第一回「北区の読書会」1部 開催しました | 本人訴訟日記(以前→過払い金請求日記)

第一回「北区の読書会」1部 開催しました

第一回「北区の読書会」1部 開催しました






独自で課題図書型読書会と書籍紹介型読書会を月1回最終日曜日に開催することにしました。

その初会合を5月31日に実施しましたので、その様子を。

課題図書型読書会10:00~13:00の3時間です。

参加メンバーは私と妻の2名

まあこの弱小人数は仕方がありません。

これからぼちぼちやっていきます。



でも、読書会はきっちりとやりました。

今回の課題図書は『野菊の墓』(伊藤左千夫)。





まずは私から叩き台を提出。

政夫のキャラクター分析から。

claim(主張)として、「相手の立場を考えて行動できる」と提示しました。

そのdeta(証拠)となるものは作品中の15か所の部分。

warrant(理由づけ)として、「detaから民子、自分の母、お増、民子の実家、その他の人のことを 常に考えて行動する姿勢が見て取れる。お増へあげるアックリを採る、民子に手紙を渡すときの一言、民子の家に行かない、自分が泣かない、母親や民子の実家 の人たちをなじらない、母親の様子が落ち着いたら自ら学校へ行くといった行動も思考に合致している。

これに対しての意見としては、

■13歳で大人なのはすごい。
■周りの大人たちよりも大人である。
■政夫は、すごくつらいはず。
■次男でこれだけ大人。だからこそすごい。
■大人なのは父が亡くなったからか?父親の性質を受け継いでいる。じゃあ、長男は?
■なぜ政夫はこの恋の回想をしているのか?引きずっているのではないか?
■感情制御力も強い。






その後、話はテーマ分析へと移りました。

claimとして、「余儀なき恋」を挙げます。

detaとしては1か所

「民子は余儀なき結婚をして遂に世を去り、僕は余儀なき結婚をして長らえている。」

warrantとして、「大人の体面による理性的な恋(民子と政夫のおのおのの余儀なき結婚)であっても直情の恋(恥ずかしさ、やるせなさ、いとおしさ、一途さ)であっても、いずれにしても自分の力ではどうすることもまかり通らないのが人生である。

これに対しての意見としては、

■純粋さ、ファンタジーを作者は伝えたかっただけではないか?
■自分の過失を懺悔することで自分の為に涙を流すのが人間。人間のエゴを描きたかったのではないか?
■民子の父親は自分たちのエゴをわかっている。
■打ちひしがれている家族は、政夫に謝罪することで救われたがっている。
■政夫以外の周囲は、勝手な人ばかり。
■自分たちが民子を殺してしまったのだという思いが母や民子の家族にはある。
■政夫と民子の間の噂があったから、民子が危篤の時でも、政夫に知らせなかった。実家に対して失礼と考えた。
■兄嫁以外は良い人たちの印象がある。
■兄嫁はどんな性格なのか?民子が死んでどう思っているのか?






続いて、政夫の母のキャラクター分析に移りました。

claimは、「責任感が強い

detaは、4か所

warrantは、「detaから周りの目や民子や政夫に対して自責の念を持っている。周囲から求められている自分の役割を全うしなければならないという気持ちから政夫や民子を説得する。その自分の役割が民子や政夫を苦しめてしまったという自責の念を抱えている。

この意見に対して、

■お増を同席させて意見を求めるのだから公平な人である。
■お増を同席させたのは、自分側に回るだろうという考えがあって公平さから出たものではない。
■お増の言い分をきちんと受け入れた。
■絵にかいたような母親だ。






次に民子のキャラクター分析です。

claimは、「周りに対する感謝の念が強い

detaは、4か所

warrantは、「detaから政夫の母親や太陽に対して感謝の念を持ち、それを実践している。政夫の母親をなじることもなく言われた通りのことをして、どうしてもできない場合でも自分から面と向かってできないとは言わない。

この意見に対して、

■民子はおとなしい子では決してない。
■自分の気持ちに正直である。
■思ったことをきちんと話しているが、強く最後まで説得する気はない。
■粗野ではなく、可憐で、優しくて、品格があり、嫌味や憎らしいところがないと政夫が言っている。
■嫁ぎ先で亡くなったのなら、政夫からの手紙を握っているのはどうなのだろうか?かなり腹の座ったやつでは?
■民子が握っていた手紙が、周囲の人間たちにはかなりのショックを与えた。







ここまでで当初の予定であった叩き台を叩くというキャラクターとテーマの分析は終了しました。

二人で問答しながらやって2時間かかりました。

さらにここで私からいくつかの疑問点を挙げていきました。







(1)2歳年上の従姉妹との結婚はそんなにタブーなことなのか?

それについての回答は、

■政夫は学問を学んでいるので、25歳位まで結婚しないのではないか?そうすると民子は27歳になってしまい、子供を産む年齢ではない。
■政夫が独り立ちした時に政夫と民子が好き通しでいるとは限らない。そうすると民子の年齢は不利である。





(2)竜胆のような人とはどんな人か?

それについての回答は、

■花言葉や性質から、誠実・正義・あなたの悲しみに寄り添う。
■誠実・正義は政夫の性格として的確。
■あなたの悲しみに寄り添うという意味を念頭に置いて、民子との未来を暗示させることを考えて書いたとしたら素晴らしい表現。






(3)P30の4「つまらないものですけれど何とかかとか分けてやってますが、又政夫さんの様に情深くされると。。。」はいったいどういう意味か?

それについての回答は、

■お増に政夫が優しくすると、民子はなんとか気持ちを整理しているが、そんな感情は政夫にとってはつまらぬものと思っているだろうけれども、嫉妬してしまう。






(4)お増が民子の気持ちを代弁したにもかかわらず、政夫の母親は民子の気持ちになぜ深く気づかなかったのか?

それについての回答は、

■小言を言われてから、民子が政夫大好きオーラを出さないように気をつけていた。
■大好きオーラが出る前にすでに別れさせられていた。
■兄弟姉妹のようなイメージが周囲の人たちの間にはあった。
■政夫は民子を姉と思っていたが、母親からの小言で初めて民子を女性として意識した。
■親族会議で、政夫の母親はかなり追及を受けたのでは?
■政夫と民子の関係が深くなることに対して良くないという周囲の理屈つきの圧力に母親が負けた。
■政夫の余儀なき結婚は、周囲には悟らせていない可能性があり、現在の政夫は幸せであるとみな認識している。







その他、伊藤左千夫の表現の美しさに私は言及しました。

妻の読書会の感想は、叩き台があってわかりやすかった。

3時間話すには短編過ぎたかと最初は思っていたが、人数がもっといれば十分短編で3時間はできる。

今日の『野菊の墓』は二人で3時間でほぼすべてを話しつくした感じがあった。





私の感想は、

■人によって同じシーンでも感想が異なるということを再認識できました。

■同じ部分に焦点を当てて話をしていくと、もやもやしていた自分の考えがまとまっていくのがわかりました。

■一人で読んでいたときには気づかなかったことに人と話していると気づくことがありました。

■ほぼ想定通りの読書会が出来ましたが妻と二人だったから。

■深くまで話せる読書会は面白いです。



もし、読書会にご興味がありましたらメッセージなど下さいませ。

東京都の北区で開催しております。



明日は第2部の内容を記事UPします。