作品(梨が描かれいる)があることについても触れている。そして本の中でマン・レイの写真作品も掲載しているのだが、何故かその二枚とも、下ぶくれの、まさに、梨の形を想起させるものであることには言及されていない。もしかすると、下の二枚のマン・レイの写真は、サティの楽曲《梨の形をした3つの小品》そのものや、少なくとも曲名に刺激されて出来た作品かもしれない。さもなくば、下ぶくれの安定した形態にたいして、この作曲家と前衛写真家には共通の嗜好があったかもしれないとの想像も可能なのではないだろうか。