
[アキアカネの羽化]
7月14日、青森トンボ研究会 会長でトンボ研究の第一人者である奈良岡弘治(ならおかひろじ)さんが、トンボの観察、調査のため苫米地ヤス子さんの田んぼを訪れました。
十数年前、無農薬のお米を求めてたどり着いた苫米地ヤス子さんの天手子米。初めて田んぼを見せていただいた時の驚き、感動は今も心に焼き付いています。
田んぼを覗くと、そこには宇宙があるといっても過言ではありません。ミジンコなどの微生物からミズカマキリ、コオイムシ、ゲンゴロウの仲間などの昆虫類、
タニシも沢山います。
いまでは見ることが少なくなってしまったミズアオイや、小さな生き物を食べてしまう食虫植物のタヌキモなどの水草。
目を凝らせばびっくりするほど無数の生き物たちや珍しい植物がこの田んぼには見られます。
とくに、県内ではとても少なくなってしまった「モートンイトトンボ」がたくさん見られることに気が付き、奈良岡さんにご報告するとぜひ見せていただきたいとの
ことで、今回ご案内することが実現しました。
モートンイトトンボは2~3センチの美しくとても小さなイトトンボです。1970年代ころは県内どこの田んぼでも見られたそうです。
農薬の使用や圃場整備など農業を取り巻く環境が変化し、田んぼの生き物たちには厳しい時代がつづいています。
しかし、苫米地さんが無農薬で頑張っているおかげでモートンイトトンボを代表にたくさんのトンボが見みられます。

[モートンイトトンボ]
初日は短時間の観察でしたがホソミオツネントンボ、オツネントンボ、アオイトトンボ、アキアカネ、ハラビロトンボ、ギンヤンマが見られました。
ちょうどアキアカネはヤゴから羽化しているところで、あちこちでヤゴの抜け殻が見られました。
奈良岡さんは次の日、まだ暗い朝三時半からモートンイトトンボの生態調査を実施されました。田んぼの中を歩くと掻き分けなければならないほどたくさん見られるモートンイトトンボを育む
苫米地さんの田んぼに最大限の評価をいただきました。
子供たちがトンボを追い、どろだらけになってタニシを捕まえ、本来そうあるべきそんな環境で安全でおいしいお米が作られているという当たり前の風景が苫米地さんの田んぼにはあるのです。


写真・文 石沢友雄
奈良岡さん、石沢さん、本当にありがとうございました