![おねがい](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/005.png)
病室に行くと、窓際の奥のベットで叔母が心細そうに横になっていた。
「大丈夫?」
と私がベット脇に行くと
「ああ、まいちゃん、あなたにばかり迷惑をかけて、ごめんなさいね。」
と言いながらホッとしたような顔を見せた。
そこに看護師さんが問診票を持ってやってきて
「少しお話しを聞かせて下さいね」
と私のもとに歩みよってきた。
看護師さんは、早口で叔母の名前、性別、生年月日などを確認して、問診票にペンを走らせた。
そして、同じく早口に
「文字は書けませんね、読めませんね」
と言いながら、問診票の項目の"できない"に⭕️をつけたので、
私は慌てて
「読み書きは普通にできますよ!読書が趣味ですし、字も達筆です」(後半はよけいだったか😅)
看護師さんは驚いて、書き直しながらも半信半疑だ。
そして看護師さんは
「オムツにするので、自分で使っている物を持ってくるか、こちらで購入するか決めて下さいね」
「え?オムツ?!今までオムツなんてしたことないんですけど」
と言った私の言葉に
「え?!そうなの?」
と、看護師さんが怪訝そうにしている。
そして、叔母に向かい大きな声で
「並木さん(叔母の苗字)、オムツにするから!」
と言うと
「オムツ?! オムツになんてしないわよ!」
当然のことながら、叔母が気色ばむ。
そこにちょうど先生が
「どうですか?並木さん」
とやってきた。
そこで私はすかさず
「トイレに行かせるのは難しいでしょうか」
と聞くと、先生は叔母に向かい
「並木さん、どう?歩けそう?歩いてトイレに行けるかな?」
と優しく問いかけた。叔母は
「ええ、行けると思うわ」
と素直に答えた。
すると、先生は看護師さんに
「本人が行けると言っているから、オムツじゃなくてトイレに行かせてあげて」
と言ってくれた。
看護師さんは不服そうだった。
さっきから気になっていたが、看護師さんとの話しが全く噛み合わない。
どうも私が来る前に、ヘルパーさんから聞いて、かかりつけ医ということで、例の診療所に問い合わせをして予めいろいろ確認していたらしい。
そこで、重度の認知症で話しも通じなくて、問題行動も多いと伝えられたらしい。
だから、読み書きもできないし、オムツという認識になってしまったようだ😞
持ち物についての話になった時、看護師さんは遠方から来た私を気づかって、もう日も暮れてきたので、
「スリッパが必要だけれど、靴があるからすぐに用意しなくてもいいですよ」
と言ってくれた。
それを聞いた叔母が
「靴を素足で履くなんて困るわ。スリッパはすぐに必要よ」
と言ってきた。看護師さんは、叔母に
「わがまま言わないの!姪御さんが大変でしょ。靴を履けばいいのよ、何も問題ないから」
と強い調子で言った。
「ああ、そうか、まいちゃんが大変なのね。でも、靴をそのまま履くなんて...」
と叔母がグズグス言い出したので、私が
「いいわよ、スリッパすぐに持ってくるようにするわ」
と言うと叔母はホッとしたように
「ありがとう、悪いけどそうしてちょうだいね」
看護師さんはこれを受けて、叔母を苦々しく見て
「本当にわがままなんだから」
と舌打ちをした。
初めての看護師さんなのに、やたら、叔母へのあたりが強い。私には優しいから、診療所から性格についても何が申し送りがあったのか...😞
病院は大きく見えたが中規模で、病院内に売店はなく、歯ブラシなど小さな必要品だけ自販機で買える。
まわりにお店はないが、最寄駅まで15分ほどなので、駅にもどればコンビニや大きなスーパーもあり買い物ができる。
最寄駅と病院の間くらいに叔母の団地があるので、叔母の部屋の確認もしながら、駅に行って買い物をして、病院に戻ればいい。
看護師さんから、一階で入院の手続きもするように言われる。
やらなければいけないことは沢山ある。
今日、家に帰れるのは何時頃だろう。
母と子どもたちの顔が浮かんだ😞
(つづく)